EBMに基づく尿失禁診療ガイドライン
III 尿失禁診療ガイドライン |
2. 腹圧性尿失禁の治療
(3) 外科的治療
3)合併症
尿失禁に対する手術の主な合併症は、下部尿路閉塞に基づく排尿障害、および術後に新たに発生する尿意切迫感である。4週以上続く一時的な尿閉については、メタアナリシスによる検討では恥骨後式および経腟式膀胱頸部挙上術で5%程度、スリング手術では8%程度と考えられる42)。永久的な尿閉の発生率については十分なデータがない。術後の尿意切迫の発生は経腟式膀胱頸部挙上術に比べ、恥骨後式膀胱頸部挙上術、スリング手術においてやや多い42)。尿路感染や術創に関する合併症に術式による差はみられないものの、スリング手術において腟びらん、尿道びらん、瘻孔、創感染の合併症は、生体組織を用いたものと人工素材を用いたものでは、後者に多い42)。