ガイドライン

(旧版)エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン[第1版]

書誌情報
II:胆道癌診療アルゴリズム

 
治療アルゴリズム

治療アルゴリズム

1.外科切除の可否
胆道癌の唯一の根治治療は外科切除であるため,その可能性を先ず検討する。肝,肺,腹膜転移,遠隔リンパ節転移は切除不能である45),46),47)という報告(レベルIV)がある一方,大動脈周囲リンパ節転移陽性例に関しては,切除により予後の改善が期待できるため手術適応があるとする報告もある48),49)(レベルIV)。局所進展因子で切除不能とする基準のコンセンサスはない。

2.切除可能
1) 術前処置
a.胆道ドレナージ

胆管炎や広範肝切除予定例には術前減黄術を行う。胆管炎や肝機能障害例を除けば,膵頭十二指腸切除術までの侵襲の手術には,術前減黄術を必要ないとする報告が多い50),51),52),53),54)(レベルIV,VI)。広範囲肝切除術における合併症による死亡率は10%前後であり,主な原因は肝不全である55)(レベルIV)。そのため,高度黄疸例では術前減黄術を行うことが多い。胆道ドレナージは,原則として残存予定肝のドレナージのみで対応できる。しかし,その適応基準に関するエビデンスはない。
b.門脈塞栓術
肝右葉切除以上または50~60%以上の肝切除症例,特に黄疸肝症例には,門脈塞栓術を行ってよい。術後の合併症や手術関連死亡を減少させる可能性がある56),57),58),59),60),61),62)(レベルIII,IV)

2) 外科切除
胆道癌の外科治療は,様々な工夫によりその成績が向上している段階である。
a.胆管癌
肝門部・上部胆管癌に対しては胆管切除+肝切除,中下部胆管癌に対しては膵頭十二指腸切除が標準術式となっている。多くの肝門部胆管癌では尾状葉合併切除が推奨される63),64),65)(レベルIV)が,尾状葉切除の有無は予後を左右しないとする報告もみられる66)。上・中部胆管癌に対しては,肝切除や膵頭十二指腸切除が望ましいが,厳密な進展度診断を行った上で,根治切除が可能と判断される症例には,肝外胆管切除が考慮される。肝外胆管切除の適応は,この部位に限局した乳頭型の病変で,明らかなリンパ節転移を認めない症例である67),68),69)(レベルIV)。また,術中組織診断にて切除断端が陰性であることを確認することが望ましい。門脈浸潤に対する門脈合併切除例は,切除不能例と比較すると予後は良好である70),71),72),73),74)(レベルIV)ため施行してもよい。
b.胆嚢癌
胆嚢癌は,肝浸潤,肝十二指腸間膜浸潤,十二指腸浸潤,横行結腸浸潤など周辺臓器に多様な進展様式を示すことより,症例ごとにその進展様式に応じた術式を選択し,R0を目指すことが極めて重要である75),76)(レベルIV)。
c.乳頭部癌
標準術式は膵頭十二指腸切除術である。腺腫内癌に対しては縮小手術も適応となる77),78),79)(レベルⅣ)。

3) 術後補助療法
化学療法は,推奨されるレジメンがなく臨床試験として行う。放射線療法は,有用性の報告はあるが標準治療としての高いエビデンスはない80),81),82),83)(レベルIV)。切除後断端陽性例には,放射線療法を行ってもよい84)(レベルIV)。しかし,治癒切除例への適応は慎重でなければならない。

3.切除不可能
1) 胆道ステント

下部胆管閉塞症例に対しては,胆道ステントを可能な限り行う。処置方法は,内視鏡的処置が望ましい85),86)(レベルII)。ステントの種類は,metal stentが推奨される87),88),89),90),91),92)(レベルII)

2) 化学療法,放射線療法,photodynamic therapy
a.化学療法

全身状態良好な症例には,化学療法を行う93),94),95),96)(レベルII,IV)。現在,標準療法は確立していない。最近では,塩酸ゲムシタビンを使用した多剤併用療法のレジメンによる第II相試験が行われている。
b.放射線療法
放射線療法は,palliative therapyと比較し延命効果があると報告されている97),98)(レベルIV)。また,放射線療法は,局所制御によるステント開存性の維持,疼痛緩和が期待できることが利点の1つである99)
c.photodynamic therapy
胆道ステント併用photodynamic therapyは,胆道ステント単独と比較し有意に生存期間の延長を認めている100),101)(レベルII)。

3) 緩和治療
全身状態低下例や減黄不良例などで化学療法などの適応外の症例には,疼痛コントロールなどQOLの維持を目指した症状緩和治療を行うべきである。

 

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