(旧版)EBMに基づく 胃潰瘍診療ガイドライン 第2版 -H. pylori二次除菌保険適用対応-

 
第2部 胃潰瘍診療ガイドライン―解説―

 
2.出血性潰瘍診療指針
2-2内科的治療

2)フローチャート

日本では,出血性胃潰瘍は日常診療でよく遭遇する疾患であり,止血後の再出血予防に対する対応は重要な問題である。現在,出血性胃潰瘍については出血点が明らかなものは内視鏡的止血治療を行い,絶食のもとに胃酸分泌抑制薬の投与が一般に行われている(図3)。したがって,これらの治療の有用性を明らかにする必要があるが,解析の科学的根拠となる上部消化管出血に関するランダム比較試験(RCT)の多くが海外で行われており,海外では上部消化管出血の原因として十二指腸潰瘍が多く,胃潰瘍についての根拠となる試験成績が乏しいのが現状である。また,内視鏡的止血法の普及とクリップを中心とした処置具の開発により,出血点が明らかのものは内視鏡的止血治療単独で90%以上の止血効果が得られるようになった1)ことや,治療効果が再出血そのものではなく手術率,死亡率などの総合的項目で判定されていることから,RCTにおいても相異なる結果が得られている。特に,内視鏡的止血治療は年々その技術は進歩しており,研究が行われた年代により止血率が異なり,さらに,各施設における成績に差異があることが成績の違いに大きく関わっている可能性がある。

図3 出血性胃潰瘍の診療フローチャート
図3出血性胃潰瘍の診療フローチャート

 

 
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