ガイドライン

(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2006年版

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第3章 治療総論

 
1 治療方法の変遷

現在前立腺癌に対して広く施行されている治療法は1)外科治療,2)放射線療法,3)薬物療法(内分泌療法),4)待機療法の4つである。それぞれの治療法の詳細については各項目を参考にしていただくとして,ここでは治療法の概論について述べる。
歴史的には1941年にHugginsらが進行性前立腺癌患者に対し去勢術を施行し,自他覚所見の改善を認めたのが最初である。以来,内分泌療法は前立腺癌に対するGold standardとして広く施行されてきた。しかしながら内分泌療法は長期間施行すると,前立腺癌の内分泌依存性が消失し臨床的に再燃をきたすという欠陥を有していた。従来,前立腺癌は診断時には進行性であることが多かったのであるが,1990年頃からPSAが前立腺癌の診断に用いられるようになり,限局性の前立腺癌が多く発見されるようになってきた。こうした限局性の前立腺癌に対し,根治を目的として導入されたのが前立腺全摘除術である。今日では限局性前立腺癌に対する標準的な治療法として広く普及している。
また放射線療法の進歩も著しく放射線療法と前立腺全摘除術は並列した標準的治療法として呈示される。
待機療法は癌の診断がついていながら治療の実施を先送りにすることであるが,前立腺癌に固有の治療法と言える。待機療法は前立腺癌の治療が外科治療,放射線療法,内分泌療法いずれの場合においても性機能に大きな影響を与えること,PSAという感度のよい腫瘍マーカーがあるため病勢の判定がしやすいこと,前立腺癌の中には極めて生物学的悪性度の低いものが存在するなどの条件があって初めて可能な治療法と言える。

 

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