(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)
第6章 大腿骨頚部骨折の治療
6.4.骨接合術の合併症とその対処法
6.4.骨接合術の合併症とその対処法
■ Clinical Question 17
骨頭壊死,late segmental collapseの発生率
解説
骨頭壊死(骨壊死)は病理学的な概念で,late segmental collapse(LSC)は形態学的(エックス線学的)な変化である.臨床的には病理学的に骨壊死を診断するのは困難であるため,多くの研究で骨壊死はMRIを用いて評価している.
荷重部に広範な骨頭壊死を生じると,術後経過中にLSCをきたす.LSCは術後長期間(術後1〜2年)経過した後に明らかとなることが多いので,少なくとも術後2年間の経過観察が必要である.MRIでは早期に骨頭壊死の診断が可能であり,術後6ヵ月のMRIで骨頭壊死の可能性が否定できれば,その後の経過観察は不要である.
骨頭壊死およびLSCの発生率は偽関節と同様に骨折型によって異なる.発生率は骨頭壊死(MRIによる)が非転位型で4〜21%,転位型で46〜57%,LSCが非転位型0〜8%で,転位型26〜41%と報告されている.
荷重部に広範な骨頭壊死を生じると,術後経過中にLSCをきたす.LSCは術後長期間(術後1〜2年)経過した後に明らかとなることが多いので,少なくとも術後2年間の経過観察が必要である.MRIでは早期に骨頭壊死の診断が可能であり,術後6ヵ月のMRIで骨頭壊死の可能性が否定できれば,その後の経過観察は不要である.
骨頭壊死およびLSCの発生率は偽関節と同様に骨折型によって異なる.発生率は骨頭壊死(MRIによる)が非転位型で4〜21%,転位型で46〜57%,LSCが非転位型0〜8%で,転位型26〜41%と報告されている.
エビデンス
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CCHSで治療した31例(平均年齢61歳)に術後1,2,3,6,12ヵ月にMRIで骨頭壊死の診断を行った.2ヵ月では31例中8例,6ヵ月で12例,12ヵ月で12例にバンド状病変を認めた.6ヵ月から12ヵ月の期間では新たなバンド状病変の発症例は認めなかった(F1F00523, EV level IV). |
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6ヵ月以上観察した87例.Garden stage別の壊死率(MRIによる)はI 16.7%,II 3.5%,III 46.7%,IV 57.1%であった.LSCの発生率は各々0,7.7,25.9,41.2で,発症時期は5ヵ月〜5年2ヵ月であった(F1J00296, EV level IV). |
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CHSで治療した160例(エックス線で6ヵ月以上観察した93例,壊死評価をMRIで行った45例,エックス線で1年以上観察した81例)の検討.壊死率は,Garden stage I 16.7%,II 21.1%,III 43.8%,IV 57.1%であった.LSCの発生率は各々0,7.1,25,41.2で,術後1〜2年に多発していた(F1J00312, EV level IV). |
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非転位型頚部骨折に対して内固定術を行った12文献のsystematic reviewでは平均年齢73.3歳の1,887例において骨頭壊死は15/375例(4.0%)であった(F2F01001, EV level III-4). |
文献