ガイドライン

(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2006年版

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第5章 放射線療法

 
B.密封小線源永久挿入治療(単独)
CQ1  〔治療の適応〕密封小線源永久挿入治療(単独)はどのような症例に適応されるのか?

推奨グレード B
密封小線源永久挿入治療は,一般的にT1,T2の限局性前立腺癌を対象とし,低Gleasonスコア,低PSA値の腫瘍がよい適応とされる。

 背 景
密封小線源永久挿入治療とは125I,103Pdなどの放射性同位元素が密封されたシード線源を標的臓器に永久挿入することにより臓器内に限局した腫瘍に対し高線量の照射を行う方法である。シード小線源を挿入する際の経直腸的超音波断層法(TRUS)や3D-CTガイド1),2)(III)による精度の高い挿入技術が導入されたことにより,前立腺に限局した高線量の照射が可能で,周囲組織への照射を軽減した至適な線源配置ができるようになった。米国では15年以上の経過をみた成績が報告されており,確立した治療法となっている。日本においては2003年9月から開始され,急速に普及しつつある治療法である。

 解 説
密封小線源永久挿入治療は,一般的にT1,T2の限局性前立腺癌で,低Gleasonスコア,低PSA値の症例がよい適応と考えられている。D'Amicoら3)(III)は,限局性前立腺癌患者を低リスク(T1-T2a,PSA<10ng/mlかつGleasonスコア2-6),中間リスク群(T2b,PSA10-20ng/mlまたはGleasonスコア7),高リスク群(≧T2c,PSA≧20ng/mlまたはGleasonスコア≧8)の3リスク群に分け,密封小線源永久挿入治療によるPSA非再発率を前立腺全摘除術あるいは外照射療法と後ろ向き検討で比較したところ,低リスク群ではPSA非再発率に差を認めないが,中・高リスク群では密封小線源永久挿入治療が明らかに劣ることを示した。
American Brachytherapy Society(ABS)の推奨では,経尿道的前立腺切除術後で前立腺部尿道の広がった症例では治療を行うべきではなく,また,中葉肥大のある前立腺肥大症の症例,IPSSの高い症例,骨盤部の手術や放射線照射の既往のある症例や重度の糖尿病のある症例では有害事象の出現率が高いので治療を避けた方がよいとしている4)(IV)
日本においては治療ガイドライン上退出基準が設けられており,体内残存放射能が1300Mbq以下か,患者の体表面から1メートル離れた地点における1センチメートル線量当量率が1.8µSv/h以下でなければならない。したがって体積の大きな前立腺ではこの基準を超える量の放射能が必要となり,治療適応外となる可能性がある。ただし,内分泌療法で前立腺体積が減少するような症例では,本療法の適応となる場合もある(後述「CQ4.内分泌療法の併用」を参照)。


 参考文献
1) Koutrouvelis PG, Lailas N, Katz S, et al. Prostate cancer with large glands treated with 3-dimensional computerized tomography guided pararectal brachytherapy:up to 8 years of follow-up. J Urol. 2003;169(4):1331-6.
2) Koutrouvelis PG, Gillenwater J, Lailas N, et al. High and intermediate risk prostate cancer treated with three-dimensional computed tomography-guided brachytherapy:2-8-year follow-up. Radiother Oncol. 2003;67(3):303-8.
3) D'Amico A, Whittington R, Malkowicz S, et al. Biochemical outcome after radical prostatectomy, external beam radiation therapy, or interstitial radiation therapy for clinically localized prostate cancer. JAMA. 1998;280:969-74.
4) Nag S, Beyer D, Friedland J, et al. American Brachytherapy Society(ABS)recommendation for transperineal permanent brachytherapy of prostate cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 1999;44(4):789-99.

 

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