EBMに基づく尿失禁診療ガイドライン
III 尿失禁診療ガイドライン |
3. 治療
(2) 薬物治療
これまでに報告されてきた無作為化臨床試験の多くは、対象症例の特徴についての記載が明らかでなかったり、研究に組み込まれた症例数が少なかったり、不明確な効果判定基準が用いられていたり、経過観察期間が短いなどの問題点を有する。純粋に高齢者を対象とした無作為化臨床試験も増加しつつあるが、今後、研究の質を向上させる努力が必要である。
わが国では、尿失禁・頻尿(蓄尿障害)に対する薬剤として、
a) | 膀胱排尿筋の不随意な収縮の抑制、膀胱容量の増大により頻尿・切迫性尿失禁を改善する抗コリン薬(塩酸オキシブチニン、塩酸プロピベリン、臭化プロパンテリン) |
b) | 膀胱排尿筋に直接働くとされる塩酸フラボキセート |
c) | 交感神経β2刺激作用により尿道括約筋の緊張を高め、腹圧性尿失禁に有効とされる塩酸クレンブテロール |
未承認ながらも、
d) | 尿道抵抗を増大させるα刺激薬(塩酸エフェドリン、塩酸メチルエフェドリン) |
e) | 抗コリン作用とα刺激作用を有する三環系抗うつ薬(塩酸イミプラミン、塩酸アミトリプチリン) |