(旧版)腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン (改訂第2版)
第3章 診断
■ Clinical Question 8
電気生理学的検査は障害神経根の同定のために必要か
推奨
【Grade B】
電気生理学的検査はヘルニアの診断のためには,必ずしも必要な検査ではない.しかし,障害神経根の同定や,術後の神経機能の評価には有用な検査法である.
背景・目的
脊椎・脊髄疾患の診断には,筋電図(EMG),潜時(lateny)の測定,脊髄誘発電位(evoked potential)をはじめとして各種の電気生理学的検査が行われる.しかし,その位置付け・必要性に関しては一致した見解がない.ここでは腰椎椎間板ヘルニアの診断における電気生理学的検査の必要性およびヘルニアの診断学のなかでの位置付けについて文献的に検討する.
解説
ヘルニア自体の診断に関して電気生理学的検査の有用性を検討した論文はない.報告の多くは,ヘルニアと診断された後の,障害神経根の同定や障害程度の評価に関するものであり,おおむね有用であるとしている.
ヘルニア患者72例と対照群17例の比較臨床試験では,体表面導出腰仙部誘発電位が神経根機能と障害神経根を同定するうえで有用であるとしている(D2F01870, EV level 9).ヘルニア患者40例と健常人50例に関してdermatomal somatosensory evoked potentials(DSSEPs)を施行し,その有用性を検討した研究で,障害神経根の同定と障害程度の評価に有用であったとしている(DJ01224, EV level 9).また,ヘルニア患者90例に関して,筋電図学的にF波の異常を観察した研究で,F波の異常出現率は全体の約70%であり,術後の経時的観察は,術後評価の指標となることを報告している(DF03624, EV level 9).
ヘルニア患者72例と対照群17例の比較臨床試験では,体表面導出腰仙部誘発電位が神経根機能と障害神経根を同定するうえで有用であるとしている(D2F01870, EV level 9).ヘルニア患者40例と健常人50例に関してdermatomal somatosensory evoked potentials(DSSEPs)を施行し,その有用性を検討した研究で,障害神経根の同定と障害程度の評価に有用であったとしている(DJ01224, EV level 9).また,ヘルニア患者90例に関して,筋電図学的にF波の異常を観察した研究で,F波の異常出現率は全体の約70%であり,術後の経時的観察は,術後評価の指標となることを報告している(DF03624, EV level 9).
文献