ガイドライン

(旧版) 肝癌診療ガイドライン2009年版

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第6章 穿刺局所療法


CQ49 各穿刺局所療法の選択は,どのように行うべきか?

推 奨
穿刺局所療法の適応がある患者に対しては,RFAが推奨される。
(グレードA)

■サイエンティフィックステートメント
RFAは,PEITに対し,局所制御能において優れ,生存率を向上させる。
RFAとPEITを比較したRCTは,4編公表されている。概要を表にまとめた。4編中すべてにおいて,RFAの局所再発率は,PEITよりも有意に低率であった。4編中3編においてRFAで治療された患者の生存率は,PEITよりも有意に良好であった(LF109411) Level 1b,LF104572) Level 1b,LF118693) Level 1b,LF104684) Level 1b)。Lencioniらは,102人の5cm以下単発あるいは3cm以下3個以下の肝細胞癌患者をランダムに2群に分け,RFAあるいはPEITにて治療した。約22カ月の平均観察期間で,2年生存率は,RFA群98%に対し,PEIT群88%で有意差はなかった(ハザード比0.20;p=0.138)。ただし,イベント数は両群合わせて6例であり,観察期間が短すぎると考えられる。
合併症については,4編中3編で頻度に有意差がなかったが,Linらは,RFAとPEITおよび酢酸注入(PAI)を比較した論文において,RFA群で2例のドレナージを要する血胸,1例の開腹を要する胃穿孔を認めたと報告している(LF104684) Level 1b)。

■解 説
穿刺局所療法として,PEIT,PAI,PMCT,RFAを比較したRCTがあり,わが国ではPAIおよびPMCTは現在ではほとんど行われなくなっているため,PEITと RFAを比較した論文を採択した。RCTの結果からPEITとRFAの両者が適応となる場合は,RFAを選択すべきと考えられる。RFAのほうがPEITよりも合併症が多いかという問題は,RCTでは結論が出ていないが,非RCTの結果および過去の報告からは,RFAのほうが合併症が多い可能性がある。特に,消化管穿孔は熱凝固療法特有の合併症であり,術後の癒着が存在する消化管近傍病変のように消化管穿孔の危険性が高い場合は,PEITを選択することも考慮されるべきであろう。

表 肝細胞癌に対する穿刺局所療法を比較したRCTのまとめ
表 肝細胞癌に対する穿刺局所療法を比較したRCTのまとめ


■参考文献
1) LF10941 Lencioni RA, Allgaier HP, Cioni D, Olschewski M, Deibert P, Crocetti L, et al. Small hepatocellular carcinoma in cirrhosis:randomized comparison of radio-frequency thermal ablation versus percutaneous ethanol injection. Radiology 2003;228(1):235-40.
2) LF10457 Lin SM, Lin CJ, Lin CC, Hsu CW, Chen YC. Radiofrequency ablation improves prognosis compared with ethanol injection for hepatocellular carcinoma<or=4cm. Gastroenterology 2004;127(6):1714-23.
3) LF11869 Shiina S, Teratani T, Obi S, Sato S, Tateishi R, Fujishima T, et al. A randomized controlled trial of radiofrequency ablation with ethanol injection for small hepatocellular carcinoma. Gastroenterology 2005;129(1):122-30.
4) LF10468 Lin SM, Lin CJ, Lin CC, Hsu CW, Chen YC. Randomised controlled trial comparing percutaneous radiofrequency thermal ablation, percutaneous ethanol injection, and percutaneous acetic acid injection to treat hepatocellular carcinoma of 3cm or less. Gut 2005;54(8):1151-6.

 

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