ガイドライン

(旧版)大腸癌治療ガイドライン医師用 2010年版

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総論

 
3.作成法


1)作成の経過

大腸癌研究会において,2003年1月にガイドラインプロジェクト研究として,大腸癌治療ガイドラインの作成作業が開始された。作成されたガイドライン(案)は評価委員会での評価を経て,2005年7月に『大腸癌治療ガイドライン医師用 2005年版』として刊行された。その後,改訂版を作成するために,2007年7月に新たなガイドライン作成委員と評価委員が選出された。多くの会議を経て作成された原案は,2008年10月に評価委員会に提出された。また,2009年1月の第70回大腸癌研究会では公聴会が開催され,研究会の参加者に広く意見を求め,それらを参考にしてさらに修正が行われ,2009年7月に『大腸癌治療ガイドライン医師用 2009年版』が発刊された。しかし,その後,2009年8月に,oxaliplatinを用いたFOLFOXが術後補助化学療法として承認され,2009年9月には,切除不能大腸癌に対する治療法としてLVおよび5-FUの静脈内持続投与法との併用に限られていたoxaliplatinの用法が,他の抗悪性腫瘍剤との併用についても承認された。これらの変化に対応するため,2009年7月に新たな委員により組織された大腸癌研究会ガイドライン委員会は,『大腸癌治療ガイドライン医師用 2009年版』における改訂事項を2010年3月に大腸癌研究会のホームページに公表した。2010年4月には,panitumumabが保険償還され,cetuximabが一次治療に使えるようになり,また,これらの抗EGFR抗体薬を使用する際に必須であるKRAS遺伝子検査が保険適応になったことなどから,『大腸癌治療ガイドライン医師用 2010年版』を刊行することとした。


2)作成の原則

本ガイドラインは,大腸癌の標準的な治療方針の理解を助けるために各種治療法と治療方針の根拠を示すが,各治療法の技術的問題には立ち入らない。


3)エビデンスの抽出と評価

科学的根拠に基づく医療(evidence-based medicine)の概念に則した作成法を採用したことは初版と同様であるが,改めて網羅的な文献検索を行った。ただし,日本と海外とでは,大腸癌の診療の質,診療に対する考え方に違いがあるため,海外のエビデンスを十分に吟味する一方,大腸癌研究会で集積された日本独自の臨床データ(全国登録委員会,各種委員会・プロジェクト研究)を重視した。エビデンスレベルは,以下のように高いものと低いものに分類した。
■エビデンス分類
[高いレベルのエビデンス]
・システマティック・レビュー/ランダム化比較試験のメタアナリシス
・ランダム化比較試験
・非ランダム化比較試験
・コホート研究,症例対照研究,横断研究
[低いレベルのエビデンス]
・症例集積研究,症例報告,専門家の意見,臨床経験


4)記載方法

(1)治療方針のアルゴリズムを提示すること,(2)臨床経験に基づくコンセンサスが形成されている事項が多いStage0〜StageIIIの内視鏡治療,外科治療に関しては簡潔な記載とすること,(3)大腸癌に比較的特異的な課題であるStageIVおよび血行性転移の外科治療,再発癌治療,化学療法,放射線療法,術後再発のサーベイランスについては多少詳細に記載することとした初版のコンセプトを継承した。
2010年版では,ガイドライン作成委員会の合議のもとに,全項目のなかから議論の余地のある課題をclinical question(CQ)として取り上げて,推奨文を記載した。


5)推奨の記載方法

CQに対する推奨文には,上記のエビデンス分類と作成委員のコンセンサスに基づいて作成した推奨カテゴリー分類を示した。推奨カテゴリーの決定にあたっては,(1)科学的根拠が明確で,考え得る最良・最適の治療法であること,(2)可能な限り安全で侵襲が少なく身体機能が維持される治療法であること,(3)費用効果的であり,患者の経済的負担が最小の治療法であること,(4)本邦における診療現場の実状に即した治療法であることを踏まえて,推奨文のもととなるエビデンスの内的妥当性の評価に加えて,推奨文自体の内的妥当性,外的妥当性,臨床的適応性を総合的に検討した。ガイドライン作成委員全員の意見が一致しているものをカテゴリーAまたはB,3名以上の不一致があるものをカテゴリーD,その他をカテゴリーCに分類した。なお,本ガイドラインには,推奨カテゴリーDに分類されたものは収載していない。

■推奨カテゴリー分類
カテゴリーA       高いレベルのエビデンスに基づき,ガイドライン作成委員の意見が一致している。
カテゴリーB 低いレベルのエビデンスに基づき,ガイドライン作成委員の意見が一致している。
カテゴリーC エビデンスのレベルにかかわらず,ガイドライン作成委員の意見が完全には一致していない。
カテゴリーD ガイドライン作成委員の意見が相違している。

 

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