(旧版)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン

 
第5章 大腿骨頚部/転子部骨折の診断

 


5.5 エックス線単純写真で診断できない場合に骨シンチグラムは有用か

推 奨
【Grade A】
受傷72時間経過後の骨シンチグラム検査は有用である。

解 説
骨シンチグラム検査は偽陽性、偽陰性が存在するので注意を要する。

サイエンティフィックステートメント
骨シンチグラムはエックス線単純写真では明確でない骨折の診断に有用であるが、受傷後72時間経過しなければ正確な診断が困難であり、72時間経過後であっても、股関節部の退行性変性疾患、軟部組織の石灰沈着、転子部滑液包炎などとの慎重な鑑別が必要である(EV level C-Ib)。

エビデンス
大腿骨近位(股関節)部のoccult fractureの可能性があるとして評価に供された97人の患者の症例からretrospectivelyに集められた105関節、および股関節部骨折が明らかあるいは疑わしいと診断された63人の患者にprospectivelyに実施された74関節の、合計179関節のradionuclide bone-imaging検査の結果が、患者の年齢、受傷とimagingとの間隔、および骨折型について分析された。92例の検査は受傷後72時間未満で行われ、これらのうちの31例は0〜24時間で行われた。股関節部骨折の診断について、全体の感受性は0.933、特異性は0.950であった。X線学的に正常あるいは疑わしい、臨床的に重要な群では、感受性は0.978であった。72時間未満での感受性は0.875、特異性は0.962で、72時間以上での感受性は1, 特異性は0.919であった。大転子骨折では特徴的な像がみられた。評価した患者の41%で、他の診断がシンチグラフィー上で確立された。この結果から、すべての年齢の患者で、受傷後の時間にかかわらず、来院次第に撮影 して良いものと思われる。しかし、受傷後72時間経ってのシンチ所見が正確である(FF05665 , EV level C-Ib)。
5年間に大腿骨頚部骨折を疑われて入院した2617人の患者の調査で、213人が正常あるいはあいまいなエックス線単純写真であったので、引き続きbone scintigraphyで調査された。正常の骨シンチグラムが127(60%)例で得られた。残り86例のうちで、82(38%)例は近位大腿骨の骨折を示すと報告され、3例は恥骨枝の骨折、そして1例では寛骨臼の骨折が明らかとなった。調査と追跡によって、8例のfalse positiveと2例のfalse negativeが明らかとなった。bone scintigraphyは、その診断上の落とし穴を避けるために、臨床所見とエックス線単純写真の状況から、注意深い解釈を行えば、occult fracturesを発見するのに非常に有用な検査である。Scanは受傷後48時間以降、大部分は2〜5日以内に行われ、少数はその後に行われたものもあるが、avascularな所見のみのfalse negativeなものがある一方、false positiveな所見を示すものには、股関節部の退行変性疾患、軟部組織の石灰沈着、転子部滑液包炎があった。また、大転子の骨折や、恥骨枝や寛骨臼の骨折も鑑別を要する(FF05110 , EV level C-Ib)。

文 献
1) FF05665 Holder LE, Schwarz C, Wernicke PG et al:Radionuclide bone imaging in the early detection of fractures of the proximal femur(hip):multifactorial analysis. Radiology 1990;174:509-515
2) FF05110 Lewis SL, Rees JI, Thomas GV et al:Pitfalls of bone scintigraphy in suspected hip fractures. Br J Radiol 1991;64:403-408

 

 
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