2 診断・治療 CQ15 ESWL の破砕治療効果を予測できる因子は何か?

CQ/目次項目
2 診断・治療 CQ15 ESWL の破砕治療効果を予測できる因子は何か?
1
推奨/回答

結石の大きさは結石破砕の効果を予測するのに有用である。

推奨の強さ

B:エビデンスがあり,推奨内容を日常診療で実践するように推奨する。

2
推奨/回答

腎内の存在部位(上腎杯,中腎杯,下腎杯,腎盂)は結石破砕の効果を予測するのに有用である。腎盂結石は完全排石率が高く,下腎杯結石は完全排石率が低い。

推奨の強さ

B:エビデンスがあり,推奨内容を日常診療で実践するように推奨する。

3
推奨/回答

単純CT による結石のCT 値(Hounsfield unit:HU)は結石破砕の効果を予測するのに有用である。結石の平均HU が小さいものは排石率が高い。

推奨の強さ

B:エビデンスがあり,推奨内容を日常診療で実践するように推奨する。

4
推奨/回答

単純CT による皮膚―結石間距離(skin-to-stone distance:SSD)は結石破砕の効果を予測するのに有用である。SSD が小さいものは排石率が高い。

推奨の強さ

B:エビデンスがあり,推奨内容を日常診療で実践するように推奨する。

5
推奨/回答

年齢は衝撃波治療効果の予測因子である。高齢者の完全排石率は若年者に比べて低下する。

推奨の強さ

B:エビデンスがあり,推奨内容を日常診療で実践するように推奨する。

6
推奨/回答

下腎杯結石に対して,下腎杯の解剖学的形態に関して検討された種々の因子に関しては一定のコンセンサスが得られていない。

推奨の強さ

C1:エビデンスは十分とはいえないが,日常診療で行ってもよい。

結石因子として結石の大きさ,結石数,結石の存在部位,KUB でみた結石の濃度,CT でみた平均のCT 値(Hounsfield unit:HU),皮膚―結石間距離(skin-to-stone distance:SSD)など様々な因子が検討されている。

結石の大きさ,数
結石の大きさに関しては長径,短径,面積,体積などが検討されている。いずれも完全排石の予測因子としている報告が多い。そのカットオフ値に関しては,結石の部位により様々な報告がされている。結石数についても,単発結石は多発結石に比し完全排石率が高いとの報告が多い。

結石の存在部位
腎内の結石存在部位については腎盂結石が完全排石されやすく,下腎杯結石の完全排石率は他に比較して低下している。この原因として,下腎杯結石は重力の影響で破砕された結石片が移動しにくいことが考えられる。
結石片の移動に関して解剖学的な影響をみるため,下腎杯の形態に関してIVU 所見より下腎杯の長さ,下腎杯の高さ,下腎杯頸部の径,下腎杯頸部の径と下腎杯の長さの比,下腎杯の軸と腎盂の軸の角度など種々の因子が検討されている。それぞれの報告で予後因子として報告されているものが異なり,またどれも予後因子ではないという報告もあり,一定のコンセンサスが得られていない。

結石の濃度
KUB でみた結石の濃度と治療成績との関係では,従来から第12 肋骨より濃度の濃い結石の排石率の低下が報告されている。

CT 値
近年マルチスライスCTが普及し,日常的に結石の診断に用いられるようになったことより,CT により得られる情報に関して多くの検討がなされ報告されている。結石のCT 値(HU)を用いる報告が多くみられる。平均HUが高い結石ほど完全排石率が低いとの報告が多くみられている。そのカットオフ値は593~1,200 HU まで報告されており結論は得られていないが,1,000 HU 程度を用いているものが多い。

SSD
また,衝撃波は結石に到達する前に体内にて減衰するため,体表から結石までの距離が短いほど有効であると考えられる。そのためCT 所見としてSSD が検討され,多くの報告でSSDが完全排石の予測因子であるとされている。SSD の測定は,単純CT 横断像において結石中心より皮膚までの距離を垂直,水平および45°の3 方向で測定し,その平均をとった報告が多い。そのカットオフ値は9~11 cm と報告により様々である。

患者側因子
患者側の因子としては年齢,BMI などが検討されている。年齢に関して小児例の成績は良好であるとされている。その理由としては尿管の長さが短いこと,伸展性が良好であることやSSD が小さいことなどが推測されている。また,若年者に比して高齢者では完全排石率が低いとの報告が多くみられる。その理由として,高齢者では腎組織の硬化などにより衝撃波の減衰が生じることなどが推測されている。 BMI に関しては,予測因子とする報告もあれば,予測因子でないとする報告もあり,様々である。BMI は先に述べたSSD に関連するが,SSD のほうがより強い予測因子であるためであろう。

(本文,図表の引用等については,尿路結石症診療ガイドライン 2013年版の本文をご参照ください。)

もどる もどる
ページトップへ

ガイドライン解説

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す

診療ガイドライン検索

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す