ガイドライン

(旧版)食道癌診断・治療ガイドライン 2007年4月版

書誌情報
II.食道癌の診断

 
A.癌の進行度診断
Clinical Question

CQII-1 食道癌の発見の契機および食道癌診断のファーストステップは何か。
Answer Comprehensive Registey of Esophageal Cancer in Japan 1998, 1999(3rd ed. 2002)によると粘膜下層(T1b)までの病変では58.3%の症例に自覚症状がなく,検診や他疾患のための検査などで発見されている。一方,筋層以深に及ぶ病変では狭窄感,嚥下困難がそれぞれ38.5%,24.4%にみられ,大部分が有症状で発見されている。また粘膜下層までの病変の85.0%が内視鏡検査で,11.2%が食道造影検査で発見されている。一方,筋層以深に及ぶ病変では63.9%が内視鏡検査で,29.1%が食道造影検査で発見されている。食道癌全体では94%が内視鏡検査,食道造影検査のいずれかで発見されている1)
食道癌と初発症状をキーワードに医学中央雑誌およびMedlineで検索したが,メタアナリシスは食道腺癌に関するものが1件のみで,わが国で大部分を占める扁平上皮癌に関しての多施設での集計は食道疾患研究会登録集計のみである。
推奨事項 有症状の場合,内視鏡検査ないし食道造影検査のいずれかを行う。[グレード A]
表在癌では愁訴のないことが多いため,内視鏡検査を行って食道病変の発見に留意する2)。[グレード A]


CQII-2 壁深達度診断はどのように行うか。
Answer 表在癌では色素内視鏡検査を含む内視鏡検査,食道造影検査,超音波内視鏡検査(以下EUS),CT,MRI検査などを行い,総合的に診断する3),4),5),6),7),8),9)。研究段階ではあるが,近年,表在癌の診断に拡大内視鏡の有用性が報告されている10),11)
隣接臓器への浸潤の診断にはCT,EUS,MRI検査が有用である12),13),14)。臨床症状,画像診断において気管および気管支浸潤が疑われる場合は,喀血や急性の呼吸不全の可能性があり,また治療により瘻孔形成の可能性も高く気管支内視鏡検査を行う。
推奨事項 色素内視鏡検査を含む内視鏡検査,食道造影検査,CT,EUS,MRI検査などにより壁深達度診断を行う。[グレード B]
隣接臓器への浸潤の診断にはCT,EUS検査を行う。必要に応じてMRI検査を追加する。[グレード B]
気管および気管支浸潤が疑われる場合,気管支内視鏡検査を行う。[グレード B]


CQII-3 遠隔転移,リンパ節転移の診断の方法は何か。
Answer
  • 問診および視・触診
  • 超音波検査(頸部および腹部)
  • CT,MRI検査
  • 超音波内視鏡
  • FDG-PET 検査
  • 骨シンチグラフィー
などの検査を行い,総合的に診断する15),16),17),18),19),20)


CQII-4 食道癌の重複がんの検索はどうするか。
Answer Comprehensive Registey of Esophageal Cancer in Japan 1998, 1999では同時性,異時性を合わせて18.5%(1152/6231),同時性重複がんは9.9%(615/6231)と報告されている。同時性重複臓器としては胃4.7%(293/6231),頭頸部2.7%(168/6231),大腸癌1.2%(77/6231),肺癌0.7%(29/6231)などの報告があり,食道癌診断時,重複がんの検索が必要である21),22)
推奨事項 食道癌症例では頭頸部癌の検索を行う。[グレード B]
一方,頭頸部癌症例においては頸部および胸部食道癌に留意する。[グレード B]

 

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