(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版

 
1.糖尿病診断の指針


解説

8.糖尿病の診断基準を適用する上で配慮すべき点
糖尿病の診断基準を適用する上で配慮すべき点に触れる(表3).血糖基準値はひとつの目安であって,それのみを金科玉条とすべきものではない.特に高血糖の程度が軽いものでは家族歴,患者の過去の病歴,体重歴などを参考として総合的に判断する.インスリンの測定もよい判断材料になる.糖尿病型であっても年齢,代謝異常の程度,肥満度,合併症の有無などによって対処の仕方は変わる.詳細は本書のそれぞれの項目を参照されたい.
合併症をきたしやすいかどうかには遺伝素質がかかわっていると考えられている.たとえば,空腹時血糖145mg/dLは人によっては危険なレベルではなくても,別の人にとっては十分網膜症が進行するレベルかもしれない.現在は個人差を無視して一律に血糖基準値を決めているが,今後遺伝子検査などによって個人個人の合併症のリスクが予測できるようになれば,糖尿病の診断のための血糖基準値もリスクの程度別に配慮する時代がくる可能性もある.


表3 糖尿病の診断基準を適用する上で配慮すべき事項
  • 血糖基準値を金科玉条としない
    • 血糖測定値,特にOGTTの再現性の問題
  • 種々の情報を併せて総合判断する
    • 病歴,家族歴,体重歴,他の疾患の有無など
  • 「糖尿病型」であっても対処の仕方は一様ではない
    • 年齢,代謝異常の程度,合併症,他疾患など
  • 高血糖による合併症の危険度には個人差がある
    • 合併症の家族歴も参考になる



 
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