ガイドライン

(旧版) 肝癌診療ガイドライン2009年版

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第3章 手術


● はじめに
手術治療は腫瘍を除去するという局所制御性において最も確実性が高い治療である。一方,他の治療法に比較して劣ることのない安全性の確保が要求されている。近年,肝切除の安全性は一般消化器外科手術と遜色ないほど向上した。日本肝癌研究会による第17回全国原発性肝癌追跡調査(2002〜2003年)では手術死亡率は0.8%,5年生存率は53.4%と報告されており,この成果は,術前評価,手術手技,周術期管理などの総合力によってもたらされた。手術適応の決定には,肝細胞癌の進行度評価や肝機能評価が必須である。進行度は腫瘍の大きさ,数,血管侵襲,リンパ節転移,遠隔転移の有無によって規定される。肝機能からみた適応評価では,より簡便,より高精度の基準が提唱され,一般化している。術式においては,腫瘍根治と肝機能温存の両面から妥当と考えられる手術法がわが国からいろいろ開発されてきた。今後は無再発生存や累積生存など長期予後の向上に関するエビデンスや補助療法に関するエビデンスの充実が求められている。
今回の改訂では現状を反映するように項目を検討し,手術適応・術式・再発補助療法(3CQ:1CQ減),予後因子(3CQ),周術期管理(2CQ),補助療法(2CQ)を構成した。
また,肝移植(生体)は2004年に保険適応となり肝細胞癌の新しい手術療法として定着した。わが国は生体肝移植において世界のトップリーダーであり,肝細胞癌に対する成績もエビデンスが累積されてきた。今回の改訂では新たに移植に関する4CQを追加した。
■文献の選択
肝細胞癌,手術,英文原著論文,1980〜2007年の4つのキーワードによりMEDLINE(Dialog system)を使って1,481編を検索し,一〜三次選択を経て信頼度の高い論文121編(8.2%)を選択した。

 

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