(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版
15.糖尿病合併妊娠と妊娠糖尿病
解説
8.GDMのスクリーニング
わが国のGDMの頻度は全妊婦の1〜3%である.GDMスクリーニングは費用便益分析で,新生児ケアのコスト削減のために有益であることが示されている.将来の糖尿病発症の高リスク群検出の有益性については,明確な根拠が得られていないが,糖尿病の発症予防に役立つ可能性がある.
すべての妊婦に一律に血糖値によるスクリーニングを行う非選択的スクリーニングと低リスク集団をスクリーニングから除外する選択的スクリーニングがある.米国糖尿病学会e)では低リスク群として,GDMの頻度が少ない人種(白人),1親等の家族に糖尿病がないこと,年齢25歳未満,妊娠前体重が正常,糖代謝異常の既往がないこと,不良な産科歴がないことを挙げ,このような妊婦には必ずしもスクリーニングをする必要がないとしている.わが国では低リスク集団に関するデータが十分に得られていないこと,また,都会的生活を行うアジア人は高リスク群とされていることから,現時点では全妊婦にスクリーニングが行うことが望ましいと考えられる.
また,わが国で妊娠初期にGDMの約70%が検出されるという報告がある16),17).これらのほとんどは妊娠前から存在したが見逃されていた耐糖能低下(糖尿病を含む)であると考えられる.
精度のよい血糖検査によるスクリーニングの方法としてGCT(glucose challenge test)14),15)があるが,これは食事摂取の有無にかかわらず任意の時刻に50gのブドウ糖を経口負荷し,1時間後の静脈血漿ブドウ糖値を測定する方法である.140mg/dL以上であれば診断試験としての75g経口糖負荷試験を行う.感度,特異度はおおむね70〜80%である.随時血糖によるGDM検出感度はGCTに比較すると劣る33).また,尿糖によるGDMスクリーニングの精度は不良である34).
すべての妊婦に一律に血糖値によるスクリーニングを行う非選択的スクリーニングと低リスク集団をスクリーニングから除外する選択的スクリーニングがある.米国糖尿病学会e)では低リスク群として,GDMの頻度が少ない人種(白人),1親等の家族に糖尿病がないこと,年齢25歳未満,妊娠前体重が正常,糖代謝異常の既往がないこと,不良な産科歴がないことを挙げ,このような妊婦には必ずしもスクリーニングをする必要がないとしている.わが国では低リスク集団に関するデータが十分に得られていないこと,また,都会的生活を行うアジア人は高リスク群とされていることから,現時点では全妊婦にスクリーニングが行うことが望ましいと考えられる.
また,わが国で妊娠初期にGDMの約70%が検出されるという報告がある16),17).これらのほとんどは妊娠前から存在したが見逃されていた耐糖能低下(糖尿病を含む)であると考えられる.
精度のよい血糖検査によるスクリーニングの方法としてGCT(glucose challenge test)14),15)があるが,これは食事摂取の有無にかかわらず任意の時刻に50gのブドウ糖を経口負荷し,1時間後の静脈血漿ブドウ糖値を測定する方法である.140mg/dL以上であれば診断試験としての75g経口糖負荷試験を行う.感度,特異度はおおむね70〜80%である.随時血糖によるGDM検出感度はGCTに比較すると劣る33).また,尿糖によるGDMスクリーニングの精度は不良である34).