「科学的根拠(evidence)に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究」厚生科学研究補助金(21世紀型医療開拓推進研究事業:EBM分野)

 
II.危険因子
 
文献 Ev level 対象患者と研究施設 目的と方法 結 果
Maraini G, Pasquini P, Sperduto RD, Rosmini F, Bonacini M, Tomba MC, Corona R: Distribution of lens opacities in the Italian-American Case-Control Study of Age-Related Cataract. The Italian-American Study Group. Ophthalmology 97 (6): 752-756, 1990 V45-75歳の加齢性白内障1008例
個別医療機関
加齢性白内障のイタリア系米国人症例対照研究の白内障混濁型式を水晶体混濁分類システム(LOCSI)を用いて分類する。
binomial test, カイ二乗検定, t検定
皮質混濁が最も多い。後嚢下混濁が少ない。皮質白内障は女性に多く、片眼白内障は左眼に多い。
Bochow TW, West SK, Azar A, Munoz B, Sommer A, Taylor HR: Ultraviolet light exposure and risk of posterior subcapsular cataracts. Arch Ophthalmol 107 (3): 369-372, 1989 IV後嚢下白内障168例、年齢、性、紹介パターンをマッチさせた同数の対照
メリーランド南部東海岸開業医(眼科)
紫外線(UV-B) 曝露の作用および後嚢下白内障発現の危険因子の研究
太陽光曝露、薬剤使用、職業、糖尿病、高血圧、他疾患の既往歴に関して問診
ロジスティック回帰分析、オッズ比p-valueはMcNemarの方法。
UV-B曝露が高いと後嚢下白内障リスク増大。ステロイド、糖尿病との関連が確認された。喫煙や高血圧は後嚢下の危険因子ではない。
Dolezal JM, Perkins ES, Wallace RB: Sunlight, skin sensitivity, and senile cataract. Am J Epidemiol 129 (3): 559-568, 1989 IV40歳以上の白内障手術を受けた入院あるいは外来患者160例。性別、年齢と一致させた対照(患者の友人や親戚から選別)
アイオワ大学病院およびアイオワ市のクリニック
日光曝露と老人性白内障との関連を調査する症例対照研究
1984年10月1日から1985年6月1日の期間に日光曝露歴を調査
McNemar、オッズ比
日光曝露と老人性白内障の間に関連性はない。しかし、核白内障では日光曝露に対し、対照よりも重症の急性皮膚反応があった。(McNemarオッズ比=1.73)。男性対照者は帽子の使用が生涯を通じて長い。
Robertson JM, Donner AP, Trevithick JR: Vitamin E intake and risk of cataracts in humans. Ann N Y Acad Sci 570: 372-382, 1989 IV白内障患者175例、個別に年齢と性をマッチさせた白内障のない対照175例。55歳以上。居住地域、ロンドン市、オンタリオ南西。ビタミンE、C摂取と白内障発生への影響について
ビタミンA、B、C、D、E。ステロイド服用の有無。喫煙。アルコール、コーヒー摂取
オッズ比、95%CI。多変量ロジスティック回帰分析
対照者でのビタミンCとEの利用が有意に高い。ビタミンC(p=0.01)。ビタミンE(p=0.004)。
Flaye DE, Sullivan KN, Cullinan TR, Silver JH, Whitelocke RA: Cataracts and cigarette smoking. The City Eye Study. Eye 3(Pt 4): 379-384, 1989 IV54-65歳のボランティア1029名
ロンドン、St. Bartholomew病院
白内障と喫煙の関係についての9年間の縦断的前向き疫学研究
相対危険度
中等度-高度の喫煙と核混濁が関係あり。核混濁の相対危険度は過去の軽度喫煙者を1.0とすると過去の高度喫煙者2.6、現在の高度喫煙者2.9となった。
Collman GW, Shore DL, Shy CM, Checkoway H, Luria AS: Sunlight and other risk factors for cataracts: an epidemiologic study. Am J Public Health 78 (11): 1459-1462, 1988 IV40-69歳の113例と年齢のマッチさせた対照161例
ノースカロライナでの疫学研究
太陽光曝露と白内障リスクの関連調査
インタビューデータと太陽光照射データを組み合せた
ロジスティック回帰分析。オッズ比、95%信頼区間
太陽光曝露は全部の混濁タイプを合わせたものとわずかに関連があった。皮質部、あるいは後嚢下混濁では中等度および高度曝露でリスクがわずかに増大した。こげ茶あるいは赤褐色眼ではリスクが高い。6ヵ月間トランキライザーを服用した者はリスクが高い。
Schwab IR, Armstrong MA, Friedman GD, Wong IG, Carpentieri AC, Dawson CR: Cataract extraction. Risk factors in a health maintenance organization population under 60 years of age. Arch Ophthalmol 106 (8): 1062-1065, 1988 IV60歳未満で1976-1980年に白内障手術を行った72例と年齢、性がマッチした対照
サンフランシスコ湾岸地域カイザーパラマウンテ診療プログラム
若年者(60歳未満)の健康医療団体(HMO)集団で白内障摘出になった例の危険因子についての症例対照研究
カイ二乗。ロジスティック回帰分析。
対象者の50%が既知の危険因子(外傷、眼内炎、糖尿病、梅毒、経口または局所ステロイド、眼手術既往)のうち1つ以上を有していた。男性患者は女性患者より平均4.3歳若かった。
Hiller R, Sperduto RD, Ederer F: Epidemiologic associations with nuclear, cortical, and posterior subcapsular cataracts. Am J Epidemiol 124 (6): 916-925, 1986 IV皮質白内障55人、核白内障104人、後嚢下白内障18人、対照1299人
国民健康栄養調査
1971-1972年の国民健康栄養調査のデータをもとに、白内障の型別危険因子を明らかにする
年齢、性別、糖尿病、収縮期血
相対リスク(RR)
核白内障は年齢(70歳vs50歳 : RR=38.6)。
後嚢下白内障は糖尿病(糖尿病vs非糖尿病 : RR=6.6)。皮質白内障は核、あるいは後嚢下白内障に比較して女性に多く、UV-B照射量の多い場所で高頻度。糖尿病では後嚢下白内障の危険度が核白内障より高い。(p<0.05)
Xue AN, Cai QY, Wang SQ, Zhou AS, Li WX, Fu P, Chen XS: Antioxidant status in persons with and without senile lens changes. Biomed Environ Sci 9 (2-3): 144-148, 1996 IV中年(45-54歳)と高齢(55-64歳)の老人性水晶体変化のある131例と透明水晶体の対照者131例抗酸化栄養素が放射線による過酸化栄養素から水晶体を保護できるか。
抗酸化状態を血漿、赤血球グルタチオンペルオキシダーゼ、赤血球スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ活性、血漿ビタミンEおよびA濃度により測定
t検定
対象者はビタミンAとEの血漿濃度が低く、グルタチオンペルオキシダーゼ活性は有意に低く過酸化脂質が高値。中年群の対象者は赤血球、血漿のグルタチオンペルオキシダーゼが低値。
Fryer JP, Granger DK, Leventhal JR, Gillingham K, Najarian JS, Matas AJ: Steroid-related complications in the cyclosporine era. Clin Transplant 8 (3 Pt 1): 224-229, 1994 Vシクロスポリンとステロイドを投与した成人腎移植患者748例ステロイドが白内障発生へのリスクとなる条件を明らかにする。
1年以上追跡 1ヵ月と1年におけるプレドニゾロン用量、ステロイド累積治療期間、性別、年齢、ステロイド拒絶反応、血圧など ロジスティック回帰分析
白内障発生に対する有意な変数は1年の時点におけるプレドニゾロン用量(オッズ比1.32、p<0.05)、ステロイドの累積治療期間(オッズ比1.65、p<0.001)、50歳以上の年齢(オッズ比1.85、p<0.0001)、移植前糖尿病(オッズ比1.63、p<0.0001)
Knekt P, Heliovaara M, Rissanen A, Aromaa A, Aaran RK: Serum antioxidant vitamins and risk of cataract. BMJ 305 (6866): 1392-1394, 1992 IV15年以上老人性白内障の47例(40-83歳)。対象各1名について年齢、性、地域をマッチさせた対照2名(94例)
国立フィンランド病院
血清中のα-トコフェノール、β-カロチン、レチノール、セレンが白内障発生のリスクとなるか。
血清中微量栄養素濃度(職業、喫煙、血圧、血中コレステロール、BMI、糖尿病など交絡因子を調整)
オッズ比(95%信頼区間)
血清中抗酸化ビタミン濃度の低値は老人性白内障の発生を予測させた。α-トコフェロールとβ-カロチン濃度が最低1/3と最高2/3間のオッズ比は各々1.9、1.7。α-トコフェロールとβ-カロチン濃度双方が最低1/3は最高2/3の患者に対してオッズ比は2.6。セレン、レチノール、レチノール結合蛋白の濃度は白内障リスクとはならない。
Libondi T, Costagliola C, Della Corte M, Facchiano F, Menzione M, Savastano S, Simonelli F, Rinaldi E, Auricchio G: Cataract risk factors: blood level of antioxidative vitamins, reduced glutathione and malondialdehyde in cataractous patients. Metab Pediatr Syst Ophthalmol 14 (2): 31-36, 1991 IV白内障手術適応例42例。年齢をマッチさせた非白内障者40例抗酸化栄養素と老人性白内障発生との関連を明らかにする
血漿、赤血球のビタミンC、E、還元グルタチオン、マロンジアルデヒドを測定
Student's t test、カイ二乗検定
ビタミンCは対象者4.46γ/ml、対照者4.62γ/ml、ビタミンEはそれぞれ7.70、7.09γ/ml。過酸化脂質は4.06、4.08pmol/ml
Jacques PF, Hartz SC, Chylack LT Jr, McGandy RB, Sadowski JA: Nutritional status in persons with and without senile cataract: blood vitamin and mineral levels. Am J Clin Nutr 48 (1): 152-158, 1988 IV40-70歳、老人性白内障112例栄養状態の科学的マーカーと老人性白内障発生の関係を明らかにする
ロジスティック回帰分析、オッズ比。
皮質白内障ではビタミンDとカロチノイド低下がリスクとしてみられる。白内障患者は血中のビタミンC値が低くビタミンB-6とセレニウムが高値である。
HayashiLiju Chu: 紫外線による部位別水晶体の混濁と曝露時年齢との関係. 帝京医学雑誌 21 (5): 353-363, 1998 IV年齢50-59、60-59、70歳以上の白内障患者で、皮質型140人(男39、女101)、核型65人(男24、女41)、後嚢下型52人(男21、女31)。対象者と性ならびに年齢をマッチさせた非白内障者男59人、女107人。ヒト水晶体各部位(核、皮質、後嚢下)への紫外線曝露の影響
多重ロジスティック回帰分析、オッズ比
95%信頼区間
女性で核、皮質および後嚢下型の混濁が紫外線照射量に伴って有意に増加した。核型混濁は19歳以降、後嚢下型混濁では19-25歳での紫外線曝露量が関連していた。皮質型混濁は紫外線曝露量と関係がない。
Age-Related Eye Disease Study Research Group: A randomized, placebo-controlled, clinical trial of high-dose supplementation with vitamins C and E and beta carotene for age-related cataract and vision loss: AREDS report no. 9. Arch Ophthalmol 119 (10): 1439-1452, 2001. II55-80歳の4629例
11施設
高濃度のビタミン、ミネラルの加齢性黄斑変性症、老人性白内障に対する進行防止効果判定
7年間の追跡
β-カロチン、Vt.C.E.
通常量の総合ビタミン剤を摂取可能
混濁の程度を細隙灯顕微鏡写真、徹照写真で判定
(Wisconsin system for classfication of cataracts from photographs を基本) 核は1.5単位以上、皮質は10%以上、PSCは5%以上を増悪と判定 Wilcoxon-Mann-Whitney、life-table method、GEE(generaliged estimating equations)、Cox's proportional hazard model for multivariate time to event data
ドロップアウト33例を除く、4596例で検討 コントロールとの間で背景に差なし。
5年以上の追跡 混濁(核、皮質、後嚢下、手術例)に有意差なし。
 
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