EBMに基づく尿失禁診療ガイドライン
III 尿失禁診療ガイドライン |
1. 診断
(2) 二次評価(専門医の評価)
2)画像検査
<1> ビデオウロダイナミクス(オプション検査)
尿流動態検査をX線透視下に行うことで、尿道の過可動性、膀胱頸部の開大を含めて、下部尿路の機能と形態を総合的に診断できる方法である。この検査では内因性括約筋機能不全の典型的所見とされる膀胱排尿筋の収縮を伴わない立位安静時の膀胱頸部開大を診断できる12)。
<2> 膀胱尿道造影(オプション検査)
尿失禁の診断としては補助的な意義しかないが13)、鎖使用膀胱尿道造影における後部膀胱尿道角、膀胱頸部の位置、形態の観察は尿道の過可動性、ISD、膀胱瘤の評価に一定の有用性をもつ。再発性、難治性尿失禁の評価、尿失禁手術前後の比較には有用である。
<3> 骨盤部超音波検査(オプション検査)
骨盤部の超音波検査(経腟的、経直腸的、経会陰的)は、腹圧性尿失禁群と正常群のオーバーラップが大きく診断意義は制限されるが14)、尿道の過可動性、膀胱頸部の位置、形態の評価の手段として、膀胱尿道造影と同等の有用性を有するとの報告がある15)。膀胱頸部の開大や膀胱の全体像は膀胱尿道造影の方がより明確に描出できるが、X線を用いず、骨盤内の腫瘤などについても情報が得られるのが、超音波検査の利点である。
<4> その他(オプション検査)
排泄性腎盂造影、上部尿路の超音波検査、CTは一般的な女性尿失禁の診断には推奨されないが、溢流性尿失禁や神経因性膀胱における上部尿路の評価、尿管腟瘻などの尿管性尿失禁の診断などに有用である。