(旧版)高血圧治療ガイドライン2004
第1章 高血圧の疫学 |
まとめ
1) | 国民の血圧水準は1965年を頂点に1990年にかけて大きく低下した。この低下と本邦の脳卒中死亡率の減少はよく一致している。 |
2) | 血圧水準が高いほど、脳卒中・心筋梗塞・心疾患罹患率および死亡率は高い。高血圧の影響は心筋梗塞よりも脳卒中により特異的であり、本邦では依然として脳卒中罹患率が心筋梗塞罹患率よりも高い。 |
3) | 国民の食塩摂取量は依然として1日12g程度あり、食塩摂取量の多い状態が続いている。蓄尿による成績では、少なくとも1980年代以降大きな低下はみられていない。国民の食塩摂取量を減らすことは、国民の血圧水準を低下させる上で極めて重要な点である。 |
4) | 高血圧未治療者の割合は、若年者では8〜9割の人が治療を受けていない。少なくとも生活習慣の修正による血圧低下を図る必要がある。 |
5) | 高血圧患者のうち、約半数が管理不十分と推定され、より強力な高血圧管理が必要である。 |
6) | 国民の平均としての収縮期血圧水準が2mmHg低下すれば、脳卒中死亡率が約6%減少すると推計される。減塩を含めた国民の血圧低下を促す環境整備が求められる。 |