ガイドライン

根拠と総意に基づくカンガルーケア・ガイドライン(完全版)

書誌情報
評価スタッフによるスコアリング、コメント


スコアの変遷
評価者 1回目 2回目 3回目
top1.1 top1.2 top1.3 top2.1 top2.2 top2.3 top3.1 top3.2 top3.3
1 6 5 9 5 8 9 9 7 9
2 6 8 9 8 8 9 9 9 9
3 9 9 9 9 8 9 6 8 9
4 7 8 7 8 8 7 8 7 8
5 7 8 8 8 8 7 8 8 9
6 8 9 8 7 8 7 7 8 8
7 8 7 6 8 8 7 9 8 9
8 1 5 7 7 9 5 6 9 6
9 7 5 8 8 8 7 8 9 9
10 9 5 9 8 4 7 9 6 6
11 1 5 7 3 8 7 3 7 7
12 7 5 9 9 5 8 8 4 9
度数 12 12 12 12 12 12 12 12 12
平均値 6.3 6.6 8.0 7.3 7.5 7.4 7.5 7.5 8.2
中央値 7 6 8 8 8 7 8 8 9
最頻値 7 5 9 8 8 7 8 8 9
最小値 1 5 6 3 4 5 3 4 6
最大値 9 9 9 9 9 9 9 9 9


全評価終了後のコメント
  • ◆ やはり赤ちゃんはお母さんが抱いてあげることが基本ではないかとおもいます。カンガルーケアとして特殊なケアとして考えるとややこしくなるような感じがします。もちろん24週で生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこした方が良いなんて言いづらいですが、医療に「赤ちゃんを抱っこする行為」を利用するのではなく、出来るだけ長く赤ちゃんを抱ける環境を作っていくのが自然かなと考え評価させてもらいました。
  • ◆ 大変興味深いプロセスでした。前提条件が、大変良いと思いました。
  • ◆ 
    • カンガルーケアを行うにあたって:前提条件 推奨度8:カンガルーケアを実施する、しないの事実だけではなく、ご両親と児の心身を満たし、親子の心理・身体的変化を良い方へ向かう手助けが、私たち医療スタッフができればと思います。
    • 今の私が所属しているNICUでは様々な事情により、カンガルーケアが十分にできないのが、悲しい現実です。ガイドラインができ、少しでも、親子関係の構築のお手伝いができればと思っています。
  • ◆ 前回にも記載しましたが、ガイドラインというとあたかもその通りに実施しなければならないと思う人もいるのが現状です。とかく医療者(特に看護師は)まじめな人が多く、良いと思うことは何でもやりたがる傾向にあるように感じます。あくまでもガイドラインだからできることから、できる施設から、できる状況の時に実施という説明が必要ではないかと感じてしまいます。


コメントと推奨文の変遷
トピック1:全身状態が落ち着いた低出生体重児に対する「カンガルーケア」

トピック1:評価1回目(2008年5月)
推奨グレードA 全身状態がある程度落ち着いた低出生体重児には、安全面に配慮した上で、24時間継続して行うカンガルーケアを行うことが薦められる。
  • ◆ 24時間継続して行うカンガルーケアについて、安全性、有効性において完全母乳育児の割合や体重増加、母乳分泌量の増加など科学的根拠は強く、感染症のリスクが低いため、可能な限りすすめるべきである。ただ、先進国からの報告がないため、施設内において24時間継続カンガルーケアは、現実的に制限が多く、理想は24時間継続であるが、実際に施設で行なう時は、面会状況に応じた「可能な限り長時間」のカンガルーケアを管理面・安全面や母の疲労度など考慮する必要があり、酸素飽和度のモニタリングに留意する必要がある。「24時間継続」から「可能な限り長時間」としたほうが現実的であり、実施可能な限り努力されると思われる。
  • ◆ 多くの動物を見てもやはり子どもは母親にくっついているべきと思いますが、具体的に24時間継続することが出来るのかが、よくわかりませんでした。具体的方法がわからなかったため安全性についても検討できませんでしたが、母親が眠ったときに安全性が確保できるかが不安です。そのため気持ちは賛成ですが、中間という賛成度にさせてもらいました。
  • ◆ 根拠が途上国からの報告であり、先進国からの質の高い科学的根拠がない。我が国で実施する際には安全面への配慮から酸素飽和度のモニタリングなどに留意する必要がある。推奨内容から考えると、安全面で危惧される。また、「24時間継続」ということに対する母親の負担は無いかどうか不明である。以上より、WHOのカンガルーケアの手引きに「頻回な状況の変化は児にとってストレスが多いことから、1回の実施時間は最短でも60分以上、できればおむつ交換以外は中断せずに肌と肌の触れあいの時間を持つことを薦めている」ということであるため、24時間継続ということではなく、できる時間で60分以上実施ということでは如何であろうか。
  • ◆ ハード面の問題としてプライバシーを保てる空間が確保できない現状があることです。まだ周産期が始まったばかりで十分に環境が整っていない。また母児同室が1室のみ。NICUはワンフロアのため業務や回診の際に支障がでる恐れありです。ソフト面としては男性看護師としてママカンガルーの前後は関われるものの長時間のカンガルーの際は安全面の配慮が難しいと思われます。ところで「実施時間の検討」の中で採血、注射中も実施可能というのは初耳で興味ありの内容でした。
  • ◆ 基本的には賛成だが、先進の国での検討がまだ不十分で、現在の日本ではほとんど経験がない。安全性において有害事象の報告はなかったとはいえ、不安は感じる。また、行う場所についても検討する必要がある。NICU内で母親が24時間過ごすことは考えにくく、一般病棟で過ごすことになると考えられる。その際の安全性の確保や病棟の運営など、不明な点が多く、日本である程度試験的に実施検討した上で、ガイドラインで推奨する方が望ましい。現段階では、「24時間→可能な限り長時間」とする方が良い。効果に関しては途上国同様期待できるように思う。
  • ◆ カンガルーケアは絶対必要と思う。入院中は、親子のふれあいが少なく、親も精神的に不安定になる。なので、24時間カンガルーケアは、親子ともに良いと思いますが、家庭で行うには、呼吸管理など安全面が心配です。でも、カンガルーケアとは関係ないかもしれませんが、赤ちゃんにとって、家族の中で生活することは、情緒とかに良い刺激になって、発達を促すような気がします。
  • ◆ 未だに質の高い研究が報告されていない点で、今後の慎重な検討を要すると考えられます。ただし先進国での24時間の拘束は現実的に難しいかもしれません。
  • ◆ 酸素飽和度のモニタリングの下で、可能な限り長くカンガルーケアを実施するのであれば推奨できます。
  • ◆ 途上国で行われているように早期退院をして家庭で行うのかなど、具体的な実施方法が明確ではない。また、母親または父親にとって、24時間継続して行うカンガルーケアがどういう意味を持つのかという点について、エビデンスが乏しい。
  • ◆ 科学的根拠もあり、推奨度は最高点で問題はみうけられない、と思います。
  • ◆ 退院時の完全母乳哺育の割合や、ケアに対する母親の満足感は高いと有効性があるので児の呼吸状態や酸素飽和度のモニタリングなどに留意しながら賛成です。
  • ◆ 研究データでの安全性もあるようで、推奨できると考えます。採血や点滴などの侵襲的な医療行為も、カンガルーケアをしながら行うことで、子どものストレスの軽減になると思います。ひとつ気になることは、24時間母親だけで行うには精神的にも、肉体的にも負担が強いのではと思います。ボゴタのオリジナルのカンガルーでは、父親、祖母など家族で交代で行っていたように思います。母親への配慮として、家族に協力してもらえるといいのではないかと思います。


トピック1:評価2回目(2008年6月、ワークショップ終了後)
推奨グレードA 全身状態がある程度落ち着いた低出生体重児には、安全面に配慮した上で、できる限り長時間、カンガルーケアを行うことが薦められる。
  • ◆ 24時間という言葉は現実性と物理的にムリそうである。
  • ◆ 安全面に配慮しながら、実施。
  • ◆ スウェーデンの写真をみてイメージがしやすかった。ハードな面ではまだ検討の余地があるが目標としたい。
  • ◆ カンガルーケアはとても良い治療法だと思います。児の安全第一の上で、家族と話し合いながら、その家族にあったスタイルでカンガルーケアがすすめられたら、と願います。
  • ◆ 母子同室を前提とすると幅がせまくなる可能性があるので、努力目標とすべきと思う。
  • ◆ ハード面での充実も必要だと思った。
  • ◆ 「××の希望のもとに」ということは両刃の剣だと私は常に思っています。十分な情報提供がなく、中途半端な情報と医療者の誘導で、西洋諸国では、女性は「自らの希望として」帝王切開や硬膜外麻酔を選ぶようになっています。カンガルーケアの場合は、たとえば「○○新聞が危ないといっていたからやりたくない」とかいわれるんじゃないですか?エビデンスを云々しているのだから、わたしは「希望の下に」とか「心理・社会的支援」は、ここにはふさわしくないと思う。
  • ◆ 会場では24時間又はできるだけ長く、母児同室の方が良いなどの意見があった。24時間継続したカンガルーケアは、コロンビア地方での慣習的に行われていることだと感じられるため、カンガルーケアの持続ということよりも、母児同室としていつでも両親と子の愛着形成を育む方法の方が我が国の文化や風習になじむのではないかと思う。母児同室に関しては、推奨度は8でも良いと思うが・・・。
  • ◆ 24Hという言葉が、カンガルーケアが特別なことという概念を振り払うと思われる。


トピック1:評価3回目(2008年8月)
全身状態がある程度落ち着いた低出生体重児(注1)には、まず母子同室を行った上で、出来る限り24時間継続した(注2)カンガルーケアをすることが薦められる。
  • ※注1 ここでは、体重が2500g未満の児で、バイタルサイン(体温、呼吸数、脈拍数など)が安定していて、原発性の無呼吸(呼吸中枢の未熟性による無呼吸)がない、または治療済みの場合をさします。
  • ※注2 出来るだけ長時間、出来るだけ中断なく実施することが望まれます。
  • ◆ 実際に行うためにはプライバシーの問題、部屋の指摘温度、スタッフの配置・・・問題は色々出てくると思いますが、NICUにおける母子分離は大きな問題であるためサポート体制を整え実施されると良いと思います。
  • ◆ 「24時間継続して」を目指すことが理想であり、ガイドラインの文章としては良い。ただし、実施可能な環境を整えるには、大変な困難が予想される。
  • ◆ 24時間カンガルーは大きな挑戦でもあると思うので、家族が“24時間やらなくてはいけない”などと、負担に思ってしまわないように出来る限り24時間の前に“徐々に”などと加えたらどうでしょうか。
  • ◆ ○○先生が述べられていましたように、母子分離は考えられない状態だと思います。そういう点でカンガルーケアは有効なサポート方法の一つと思っています。今回の推奨に関して、先進国、発展途上国の差に関する論議がありましたが、いろんなレポートを拝見するについて、日本も真摯に考えていく必要性を痛感しました。推奨に関しては、非常に満足するものになったと感じています。
  • ◆ トピック3の様にモニタリングのことや家族への説明をいれたほうがいいのではとトピック3を見た後に思いました。
  • ◆ 24時間継続は少し母親の負担も多いのではと思います。そのあたりの配慮を現場でしていただき、強制にならないと良いと思います。
  • ◆ 「出来る限り24時間継続したカンガルーケアをすることが薦められる。」の文言からは、24時間継続したカンガルーケアが一番効果的であるというメッセージが感じられ、無理をしてでも24時間ケアを行わなければいけないのではないかと母親や家族に思わせてしまう危惧を覚えます。「できる限り継続したカンガルーケアをすることが薦められる。状況が許せば、24時間継続したカンガルーケアをすることが薦められる。」という文章のほうが、より相応しく思われます。
  • ◆ 有効性のEBMを読んでも、退院時の完全母乳育児の割合や母親の満足度が高いことを除けば、どうしても実施しなければならないことだとは思えない。母児同室としてでも両親と子の愛着形成を育む方法の方が我が国の文化や風習になじむのではないかと思う。母児同室に関しては、推奨度は8でも良いと思う。特にNICU・GCUでは面会制限のある施設もまだあるため、むしろ母児同室を薦めることが急務ではないかと考える。
  • ◆ 文章として良いと思います。時間も大切ですが、もちろん質も大切にしたいですね。
  • ◆ 科学的根拠にも基づいており、文章自体に特に問題も感じません。


トピック2:集中治療下にある児に対する一時的な「カンガルーケア」
トピック2:評価1回目(2008年5月)
推奨グレードB 集中治療下の早産児・低出生体重児にカンガルーケア(skin to skinの抱っこ)を施行する際は、体温・酸素飽和度などのモニタリングや理学所見の観察を行いながら、児の状態(疲労具合、経過)も考慮するなどの、最大限の安全面での配慮が必要である。
  • ◆ 当院でも急性期が過ぎて、長期呼吸器管理の必要な子どもには母親に勧めて、希望されれば人工換気下でのカンガルーケアを行っています。長期母子分離の弊害をなくし、母子の絆を深めるのが目的です。しかしこの場合、確実に安全に行えることが、何より母子にとっても大切です。計画外抜管がないように、子どもの状態が悪くならないように、ケアの前から終了後までの病棟スタッフの配慮が大切です。それだけの準備がないと難しいと思います。
  • ◆ 賛成。
  • ◆ 現時点では、十分な有効性に関する報告も少ない点で、治療中のまだ安定していない児に対しては、慎重な監視が欠かせないと考えられます。
  • ◆ 有効性に関して、児と両親の心理的要因が考慮されていない。また、最大限の安全面での配慮は必要であると思うが、それが、両親の不安を高める結果にならないかという点で、検討が必要。両親が不安と緊張を高めると、児も心地よくケアを受けることができない。
  • ◆ 安全性に関しては、海外同様日本でも多くの研究がなされ、一定の基準を設けることで安全に行えると考えられる。すでに日本でも広く行われており、受け入れられやすいだろう。科学的根拠は乏しい状況だが、それを作っていくのは日本の役割だと思う。
  • ◆ 開始時期の判断は難しいかもしれませんが、児の体と精神面の発達のためには、必要不可欠と確信しています。親も同様。出産後は特に不安定なので、児の温もりを必要としていました。カンガルーケアが無かったら、親も入院中、耐えられなかったと思います。家庭に帰ってきたあとの育児にも、今の親子関係にも必要なものでした!
  • ◆ 早産児・低出生体重児にたいして科学的根拠は弱いが、状況に応じて、集中治療下においてのカンガルーケアの試行が必要な状況はあるが、急性期はバイタル・血圧変動・ストレスなどによる、合併症のリスクが高く、積極的に薦められるものではない。集中治療下(急性期は除く)といれてはどうか。
  • ◆ 出来るだけ早期からやはりSkin to skinをする方が良いと思います。が、安全性に関して生後48時間とか時間ではなく他の条件を入れるほうが良いのではと思います。「安全面に最大限配慮」の表現は、あまりにも当たり前すぎるのではないかと思います。
  • ◆ かなりケースバイケースと思いましたが、特に母親(時に父親)に対して愛着形成・精神的安定を図るという意味では絶大なる効果が望めるのではと思います。しかしリスクも大きくカンガルー中に状態の変化が見られた場合精神的ダメージもあるので、早いうちに積極的にすすめることはせず家族との関係を構築しつつ家族がある程度のリスクを理解したうえでの実施が望ましいと考えます。疑問点としては「まとめ」の酸素飽和度の低下ですが、よく眼科受診の後それが侵襲となって落とす児が多いのですがそれと同様のことなのかと思いました。
  • ◆ 集中治療下においては児の生命の維持、安全が優先で、30週台前半までは出生後72時間はカンガルーケアの実施は考えたほうが良いと思います。何事にも児の状態に応じてカンガルーケアを実施する必要があります。急性期を脱し、児の状態が落ち着いていれば酸素飽和度・呼吸などのモニタリング下において実施する。またご両親の心理状態に応じて、実施を検討する。
  • ◆ 文献自体がちょっと足りないですよね。システマティックレビューも、これは大学院生の修士論文のままのようですが、出版されていないのでしょうか? 出版されていないと、やはり文献としてのポイントは落ちてしまいます。メタアナリシスの論文が、他のトピックでも同じですが、レファレンスがきちんと記載されておらず、よくわからないところもあります。
  • ◆ 「生後28日までの児では・・・カンガルーケア中あるいはケア後に酸素飽和度が低下するという報告がありました。・・・この結果から、集中治療下のまだ状態が安定していない早産児・低出生体重児に対するカンガルーケアは、より一層の安全面での配慮が求められるでしょう。」ということから考えると、生後28日までの児とは在胎週数がどの程度かわかりませんが、何を配慮して実施するのか具体的な項目も含め対象患児を決めて実施することが必要ではないかと考える。


トピック2:評価2回目(2008年6月、ワークショップ終了後)
推奨グレードB 集中治療下の早産児・低出生体重児にカンガルーケア(skin to skinの抱っこ)を施行する際は、体温・酸素飽和度などのモニタリングや理学所見の観察を行いながら、児の状態(疲労具合、経過)も考慮するなどの、最大限の安全面での配慮が必要である。
  • ◆ 「親子」というニュアンスが入り、より良くなった。日本でエビデンスをつくりたい。
  • ◆ カンガルーケアはとても良い治療法だと思います。児の安全第一の上で、家族と話し合いながら、その家族にあったスタイルでカンガルーケアがすすめられたら、と願います。
  • ◆ 今回の改訂で分かりやすくなったと思うが、「生後28日までの児では・・・カンガルーケア中あるいはケア後に酸素飽和度が低下するという報告がありました。・・・この結果から、集中治療下のまだ状態が安定していない早産児・低出生体重児に対するカンガルーケアは、より一層の安全面での配慮が求められるでしょう。」ということから考えると、生後28日までの児とは在胎週数が何週位か、人工呼吸器の児はどうするかなど、安全に実施するためには、対象の目安が必要ではないでしょうか。しかし、タッチケア・カンガルーケアは、「母乳を絞ることしかできない」と思う母親がいること、「自分の胸に抱いたときに初めて我が子という実感が持てた」という母の思いを聞くと、両親との愛着形成を育むために必要なことだと思う。そのために、実施して良かったと思う親子にとって安全な方法を検討していく必要があると考える。
  • ◆ 母に対してのQOLが高い。
  • ◆ 急性期を脱すれば、スタッフがととのっていればできると思う。
  • ◆ まだまだ検討が必要、ということでしたよね。しかし、ワークショップ後のものは、ちょっとわかりにくい文章ですね。
  • ◆ 呼吸器患者児の急性期は文章に入れる方がよいと思われる。


トピック2:評価3回目(2008年8月)
集中治療下(※注3)にある児へのカンガルーケアは、体温・酸素飽和度などのモニタリングで安全性を確保し、児の経過・全身状態から適応を入念に評価する(※注4)必要がある。さらにご両親の心理面に十分に配慮する環境が得られた場合(※注5)、実施を考慮する。
  • ※注3 超急性期は除く。人工呼吸管理下を含むか否かは、各施設の状況にあわせ、あらかじめスタッフ内で十分な意思統一が必須です。
  • ※注4 カンガルーケア実施中のみならず、前後数時間の状態、移動中も含めて赤ちゃんの状態を評価することが必要です。特に実施後の状態変化には注意を要します。
  • ※注5 ご両親の心の準備が十分にできていない状態でのカンガルーケアは不安を増大することがあるので注意を要します。
  • ◆ EBMより、早産児・低出生体重児のカンガルーケアの実施時間・開始時期に関する信頼性の高い根拠がみつからない。また、状態が安定していない児に対するカンガルーケアは、より一層の安全面での配慮が必要ということであるため、慎重な実施が必要である。従って、推奨度を7にはしたが、積極的に推奨できることかどうか・・・。
  • ◆ お子さんへのさまざまな危険や負担を伴うことがあるので、注4、5を踏まえ、現場で充分に話し合い、マニュアル作成など準備をする必要があると思います。
  • ◆ 「ご両親の心理面に十分に配慮する環境が得られた場合」という表現より、「配慮した上で」の方が分かりやすいのではないか。
  • ◆ とてもよく出来た文だと思いました。家族がカンガルーケアを楽しみにしてくれるとうれしいですね!
  • ◆ このトピックスに対しては具体的にお話しする立場にはないかもしれませんが、小さな命にも親の思いが伝わるといいと思います。十分な安全確認と共に慎重な対応によってこれからエビデンスが蓄えられていくことを期待します。
  • ◆ 異議なし。
  • ◆ 注3.4.5があることで、推奨文としてよくなったと思います。
  • ◆ 最後の一文は推奨文としてはちょっとそぐわないように感じます。最後の「心理面云々」はどのトピックについても、大前提としてあるべきことで、このトピック2の推奨文に特に入れるべきことのようには思えないのですが。
  • ◆ 患児の予後、母親の精神状態、カンガルーケアのリスク等を十分スタッフ間、母親と話し合った上で行うべきと思います。それでもディベロップ<リスクの大きさであると思われたため推奨度は低くなりました。
  • ◆ 注3の「超急性期は除く」は、急性期とは別の意味ですか?注4の最後に、「赤ちゃんにストレスを与えないよう移動に注意しましょう」とあると、ディべロップメンタルケアの意味で意識して取り組んでいただけるとおもいました。
  • ◆ 良いと思います。


トピック3:正期産児に出生直後に行う「カンガルーケア」(skin-to-skinの抱っこ)
トピック3:評価1回目(2008年5月)
推奨グレードB 健康な正期産児は、厳重な臨床的・機械的モニタリングのもと、生後できるだけ早期に、できるだけ長く、母親とカンガルーケア(skin to skinの抱っこ)をすることが薦められる。
  • ◆ 母乳保育はもちろん、児の身体的・精神的なリラックスや愛着形成、母の常在菌の移行など、科学的根拠や有効性は高く、安全面に考慮して、強く勧めるべきである。
  • ◆ カンガルーケアが子どもにとって良いという科学的根拠より、母親が生まれてきた赤ちゃんを抱いて「この子の母親なんだ」と自覚することの方が大切なのではと思っています。そのためにも、母親が出生直後に子どもを抱く(抱かせる)ことは大切だと思います。しかし、当院でも出生直後のカンガルーケア中に子どもが痙攣を起こしてNICUに入院したことがあります。可能性としては母親も寝てしまっていたため状況は定かではありませんが窒息だったのかなーと思っています。やはり、カンガルーケア中のモニタリングは少なくともSPO2ぐらいはつけないといけないと思っています。
  • ◆ 生後直後のカンガルーケア中の母子間には目を見張るようなすばらしい母子の相互作用が観察されます。今後の育児の自信、礎ともなるもので、ぜひとも行いたいと考えます。しかし文献にもあるように、なかには出生直後に胎外環境にうまく適応できていない子どもも少なからずいるので、きちんと母子を観察できる状況でないと危険です。当院でも分娩が重なり、観察者が離れたことで、子どもの状態が急変したことに気がつくのが遅れ、危険な症例がありました。このことを周りのスタッフがきちんと理解していないと危険です。
  • ◆ 効果における科学的根拠は十分で、是非行いたい。安全性に関しては、呼吸・酸素飽和度のモニタリングは行うことを原則とした上で推奨するべき。帝王切開児に対する安全性・有効性に関する科学的根拠は乏しく、日本で検討していく必要がある。
  • ◆ 鳥のヒナが、生まれて初めて見たものを親と思うように、母の元にかえしたほうがいいのかなと思う。それに、乳首をくわえさせるのも、生きる力や本能を刺激する事になるのかな。母も、我が子を抱いてホッとすると思う。○○(第一子)の時は、初対面が産後2,3日後、NICUでしたが、○○(第ニ子)の時は、NICUに運ばれる前に、オペ室で会えたので、すごくすごく嬉しかったです!二人とも、寝ている時に産まれたので特に・・・。
  • ◆ 自験例でも、カンガルーケア中に無呼吸が発生した症例を経験していますので、慎重な観察は欠かせません。ただ監視方法に関しては形式的に酸素飽和度測定を行うことが、母親の育児に対する自信の形成等に影響を及ぼさないかについても配慮する必要があると思います。
  • ◆ 安全性に対して最大限配慮する必要はあるが、「厳重な機械的モニタリング」を行うことが、母子にとってどういう意味を持つかという点について、科学的根拠が明らかではない。
  • ◆ 問題なく分娩が経過し、児の体温・呼吸に問題がなければ、できる限り早期に、できるだけ長くカンガルーケアを実施することはよいと思います。分娩経過中のモニタリングで異常があった場合や正常分娩でない場合・感染のリスクがある場合は、特に注意が必要だと思います。カンガルーケアを実施する際、呼吸や酸素飽和度をモニタリングしながら実施する必要があると思います。
  • ◆ エビデンスで議論するのもよいのですが、「子育ての知恵」に近いようなことではないかとわたしは思います。「出生直後」というのが問題になるのかもしれませんが、研究者の目からすれば、「こういうことをわざわざデータで出さなくてもいいんじゃないの」という思いがあると思います。生まれたばかりで、正常な赤ちゃんが母親にはだかで抱っこされることにお互いにとっていったいどういう問題がありうるのか、ということはあまり医学的につめなくてもよいのではないでしょうか?
  • ◆ 正期産児の、出産後早期のカンガルーケアの有効性については、すでに明らかになっていることであるので、薦めても良いと考える。しかし、出生直後の母親の状態の判断が必要である。さらに、カンガルーケア中の場所やスペースを考慮しないと、児の転落につながる可能性がある。また、健康な正期産児への出生直後のカンガルーケアの開始時期・実施時間は統一されていないということであるし、科学的根拠が見つからないということであるため、継続した検討が必要と考える。
  • ◆ カンガルーケアをする上で母児相互関係に最も良い影響がでるトピックスであると思いました。やはり早期に長時間が良いと思います。ただカイザーの場合はどのような違いが生じてくるか正直疑問に思いました。


トピック3:評価2回目(2008年6月、ワークショップ終了後)
推奨グレードB 健康な正期産児は、厳重な臨床的・機械的モニタリングのもと、生後できるだけ早期に、できるだけ長く、母親とカンガルーケア(skin to skinの抱っこ)をすることが薦められる。
  • ◆ 医療者がつきそい、機械的モニタリングにて異常の早期の対応ができれば、行うべきである。
  • ◆ 安全性に対する検討が必要な気がしました。
  • ◆ モニタリングはどのくらい必要なのか。人的に見ていくのはとても大切だと思った。
  • ◆ キカイと臨床的モニタリング、どちらも大切だと思います。
  • ◆ これもオリジナルなら満点評価にしたいが、「機械的厳重モニタリング」と書いてよろしいのでしょうか?いかようにでも読めるのではないか、と不安が残ります。
  • ◆ 正期産児の、出産後早期のカンガルーケアの有効性については、すでに明らかになっていることであるので、薦めても良いと考える。しかし、出生直後の母児の状態の判断が必要である。さらに、カンガルーケア中の場所やスペースを考慮しないと、児の転落につながる可能性がある。また、健康な正期産児への出生直後のカンガルーケアの開始時期・実施時間は統一されていないということであるし、科学的根拠が見つからないということであるため、継続した検討が必要と考える。とかく医療者(特に看護師は)まじめな人が多く、良いと思うことは何でもやりたがる傾向にあるように感じます。あくまでもガイドラインだからできることから、できる施設から、できる状況の時に実施という説明が必要ではないかと感じてしまいます。会場で意見交換されたように、生後24時間は胎外生活への適応時期であり、児の急変もあるため、分娩経過や出産後の母児の状態判断が重要である。また、実施に際してもモニタリングや母も含めた児の状態変化の観察を定期的に実施しなければ、安全に実施できないと考える。最後に、ガイドラインの理解について昼食時に話されていたかと思いますが、ガイドラインというとあたかもその通りに実施しなければならないと思う人もいるのが現状です。
  • ◆ 事故症例についてのコメントを聞き検討が必要と感じた(健康な正期産児という言葉)
  • ◆ 人手不足の多くの病院では「人がつきそって」という言葉を入れるとカンガルーケアができなくなることを心配する。「臨床的」でよいかもしれない。
  • ◆ カンガルーケアはとても良い治療法だと思います。児の安全第一の上で、家族と話し合いながら、その家族にあったスタイルでカンガルーケアがすすめられたら、と願います。
  • ◆ 安全性に対する研究はぜひ必要!


トピック3:評価3回目(2008年8月)
健康な正期産児は、生後できるだけ早期に、できるだけ長く、ご家族(特に母親)とカンガルーケアをすることが薦められる。その際、ご家族に対する充分な事前説明と、機械を用いたモニタリングおよび新生児蘇生に熟練した医療者による観察など安全性の確保(※注6)が必要である。
  • ※注6 今後さらなる研究、基準の策定が必要です。
  • ◆ 医療者が常時つきそい観察することは不可能だとミーティングの時に感じていたが、この文章なら、機械でモニタリングをしながら、時々医療者が確認するといった方法も含まれると感じるため良い。
  • ◆ 今後多くの研究が必要だと思いますが、やはりカンガルーケアを行っているおかあさん、あかちゃんのお顔を見せていただくにつけ今後頑張らないといけないと思います。ただし、観察の方の方法に関しては十分な検討が必要だと感じています。危ないことを行っているという不安はおかあさんと子供にとってどのような影響があるのかわかりません。しっかりと観察するのは我々の責任だと思いますし、しかし、子供に責任を持っているのは母親だということも大事です。両親学級などを通しての啓蒙と共にしばらくはどのような変化が赤ちゃんにあるのかモニタリングを行っていきたいと思います。
  • ◆ 今後、各施設で正常と異常のガイドラインが必要だと考えます。
  • ◆ 正期産児を産んだ事がないので良くわかりませんが、せっかく健康に生まれたのですからよりよい状態にもっていけたらすばらしいですよね。
  • ◆ 実際に問題が生じていて、その問題の原因究明も進んでいない現状では、「機械を用いたモニタリングおよび新生児蘇生に熟練した医療者による観察など」という文章で、安全確保の方法を記載せざるを得ないのだということはわかります。しかし、このような「医学的ケア」が前面に出てしまうと、出生直後のカンガルーケアを通して動いていく「自然のプロセス」を妨げる可能性があると危惧します。そのあたりの配慮が、推奨文に表現されると、より完成度が高いのではないかと思いました。
  • ◆ 良いと思います。
  • ◆ この文章に関してはやっぱり2文目以下、がちょっと推奨文としてはそぐわないように思います。2文目以下は、注、とするか別に説明するほうがすっきりしていて、推奨文としては「薦められる」でおしまい、のほうがわかりやすいと思いますが。
  • ◆ 現在ヒヤリハットも報告されているので、安全性への配慮をスタッフがきちんと行うことが大切だと思います。
  • ◆ 正期産児の、出産後早期のカンガルーケアの有効性については、すでに明らかになっていることであるので、薦めても良いと考える。しかし、出生直後の母児の状態の判断が必要である。生後24時間は児の変化がおきやすい時期であることを考慮すると、母児の観察が必要であること。また、カンガルーケア中の場所やスペースを考慮しないと、児の転落につながる可能性がある。
  • ◆ KC中のヒヤリハット報告を耳にするものの、この時期での愛着形成の重要性を考慮すると、安全性の確保をできるだけ強化してあてはまる全てのケースでの実施が望まれます。


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