ガイドライン

(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2006年版

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第6章 薬物療法

 
4 再燃癌に対する薬物療法

再燃癌と判断された場合でも抗アンドロゲン剤のみを中止することで一過性に病勢の低下を認めることがある(anti-androgen withdrawal syndrome)。抗アンドロゲン剤のみの中止,あるいはhydrocortisoneなどの組み合わせにより14-60%にPSAの低下および0-25%に臨床的効果が得られる。しかし,PSA低下効果は通常2〜4カ月であると報告されている。
内分泌療法再燃癌に対する抗癌剤単剤あるいは多剤併用療法による化学療法が試みられており,単独療法に用いられる薬剤としては,estramustine phosphate,CPA,fluorouracil(FU),ETP,などがある。しかし,今まで無作為化比較試験によって明らかな生存期間の延長が認められたものはなかった。最近,docetaxel(DXL)とステロイド15)(II)あるいはestramustine phosphateとの併用療法16)(II)がmitoxantroneとステロイドの併用に比べて有意に生存率が改善したと報告された。なお,現在わが国ではestramustine phosphateとFUが前立腺癌に対して保険適応となっているが,他の薬剤は認可されていない(表)。

 表 前立腺癌に対する薬剤の保険適応について
 薬剤名 保険適応の有無
 酢酸ゴセレリン
 酢酸ニュープロレリン
 ホスフェストロール
 酢酸クロルマジノン
 エチニルエストラジオール
 フルタミド
 ビカルタミド
 リン酸エストラムスチンナトリウム
 IFM
 CDDP
 FU
 UFT
 硫酸ペプロマイシン
 CPA ×
 ETP ×
 paclitaxel(TXL) ×
 docetaxel(DXL) ×
 dexamethasone(DTM)
prednisolone(PDL)


   注)この稿を執筆するにあたり,極力日本で行われた,日本人を対象とした臨床研究の結果を取り入れるように努力した。しかしながら,大部分の臨床研究は海外で行われたものであったが,それらの結果をもとに推奨するべき治療法や推奨のグレードを決定せざるをえなかった。現在のところ,海外で行われた研究結果をそのまま日本人に当てはめることが妥当であるという確証はない。したがって,本ガイドラインで用いた推奨や解釈については,十分注意が必要であることを,ここに強調しておく。

 

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