ガイドライン

(旧版)変形性股関節症診療ガイドライン

書誌情報
第1章 疫学・自然経過


Research Question 1
わが国における変形性股関節症の有病率は

推奨
Grade B 単純X線診断によるわが国の有病率は1.0〜4.3%で,男性は0〜2.0%,女性は2.0〜7.5%と女性で高い.


解説
わが国における変形性股関節症(股関節症)の有病率に関する疫学調査は少ない.代表的な疫学調査は3つであるが,そのうち1つは住民検診の単純X線像による疫学調査(HF10434HJ11346)であり,残りの2つは静脈性腎盂造影X線像による調査(HF11872HJ11596)である.有病率を調査するために用いた診断基準に前股関節症を含めた研究(HJ11596)は1つで,そのほかの2つの研究(HJ11346HF11872)では前股関節症を含んでいない.このように用いられた診断基準の違いにより研究結果の有病率に若干の差がある.


エビデンス
  • 骨粗鬆症予防の目的で設定されたcohort研究の対象者のうち,60〜70歳代の198名(男性99,女性99)の両股関節正面X線像を用いて疫学調査がなされた.日本整形外科学会股関節症判定基準のX線評価の0(末期股関節症)と1(進行期股関節症)を股関節症ありとした場合の有病率は,全体で3.5%(男性1.0%,女性6.1%)であり,Croft's modification of Kellgren and Lawrence grade(Croftgrade)のgrade 3以上を股関節症ありとした場合は,全体で1.0%(男性0%,女性2.0%)であった(HF10434, HJ11346, EV level C-III).
  • 1992〜1993年に静脈性腎盂造影を行った20〜79歳の782例(男性414,女性368)の男女差に関する調査では,Kellgren and Lawrence gradeのgrade 3以上の股関節症は全体で2.4%であり,男性で1.4%,女性で3.5%と女性で高かった(HF11872, EV level C-III).
  • 1990〜1994年に泌尿器科と産婦人科で静脈性腎盂造影を行った14〜97歳までの1,601例(男性931,女性670)の調査では,日本整形外科学会股関節症判定基準のX線評価の3(前股関節症)以上を股関節症ありとした場合の有病率は,全体で4.3%,男性2.0%,女性7.5%であった(HJ11596, EV level C-III).


文献

1) HF10434 Yoshimura N, Campbell L, Hashimoto T, Kinoshita H, Okayasu T, Wilman C, Coggon D, Croft P, Cooper C. Acetabular dysplasia and hip osteoarthritis in Britain and Japan. Br J Rheumatol. 1998;37(11):1193-7.
2) HJ11346 吉村典子,森岡聖次,笠松隆洋,ほか.地域住民の股関節間隙値の性,年齢別分布.日本骨形態計測学会雑誌.1994;4(2):107-12.
3) HF11872 Inoue K, Wicart P, Kawasaki T, Huang J, Ushiyama T, Hukuda S, Courpied J. Prevalence of hip osteoarthritis and acetabular dysplasia in french and japanese adults. Rheumatology (Oxford). 2000;39(7):745-8.
4) HJ11596 斎藤 昭,菊地臣一.変形性股関節症の疫学―1,601例の病院受診者に対す る調査.臨床整形外科.2000;35(1):47-51.


書誌情報