(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)
第9章 大腿骨頚部/転子部骨折のリハビリテーション
■ Clinical Question 4
術後のリハビリテーションはどのくらい続けるべきか
推奨
【Grade B】
術後最低6ヵ月程度は,リハビリテーションを行うべきである.
解説
本邦において,2006年度診療報酬改定により,大腿骨頚部骨折地域連携パスによる医療機関の連携体制の評価が行われている.初期治療病院(急性期)での治療後に継続的なリハビリテーション介入(自主リハビリテーション,在宅リハビリテーション,回復期リハビリテーションなど)を行うことで機能回復が得られる.
サイエンティフィックステートメント
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術後最低6ヵ月程度は,リハビリテーション介入による機能回復が期待できるとする中等度レベルのエビデンスがある(EV level II-1, EV level III-2). |
エビデンス
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平均年齢80歳の患者90例について,自宅退院後6ヵ月間の外来リハビリテーション内容として22種類の運動介入について介入群46名と対照群44名のRCT研究を施行し,介入群では対照群に比べて歩行能力(p <0.003,95%CI 4.6〜8.3)とQOL(p <0.01,95%CI 3.5〜6.9)に有意な改善が認められた(F2F02728, EV level II-1). |
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38例の患者の経過観察でQOL score,hip scaleともに術後6ヵ月で最終到達点に達した(F1F00321, EV level III-2). |
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転子部骨折では術後3ヵ月で歩行が術前レベルに戻ったものは半数以下.3ヵ月から6ヵ月で可動域,疼痛,筋力が改善した.少なくとも3ヵ月以上はリハビリテーションを継続すべきである(F1F05575, EV level III-2). |
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ピンニングを行った大腿骨頚部/転子部骨折の術前と術後3・6ヵ月後における FIM評価を行い,術前FIMが6ヵ月後と相関があった.術後3ヵ月以降は歩行機能FIMが改善した(F1F00090, EV level III-2). |
文献