EBMに基づく尿失禁診療ガイドライン

 
II 尿失禁の基礎知識
尿失禁の基礎知識

2. 病態
(1) 腹圧性尿失禁 (図1)

腹圧性尿失禁は、尿道抵抗の低下により、腹圧時の膀胱内圧上昇が尿道抵抗を上回り、膀胱収縮を伴わずに尿が漏れるものである。尿道抵抗の低下を引き起こす病態としては、現在、尿道過可動(Urethral hypermobility)と内因性括約筋不全(Intrinsic Sphincter Deficiency  ;  ISD)の2つの病態が関与するといわれている。尿道過可動は骨盤内臓器を支える骨盤底筋群が緩み(骨盤底弛緩)、膀胱頸部が下垂し、腹圧の尿道への伝搬が阻害されることが主な病態といわれている。内因性尿道括約筋不全は、膀胱頸部・近位尿道が安静時でも開大し、軽度の膀胱内圧上昇により尿失禁が起こるもので、閉経後のエストロゲン低下による尿道粘膜萎縮、尿失禁手術・婦人科手術による尿道の変化などによることもあるが、原因不明のものも少なくない。実際の臨床例では2つの病態が種々の程度に混在する。
その他、外傷や医原性(経尿道的前立腺手術、根治的前立腺摘除術)、神経疾患(二分脊椎)などに基づく外尿道括約筋障害により腹圧性尿失禁が起こる。

図1 女性における腹圧性尿失禁の病態
図1 女性における腹圧性尿失禁の病態
 
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