(旧版)腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン

 
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1.3 問題点
腰椎椎間板ヘルニアを文献上で検討する際の最大の問題点は、この疾患の定義が確定されていないことである。たとえば糖尿病、高血圧などではその疾患としての定義は明確に示される。しかし腰椎椎間板ヘルニアの文献、特に今回の主たる対象とした欧文論文においては、その中に腰椎変性疾患の病態が複数含まれていることが多く、その論文の扱いに苦慮した。たとえば腰椎椎間板ヘルニアを論じる論文の中に椎間板症を含んでいたり、脊柱管狭窄合併の有無を明確に示していない論文も多かった。さらに腰椎椎間板ヘルニアの分類法や治療判定基準も多種多彩であることも問題点であった。また10年間でMRIなどの普及により画像診断法が劇的に変化したことなどの要素があるため、椎間板ヘルニアに関連した論文には英語・日本語ともに質の高いランダム化比較試験(randomized-controlled trial : RCT)が少ないことも困難とさせる大きな要因であった。そのため、RCTによるメタ分析(meta-analysis)の結果も限定的な結論であることが多く、現状では高いエビデンスに基づいた診療ガイドラインの作成は困難と考えられた。このような問題に直面した結果、多くの医師にとって使いやすい診療ガイドラインを作成するために、現状での概念、推奨する診断法、治療法なども必要に応じて委員会案として追加した。しかし、項目によってはどうしてもQ&Aとして推奨できない部分もあり、概説として説明した。

 

 
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