ガイドライン

(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2006年版

書誌情報
第3章 治療総論

 
4 放射線療法


(1)  放射線療法の変遷
(2) 外照射療法
(3) 組織内照射療法
(4) 放射線治療後の再発



(1)放射線療法の変遷

放射線療法は照射方法により外照射と内照射に大きく分けられる。前立腺癌に対する放射線療法はコンピュ-タ技術の長足の進歩とあいまって,革新的変遷をとげてきた。根治術と同様局所療法であるため,最良の適応は局所限局癌であり前立腺全摘除術と同等の成績が得られるとされている1)(III)。しかし,最近では1980年代半ばから90年代にかけて欧米で施行された大規模な無作為割付試験の長期成績に基づき,内分泌療法を併用(ネオアジュバント・アジュバント)することにより局所進行癌ですら全生存率の改善が認められたとの認識から治療戦略の概念が大幅に変化した2),3),4),5),6),7),8)(II)9)(III)10),11),12)(II)。適応となる対象および治療オプションが拡大されたことに伴い,最適な治療法を選択するためPSAやGleasonスコアあるいは臨床病期等の因子を用いて個々の症例を「リスク」分類することが提唱されている13)(III)14)(II)15)(III)。「リスク」は通常,低,中,高リスクと大きく3段階に分類されることが多いが,その定義にコンセンサスがあるわけではなく,個々の検討により詳細は異なることに留意されたい。
また近年では治療成績のみならず,コスト,合併症・副作用,毒性,生活の質も考慮した上で一次治療法を選択する傾向にあり,こうした観点からの検討も重要である。このほか,放射線療法は緩和医療や他の一次療法後の再発に対する治療法として選択される場合も多い。

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(2)外照射療法

本邦で可能な外照射療法には通常のリニアック,三次元原体照射(3D-CRT),IMRT(intensity modulated radiation therapy)のほか,粒子線治療があるが施行可能な施設に限りがあり保険適応になっていない。通常の光子線の外照射のみで局所制御を得るためには,分割照射法では70Gy以上の線量が必要となる16)(II)。また,有害事象発現率を抑えつつ十分な線量を有効に投与するための様々な治療技術が開発されている。
照射範囲に関しては,前立腺のみでよいか,全骨盤照射を併用するべきかについては結論をみないものの,Radiation Therapy Oncology Group 9413の検討では,全骨盤照射にネオアジュバントおよび同時内分泌療法を用いた群での非再発生存率の有意な向上が報告されている11)(II)
アジュバントとしての内分泌療法の期間については,概して高リスクの症例では長期(>24カ月)が必要とされる。中リスクの症例では6カ月の短期でも効果が得られるとされ,低リスクのものでは不要と考えられている2),3),4),5),6),7),8)(II)9)(III)10),11),12)(II)13)(III)。しかし,どのような内分泌療法を用いるべきなのか,至適な治療期間はどれくらいかなどに関しては今後の検討が必要である。

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(3)組織内照射療法

現時点で本邦でも可能な内照射療法の代表的なものとして,125Iによる密封小線源永久挿入治療法,および192Irによる高線量率組織内照射がある。125Iによる永久挿入密封小線源治療法は放射能を有する金属製のチップを超音波ガイド下に前立腺に埋め込むやりかたでアメリカでは広く施行されている。本邦では2003年3月に認可された。低リスクでは単独で,中・高リスクでは外照射と併用されることが多い17)(III)18)(II)。内分泌療法との併用効果については,無作為割付による治療成績の比較検討はいまだ行われていない。これは密封小線源永久挿入治療単独での最良の適応対象は,もともと内分泌療法の併用効果が少ないと考えられている低リスク症例であることなどによる。192Irによる高線量率組織内照射は通常外照射と併用され局所限局性前立腺癌に加え,局所浸潤性前立腺癌を対象としている。内照射,外照射ともに合併症としては直腸障害,排尿障害,性機能障害が挙げられる。

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(4)放射線治療後の再発

放射線治療後の臨床的再発,生化学的再発の評価法は多くの議論のあるところである19)(IV)20)(III)21)(IV)22)(II)。前者では特に治療後の生検の意味合いについて,後者では血清前立腺特異抗原(PSA)測定の間隔・時期,有意変化のとらえ方に多くの議論が集中している。

 

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