(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版

 
3.食事療法


解説

2.炭水化物摂取
最近の米国,カナダ,ヨーロッパなどの欧米のガイドラインでは炭水化物の摂取を50(45)〜60%としており,RCTを解析した近年のEBMに基づく勧告では55〜65%が提案されている8)が,日本国内におけるevidenceはいまだ乏しく,また摂取下限に関するコンセンサスが得られていない現状では60%を超えない程度とすることが望ましい.炭水化物の血糖値に及ぼす影響についての検討では,食物から摂取する炭水化物の総量のほうが,炭水化物の種類や形態より重要である.特にわが国においては一般にショ糖の摂取制限が勧められるが,ショ糖が同量の炭水化物を含むでんぷんより血糖値を上昇させるevidenceはないので9),10),必ずしも厳格なショ糖の摂取制限にこだわる必要はない.しかし,糖尿病者ではショ糖を含む食品は一般に摂取過剰に陥りやすいことなどから,できる限りショ糖を他の炭水化物に切り替えることが望ましい.また,ショ糖を含む食品は朝昼夕の食事中に摂取することが望ましい.インスリン治療中の患者で特に日々の投与インスリン総量が固定されている患者では,1日に摂取させる炭水化物量はなるべく一定にすることが勧められる.
菓子,ジャム,清涼飲料などはショ糖を多く含み血糖値および中性脂肪を上昇させるためなるべく少なくすることが望ましい.糖尿病者では果糖は肝臓でブドウ糖に転換し血糖値を上昇させるため,果物は1単位を厳守させる.


 
ページトップへ

ガイドライン解説

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す

診療ガイドライン検索

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す