(旧版)「喘息ガイドライン作成に関する研究」平成11年度研究報告書/ガイドライン引用文献(2000年まで)簡易版抄録を掲載
(3) 室内空気汚染
前文
現代では,小児も成人もほとんどの時間を室内で過ごすため,室内汚染物質が重要な因子となっている。現代の建築技術の進展により気密性が高まり,暖房器具や建材から発生する二酸化窒素,亜硝酸などの窒素酸化物,二酸化硫黄,ホルムアルデヒド等の室内汚染物質が無視できないものとなっている。
推奨:暖房器具(石油ストーブ,ファンヒーター等)を室内に置かないようにし,また建材から発生する室内汚染物質などを室内から除去するために換気に気をつける。新建材の選択にも細心の注意を払う。(B)
科学的証拠
前項と同様の検索でさらに室内に関しては6編ありこれを検討した。
石油ストーブなどの暖房器具により亜硝酸は容易に室内で100ppbの高濃度に到達する。この濃度の亜硝酸は気道を損傷し,肺機能に影響を与える可能性がある29)。同様に暖房器具や調理器具が発生源と考えられる二酸化窒素は,0.6ppmの濃度で気道過敏性30)を,また抗原(house-dust mite)に対する喘息患者の気道の反応性31)を亢進させることが報告されている。
(RCT)
論文コード (年代順) | 対象 | 試験デザイン | 結果 | 評価 |
Tunnicliffeら31) 1994 | 10例, 19〜47歳 中等症 | 室内で到達しうる濃度(200 ppb,400 ppb)のNO2ガスあるいは
airを吸入する(二重盲検) 1時間吸入 | NO2(400 ppb)はcontrol airに比しEAR,LARのの反応を強く起こす。NO2(100 ppb)は有意差がない | II-B |
結語
暖房器具,建材から発生する室内汚染物質は,喘息の発症に寄与する可能性が高く,汚染源の除去,換気に注意を要する。