(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン
第6章 大腿骨頚部骨折(いわゆる内側骨折)の治療
6.3 偽関節、骨頭壊死およびlate segmental collapse(LSC)発生の術前予測
6.3.2 MRIで術前予測できるか
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サイエンティフィックステートメント
・ | 単純MRIで壊死発生予測が困難との低いレベルのエビデンスがある(EV level IV)。 |
・ | 造影MRIで壊死発生予測が可能との中等度レベルのエビデンスがある(EV level III、EV level IV)。 |
エビデンス
・ | 受傷直後の15例にMRIを施行した。大腿骨頭のviabilityをMRIで判定することは困難であった(FF05514, EV level IV)。 |
・ | 造影MRIが骨頭血流評価に有用か否かを検討した。頚部骨折後の骨頭血流の予測に有用であった(FF01747, EV level III)。 |
・ | 14例に対し、術前の単純MRIで術後のLSCの有無を予測した。MRI正常12例中2例にLSCが発生した。術前単純MRIから術後LSCの予測は困難であった(FJ01227, EV level IV)。 |
・ | 骨折後24時間以内での脂肪抑制造影MRIを施行した。症例はGarden stage III、IVの12例であった。骨頭をふくむ近位骨片がエンハンスされない例(1型)はすべて、近位骨片の骨折端が帯状にエンハンスされた(2型)7例中4例に壊死が発生した。1型は絶対的、2型は相対的な骨頭置換を行うのがよい。骨頭置換の適応決定に有効である(FJ00297 , EV level IV)。 |
文 献
1) | FF05514 | Speer KP, Spritzer CE, Harrelson JM et al:Magnetic resonance imaging of the femoral head after acute intracapsular fracture of the femoral neck. J Bone Joint Surg 1990;72-A:98-103 |
2) | FF01747 | Konishiike T, Makihata E, Tago H et al:Acute fracture of the neck of the femur. An assessment of perfusion of the head by dynamic MRI. J Bone Joint Surg 1999;81-B:596-599 |
3) | FJ01227 | 湊泉,小林良充,下田晴華:大腿骨頸部内側骨折における骨頭の治療前MRIとlate segmental collapseの関連性の検討.Hip Joint 1994:170-174 |
4) | FJ00297 | 釜野雅行,本田良宣,塩川浩規ほか:大腿骨頚部内側骨折Garden stageIII,IV 骨接合術か人工骨頭置換術か.整形外科 2000;別冊:93-95 |