(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)

 
 
第8章 大腿骨頚部/転子部骨折の周術期管理
8.3.輸液バランス・輸血

■ Clinical Question 5
術中の輸液管理のために中心静脈圧測定や経食道心エコーモニタリングは必要か

推奨

【Grade C】
中心静脈圧測定や経食道心エコーモニタリングを試みても良い.


サイエンティフィックステートメント

dot 術中の中心静脈圧測定や経食道心エコーによるモニター下の輸液管理は,術中の高度の血圧低下を有意に減少させ,患者が退院可能と判断できるまでの期間を短縮させたが,術後合併症の発症や死亡率の減少,入院期間の短縮はみられなかったという中等度レベルのエビデンスがある(EV level II-1).


エビデンス

dot 全身麻酔下に大腿骨近位部骨折の手術を受けた90例を,従来通りの術中輸液管理群(CON群)と,中心静脈圧をモニターしながらの輸液管理群(CVP群)と,経食道心エコーによるモニター下の輸液管理群(DOP群)に分けて比較して,入院期間と術後合併症への影響を検討した.その結果,術中の高度の血圧低下例数はCON群で有意に多かった.しかし,術後の合併症発生率や入院中の死亡率,入院期間に有意差はなかった.退院可能と判断するまでの期間は有意にCVP群よりDOP群が早かった.全身麻酔下に行う大腿骨近位骨折に対する手術において,侵襲的な術中の循環動態管理は退院可能と判断するまでの期間を短縮する(F1F00078, EV level II-1).


文献

1) F1F00078 Venn R, Steele A, Richardson P et al:Randomized controlled trial to investigate influence of the fluid challenge on duration of hospital stay and perioperative morbidity in patients with hip fractures. Br J Anaesth 2002;88:65-71



 

 
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