ガイドライン

(旧版) 肝癌診療ガイドライン2009年版

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第2章 診断およびサーベイランス


第3節 画像診断

● はじめに

画像診断は,肝細胞癌の診断において極めて重要な位置を占め,大部分の肝細胞癌は,画像診断のみで確定診断することが可能である。
肝細胞癌の画像診断法として,超音波検査,CT(computed tomography),MRI(magnetic resonance imaging),血管造影,核医学検査が挙げられる。こうした検査法にはそれぞれ特徴がある。さらに,同一検査法であっても造影剤使用の有無,使う造影剤の種類と量,その注入速度,撮像タイミング,スライス厚などの撮像条件によって,画像の質には大きな差が生じ,その結果,肝細胞癌の診断能にも大きな差が生じる。また,これらの撮像条件を設定するに際しては,装置自身の性能の差が大きく影響する。
この画像診断装置の性能は近年,急速な進歩をみせている。超音波においてはドプラーやハーモニックイメージングなどの画像構成法の進歩とともに,各種の超音波造影剤の使用によるイメージングも急速に進歩・発展をしている。CTでは,連続回転式CT(ヘリカル,またはスパイラルCT)から多列式CT(MDCT:multi-detectorrow CT)さらに肝全体を1秒未満で撮影できる面検出器CTへと進歩し,スキャン速度と空間分解能が飛躍的に向上しただけでなく,管電圧変更により得られる新たなコントラストの利用も始まっている。MRI装置も,パラレルイメージング併用高速撮像法による造影剤投与下での動的検査(dynamic study)に加えて,肝特異性造影剤や拡散強調像の臨床応用が進み,濃度分解能と時間分解能が一層向上した。血管造影ではDSA(digital subtraction angiography)の手法を用いた技術が完成度を増し,さらにはフラットパネル検出器を回転させることにより得られる3次元画像やCT様の画像に新たな可能性が期待されている。核医学の領域では,FDG-PET(fluorodeoxyglucose positron emission tomography)を用いた検査法が悪性腫瘍の検出やステージングにおいて重要な役割を果たすようになり,特にPETとCTが合体した装置の有用性に関する知見が集積されつつある。肝細胞癌の診断においてFDG-PETはいまだ保険収載に至っていないが,肝外転移検索や治療効果判定については臨床応用の可能性がある。
これらの画像診断装置の急激な進歩と歩調を合わせて,画像診断を取り巻く環境も多様性を増し複雑に変化している。この環境の中で,今回我々は,効率よく,しかも正確に画像診断を適応する方法について検討した。前回以降2007年6月までに発表された科学的論文の中から肝細胞癌の画像診断に関する論文を抽出し,価値が高いと思われる論文について抄録を作成し,それらを基にして,肝細胞癌の画像診断の進め方についての標準的ガイドラインを示した。これらの科学論文の多くは,その時々の最新の高性能装置を用いた研究に基づいた研究であり,現状での一般の医療施設で設置されている画像診断装置と,必ずしも整合性がとれているわけではないが,進むべき方向性は十分示されていると考えた。

 

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