ガイドライン

(旧版) 肝癌診療ガイドライン2009年版

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第2章 診断およびサーベイランス


第3節 画像診断

CQ12 肝細胞癌の画像診断において,FDG-PETを含む核医学診断は他の検査法と比べて有用か?

推 奨
従来の肝シンチグラムは肝細胞癌の診断に寄与しない。
(グレードD)

原発巣の評価について,FDG-PETは他の検査法と比べて有用とはいえない。
(グレードC2)

肝外転移が疑われるものの他の画像検査で発見できない場合,FDG-PETを追加することは有用である。
(グレードB)

■サイエンティフィックステートメント
肝シンチグラムによる肝細胞癌検出率は超音波に比べて明らかに低く,2cm以下の腫瘍ではSPECTを施行しても検出率は50%に達しない(LJ054441) Level 1)。FDGPETに関して,転移性肝癌では原発巣を含め肝の転移巣を良好に検出できるが,肝細胞癌については転移性肝癌よりstandardized uptake value(SUV)が低く,組織学的な分化度の高いものにその傾向が強く現れる(LF034722) Level 3,LF060013) Level 2a)。このため肝細胞癌原発巣の検出に関する有用性は低い(LF109394) Level 1)。一方,治療効果判定や遠隔転移検索に関しては有用性が報告されており,他の検査との客観的な比較が不十分ではあるものの,今後の臨床応用について一定の役割が期待できる(LF006735) Level 1,LF107656) Level 2b)。

■解 説
空間分解能の制限に基づく検出能の低さから,肝シンチグラムによる肝細胞癌の画像検査の適応はない。18F標識フルオロデオキシグルコース(FDG)を用いたPETでは,この物質が糖代謝が活発な腫瘍細胞に取り込まれ,代謝経路の阻害によってその部に特異的に蓄積することを利用している。転移性肝癌では,周囲正常組織のFDG集積低下に伴い,より腫瘍/正常比の高い良好なFDG-PET画像が得られる。しかし,肝細胞癌のうち分化度の高いものでは,FDGはリン酸化を受けた後再び脱リン酸化され細胞外に拡散するため,十分な集積が得られない。肝細胞癌原発巣の検出にFDGPETを用いることについては,高価格かつ保険未収載であること,従来のCT,MRIなどによる画像診断を凌ぐものでないことから,勧められない。一方,肝外転移の検索や治療効果判定については有用性が期待できるので,全身化学療法の進歩とともに一定の役割を担うかもしれない。

■参考文献
1) LJ05444 工藤正俊,伊吹康良,藤見勝彦.肝細胞癌の診断に肝シンチグラムは必要か? 臨床放射線 1987;32(8):901-8.
2) LF03472 Iwata Y, Shiomi S, Sasaki N, Jomura H, Nishiguchi S, Seki S, et al. Clinical usefulness of positron emission tomography with fluorine-18-fluorodeoxyglucose in the diagnosis of liver tumors. Ann Nucl Med 2000;14(2):121-6.
3) LF06001 Torizuka T, Tamaki N, Inokuma T, Magata Y, Sasayama S, Yonekura Y, et al. In vivo assessment of glucose metabolism in hepatocellular carcinoma with FDG-PET. J Nucl Med 1995;36(10):1811-7.
4) LF10939 Teefey SA, Hildeboldt CC, Dehdashti F, Siegel BA, Peters MG, Heiken JP, et al. Detection of primary hepatic malignancy in liver transplant candidates:prospective comparison of CT, MR imaging, US, and PET. Radiology 2003;226(2):533-42.
5) LF00673 Torizuka T, Tamaki N, Inokuma T, Magata Y, Yonekura Y, Tanaka A, et al. Value of fluorine-18-FDG-PET to monitor hepatocellular carcinoma after interventional therapy. J Nucl Med 1994;35(12):1965-9.
6) LF10765 Ho CL, Chen S, Yeung DW, Cheng TK. Dual-tracer PET/CT imaging in evaluation of metastatic hepatocellular carcinoma. J Nucl Med 2007;48(6):902-9.

 

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