(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版
2.糖尿病治療の目標と指針
解説
1.糖尿病治療の目標
糖尿病はインスリン作用の不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群である.インスリン作用不足による代謝障害の程度が軽度であればほとんど症状が現れず,そのため長期間放置されることがある.しかし,血糖値が著しく高くなる代謝状態では口渇,多飲,多尿,体重減少がみられ,さらには急性合併症として意識障害や昏睡に陥り,効果的な治療が行われなければ死に至ることもある.代謝障害が軽度でも長く続けば特徴的な慢性合併症(すなわち網膜症,腎症,神経障害)を発症するリスクが高い.さらに,糖尿病では全身の動脈硬化症が促進され,これが心筋梗塞,脳梗塞,下肢の閉塞性動脈硬化症の原因となる.また細菌感染に対する抵抗力の低下をもたらす.
糖尿病治療の目標は,これら糖尿病に特徴的な急性合併症と慢性合併症,および糖尿病に併発しやすい合併症の発症,増悪を防ぎ,健康者と同様な日常生活の質(QOL)を保ち,健康者と変わらない寿命を全うすることである.
糖尿病治療の目標は,これら糖尿病に特徴的な急性合併症と慢性合併症,および糖尿病に併発しやすい合併症の発症,増悪を防ぎ,健康者と同様な日常生活の質(QOL)を保ち,健康者と変わらない寿命を全うすることである.