ガイドライン

(旧版)変形性股関節症診療ガイドライン

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第3章 診断


Research Question 11
変形性股関節症と脊椎疾患との鑑別は重要か

推奨
Grade B 下肢症状がある患者の診断をする場合に,それが股関節に起因するのか,脊椎に起因するのかを鑑別することが重要である.


解説
脊椎疾患との鑑別方法に関するエビデンスレベルの高い文献はない.一般的に,病歴や理学所見,X線所見,補助診断としての血液性化学検査,およびCT,MRI,骨シンチグラフィーなどの画像所見から判断すると,変形性股関節症(股関節症)の診断を誤ることは少ないが,原因疾患に対する注意を怠ったり,他の部位の病変を見落としたりすると不適切な治療を行う危険があり,特に脊椎疾患との鑑別は重要である.


エビデンス
  • 平均年齢67.5歳の95例(男性34,女性61)に対して,病歴,理学所見,腰痛や下肢痛の部位を記載し,X線所見(股関節,脊椎)やMRI(脊椎)で評価した.診断は,(1)股関節のみ43例(45.3%),(2)脊椎のみ18例(18.9%),(3)両方34例(35.8%)であった.その結果,跛行,鼡径部痛,内旋制限は脊椎疾患よりも股関節疾患を予測する因子であるとが示された(HF10591, EV level C-II).
  • 43例の股関節症の患者を後ろ向きに調査した.24例が股関節症として治療を受けていたが,19例は脊椎病変として治療を受け,股関節症とは認識されていなかった.19例のうち4例は坐骨神経痛や狭窄症で手術を受けており,6例は硬膜外注射を,17例はMRIやCT検査を受け,3例は電気生理学的検査を受けていた.股関節の病変であるにもかかわらず,脊椎疾患として治療を受けている場合があった(HF11521, EV level C-III).


文献

1) HF10591 Brown MD, Gomez-Marin O, Brookfield KF, Li PS. Differential diagnosis of hip disease versus spine disease. Clin Orthop Relat Res. 2004;(419):280-4.
2) HF11521 Swezey RL. Overdiagnosed sciatica and stenosis, underdiagnosed hip arthritis. Orthopedics. 2003;26(2):173-4; discussion 174.


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