(旧版)高血圧治療ガイドライン2004
第2章 血圧測定と臨床評価 |
4)初診時の高血圧管理計画(図2-1)
初診時に血圧が高くても、通常は日を変えて再度数回血圧を測定する。その間に、血圧のレベル、臓器障害、高血圧以外に合併する危険因子の有無を検索して、患者の総体としての心血管リスクを評価する。
すべての患者に生活習慣の修正は徹底されなくてはならない。また、家庭血圧計やABPMによる血圧測定値と診察室血圧値との乖離が大きい場合は、現在確たる証明はいまだないが、診察室血圧よりも家庭血圧値やABPM値に準拠して治療方針を決定した方が、妥当と考えられる。
初診時の血圧が140〜159/90〜99mmHgと軽症で、しかも他に臓器障害や合併症を認めない低リスク患者の場合は、3カ月内に血圧を再度測定する。その間に血圧はしばしば正常値に戻ることがある。他にリスク因子を持たない低・中等リスクの高血圧患者については、高齢者を含めて、ほとんどの臨床試験が160/90mmHg以上を対象としており、160/90mmHg未満の血圧に対して降圧療法が果たして有効かどうかの確証はない。しかし、近年の多くの観察研究は、正常高値血圧(130〜139/85〜89mmHg)でさえも心血管リスクが増加することを示しており、降圧薬を開始する収縮期血圧の閾値を下げることは妥当と考えられる73)。したがって、低リスク患者であっても、生活習慣の修正のみで140/90mmHg未満に血圧が下がらなければ、3カ月後に降圧薬を開始する。
初診時の血圧が160/100mmHg以上であれば、可能ならば家庭血圧の測定を指導し、白衣高血圧や過度の白衣現象がないか検討する。それらが除外できれば、160〜179/100〜109mmHgの中等リスクの場合、1カ月後に降圧薬を開始する。もし血圧が180/110mmHg以上の重症高血圧(高リスク)の場合は、直ちに(数日以内)降圧薬を開始する。
無作為化比較対照試験の成績に基づいて、糖尿病、慢性腎疾患のある患者については、たとえ140/90mmHg未満の血圧であっても、各々の病態に適合した降圧薬の治療対象とする73)。
図2-1 初診時の高血圧管理計画 |
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