EBMに基づく尿失禁診療ガイドライン
III 尿失禁診療ガイドライン |
2. 腹圧性尿失禁の治療
(3) 外科的治療
女性腹圧性尿失禁に対する外科的治療の選択においては、自覚症状のみならず、尿流動態検査や膀胱造影などの他覚的検査により、腹圧性尿失禁の病因としての膀胱頸部過可動とISDの評価、および排尿筋過活動の検索が必要である。
女性腹圧性尿失禁に対する外科的治療としては、種々の術式、またその種々の変法が行われているが、主に恥骨後式膀胱頸部挙上術、経腟式膀胱頸部挙上術、スリング手術、尿道周囲注入療法に分類される。
膀胱頸部挙上術は、近位尿道から膀胱頸部を支持あるいは挙上し、その下垂を防止することを目的とするもので、尿道括約筋機能が正常な膀胱頸部過可動の症例が適応となる。スリング手術は、膀胱頸部の下垂を防ぐのみでなく、ISDにおける近位尿道および膀胱頸部の密着を図るものであり、ISDあるいは膀胱頸部過可動の症例に適応となる。尿道周囲注入療法は近位尿道〜膀胱頸部の密着を図るもので、原則としてISDの症例が適応となる。