ガイドライン

(旧版)エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン[第1版]

書誌情報
II:胆道癌診療アルゴリズム

 
診断アルゴリズム

診断アルゴリズム

1.リスクファクター
胆管癌のリスクファクターは,胆管拡張型の膵・胆管合流異常や原発性硬化性胆管炎である。胆管拡張型の膵・胆管合流異常は,胆道癌が10.6%に合併し,このうち胆管癌が33.6%であった1)(レベルIV)。原発性硬化性胆管炎は,胆管癌を5〜10%に合併していた2),3),4),5)(レベルV)。胆嚢癌のリスクファクターは,胆管非拡張型の膵・胆管合流異常である。胆管非拡張型の膵・胆管合流異常は,胆道癌が37.9%に合併し,このうち胆嚢癌が93.2%であった1)(レベルIV)。乳頭部癌のリスクファクターは解っていない。

2.臨床症状
胆道癌を疑う臨床症状は,黄疸や右上腹部痛である。胆管癌の初発症状は,90%が黄疸である6),7)(レベルIV)。黄疸を伴わない症例の初発症状は,腹痛,発熱,食欲不振,全身倦怠感であった1),6),7),8)(レベルIV)。胆嚢癌の臨床症状は,右上腹部痛が最も多い9),10)(レベルIV)。その他の症状として,悪心,嘔吐,体重減少,黄疸,食欲不振,腹部膨満感,掻痒感,黒色便である9)(レベルIV)。乳頭部癌の臨床症状は,黄疸,発熱,腹痛が多い11),12)(レベルIV)。

3.ファーストステップ
診断のファーストステップは,血液生化学検査と腹部超音波検査である。胆管閉塞例の血液生化学検査では,肝胆道系酵素の上昇を認める13),14)(レベルIII)。胆道癌では,CA19-9が50〜79%15),16),17),18)(レベルII,III),CEAが40〜70%18),19),20)(レベルIII)の症例で上昇する。胆道癌を疑った場合は,画像診断として,最初に腹部超音波を行う。胆管拡張を認めた場合,閉塞部位を推定することが可能である13),14)(レベルIII)。胆嚢癌では,50%以上の症例で腫瘍が描出される13)(レベルIII)。

4.セカンドステップ
1) 胆管癌

造影CT,MRI(MRCP含む)は,胆管癌の局在や進展度診断に有用である。造影CTは,主占拠部位の診断に有用である。また,造影CTによる血管浸潤の診断は,治療方針を決定する上で重要である21),22),23)(レベルII〜IV)。胆管壁の肥厚を伴わない胆管癌の場合は,CTのみでは,精密な進展度,深達度診断は困難である21),22)(レベルII,IV)。MRCPは,胆管の閉塞部位の同定,進展度診断や膵・胆管合流異常の確認に有用である24)(レベルIV)。MRCPは,胆管狭窄の良悪性の鑑別についての感度は70〜96%,閉塞部位の診断率は94〜99%である25),26),27)(レベルIII,IV)。ERCおよびPTCは,結節型または結節浸潤型胆管癌の水平浸潤の診断に有用である28),29)(レベルIV)。細胞診や組織診は必要に応じ行う。ERCまたはPTCによる胆汁細胞診の陽性率は約30%である24)(レベルII)。ブラシ細胞診と生検を併用することで,陽性率は40〜70%に増加する24)(レベルII)。
経皮経肝的胆道鏡(percutaneous transhepatic cholangioscopy;PTCS)30),31),32),33)や経口的胆道鏡(peroral cholangioscopy;POCS)は,胆管内腔の詳細な観察が可能で胆管狭窄の良悪性の鑑別診断34),35)および胆管癌の粘膜内進展範囲診断に有用である。

2) 胆嚢癌
胆嚢癌は鑑別診断と癌の進展度診断が重要である。それらの診断には,EUS,CT,MRI,MRCPなどが有用である。EUSによる胆嚢良性疾患と胆嚢癌の鑑別は,感度92〜97%と良好である36),37),38)(レベルIV)。CTによる胆嚢内隆起性病変の診断能は,感度88%,特異度87%,正診率87%であった39)(レベルIV)。また,胆嚢癌のresectabilityを検討した報告では,正診率93.3%であった40)(レベルIV)。MRCPを併用したMRIによる肝内直接浸潤の診断能は,感度67〜100%,特異度89%,胆管側浸潤の診断能は,感度62〜100%,特異度89%,リンパ節転移の診断能は,感度56〜92%,特異度89%と報告されている41),42)(レベルIV)。

3) 乳頭部癌
乳頭部腫瘤に対し,内視鏡下生検を行う。肝転移などの遠隔転移の診断は,US,CT,MRIなどで行う。膵浸潤や十二指腸浸潤の診断には,EUSやIDUSが有用である43),44)(レベルII)。

 

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