ガイドライン

(旧版)エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン[第1版]

書誌情報
VIII:放射線療法・Photodynamic therapy

 
CQ-33 胆道癌切除例に対する術中または術後の放射線療法は推奨されるか?

胆道癌切除後断端陽性例に対する放射線療法の施行については十分な科学的根拠がない。(推奨度C2


胆道癌は外科的に切除できた症例であっても局所再発率が高い。このため切除症例において局所制御率を高める目的で,切除後に放射線療法が施行されている。しかしながら,放射線療法の術後補助療法としての意義については,これまで大規模な比較試験の報告はなく明らかとなっていない。また,放射線療法の方法も術中開創照射・術後体外照射・腔内照射の3者をそれぞれ単独または,いずれか2者または3者の組み合わせで施行されている。それぞれの有用性を直接比較するための臨床試験は行われておらず,どの放射線療法が切除との併用において標準治療であるかに関してのコンセンサスはない。
Pittら1)は,手術にて遠隔転移がないことが確認された胆管癌50例において放射線療法の有効性を前向きに検討している。この報告では切除31例と非切除19例が放射線療法施行群23例と未施行群27例に振り分けられて比較検討されている。放射線療法は外照射(平均総線量46Gy)と192-Irによる腔内照射(平均13Gy)が併用施行されている。生存期間中央値は放射線治療群の14ヵ月に対して非治療群は15ヵ月と有意な延長は認めておらず,放射線療法の有用性はなかったとしている(レベルIII)。一方,Gerhardsら2)は胆管癌切除後91例に対して,20例は手術単独,30例は切除後に外照射単独(平均46Gy),41例に対しては切除後に外照射(平均42Gy)と腔内照射(平均10Gy)の併用を行い,生存期間が非照射群の8ヵ月に対して照射群では24ヵ月と有意に延長したと報告している(レベルIV)。また,胆管癌切除断端陽性例に対し,術後照射を行うことで,生存期間に有意差を無くすることが可能であったとの報告3)などもありその評価は定まっていない。
術中照射は目的とする部位に確実に照射可能で,放射線感受性の高い周囲正常組織を照射野から排除することができる点が優れている。1回線量,照射野を大きくすると合併症が生じ易くなるため,一般的には術後外照射が併用される。胆管癌・胆嚢癌の術中術後照射で長期生存が得られたという報告が多くなされている4),5),6),7)(レベルIV)。
なお,乳頭部癌に関しては,Abramsら8)の報告にもあるように化学療法との組み合わせが多く,膵癌を含めた報告が大多数を占めており,放射線療法の意義は明らかでない。
胆道癌の外科治療においては,治癒切除を目指した手術でも最終的に病理組織所見において非治癒切除となる頻度は低くはない。しかし,非治癒切除症例に対する術後放射線療法に関してもこれまで十分な臨床研究は行われておらず,一定のコンセンサスもない状況である。胆嚢癌,胆管癌切除例に対する術中術後の放射線療法は,有用性の報告はあるものの標準治療としてのエビデンスはないため,切除後断端陽性例には放射線療法を行ってもよいが,治癒切除例に対してはその適応は慎重でなければならない。
今後,RCTなどによって,胆道癌切除例に対する術中術後の放射線療法が生存期間(率)の向上に寄与するか否かを明らかにしていく必要がある。


引用文献
1) Pitt HA, Nakeeb A, Abrams RA, Coleman J, Piantadosi S, Yeo CJ, et al. Perihilar cholangiocarcinoma. Postoperative radiotherapy does not improve survival. Ann Surg. 1995;221:788-98.
2) Gerhards MF, van Gulik TM, González González D, Rauws EA, Gouma DJ. Results of postoperative radiotherapy for resectable hilar cholangiocarcinoma. World J Surg. 2003;27:173-9.
3) Stein DE, Heron DE, Rosato EL, Anné PR, Topham AK. Positive microscopic margins alter outcome in lymph nodenegative cholangiocarcinoma when resection is combined with adjuvant radiotherapy. Am J Clin Oncol. 2005;28:21-3.
4) Todoroki T, Iwasaki Y, Orii K, Otsuka M, Ohara K, Kawamoto T, et al. Resection combined with intraoperative radiation therapy (IORT) for stage IV (TNM) gallbladder carcinoma. World J Surg. 1991;15:357-66.
5) Todoroki T, Iwasaki Y, Orii K, Otsuka M, Ohara K, Kawamoto T, et al. Benefits of combining radiotherapy with aggressive resection for stage IV gallbladder cancer. Hepatogastroenterology. 1999;46:1585-91.
6) Gonzalez D, Gerard JP, Maners AW, De la Lande-Guyaux B, Van Dijk-Milatz A, Meerwaldt JH, et al. Results of radiation therapy in carcinoma of the proximal bile duct (Klatskin tumor). Semin Liver Dis. 1990;10:131-41.
7) Langer JC, Langer B, Taylor BR, Zeldin R, Cummings B. Carcinoma of the extrahepatic bile ducts: results of an aggressive surgical approach. Surgery. 1985;98:752-59.
8) Abrams RA, Grochow LB, Chakravarthy A, Sohn TA, Zahurak ML, Haulk TL, et al. Intensified adjuvant therapy for pancreatic and periampullary adenocarcinoma: survival results and observations regarding patterns of failure, radiotherapy dose and CA19-9 levels. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 1999;44:1039-46.


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