(旧版)「喘息ガイドライン作成に関する研究」平成11年度研究報告書/ガイドライン引用文献(2000年まで)簡易版抄録を掲載
6-4-2-2.抗アレルギ-薬
前文
一般的に,成人の中等症から重症の喘息患者には抗ヒスタミン作用薬は効果が少ないとされているが,アレルギー性鼻炎などの合併例が多いため,実際には抗ヒスタミン作用薬が使用される頻度は高い。この場合,高齢者ではクリアランスが低下しているため常用量の連用でも過剰投与となることがあり,中枢神経抑制症状や口渇等の症状が出現し易いために血中濃度のモニターをすることが望ましい。また,近年多く使用されるようになったロイコトリエン拮抗薬については,高齢者のみでの検討はないものの,青少年から壮年後期の症例において安全に使用できることが示されている。
推奨:高齢者喘息に対する抗アレルギー薬の適用基準は成人と同様であるが,安全性は確立されていないため副作用の発現に注意して使用することが望まれる(B)。
科学的根拠
喘息,高齢者,抗アレルギー薬で検索し,最近10年間の77編を検討したが,高齢者喘息に限定して抗アレルギー薬の効果や副作用を検討した論文はなかった。
非アトピー型の比率が高い高齢者喘息においては抗ヒスタミン薬の有効性は低く5),使用に当たり副作用のモニターの重要性が報告されている6)。一方,中高年を含む成人症例においてロイコトリエン拮抗薬は有効な薬剤であり,副作用も軽微であることが報告されている7),8)。
(RCT)
論文コード (年代順) | 対象 | 試験デザイン | 結果 | 評価 |
Nathanら7) 1998 | 454例,12-68歳,軽症,中等症 | 経口薬zafirlukast朝夕2回投与群(231)vsプラセボ朝夕2回投与群 (221),(二重盲検,プラセボ対照,多施設),13週 |
| II‐B |
Malmstromら8) 1999 | 895例,15-85歳,軽症,中等症 | montelukast夕一回内服群vs BDP400μg/日とプラセボとの比較(二重盲検,プラセボ対照,多施設),12週 |
| II‐B |
結語
成人喘息同様,ロイコトリエン拮抗薬等の効果が期待されるものの,高齢者では潜在的に内臓諸器官の機能低下を来していることから,副作用の発生頻度も高いことを考慮しておかなければならない。