ガイドライン

(旧版) 肝癌診療ガイドライン2009年版

書誌情報
 
第2章 診断およびサーベイランス


第2節 腫瘍マーカー

CQ8 腫瘍マーカーの測定は,肝細胞癌の治療後の指標として有効か?

推 奨
治療前に腫瘍マーカーが上昇している症例では,治療後にその腫瘍マーカーを測定することは,治療の指標として有効である。
(グレードC1)

■背 景
治療前に上昇していた腫瘍マーカーが,治療後低下することは,経験的に知られた事実である。腫瘍マーカーが治療後も異常値でとどまる場合,腫瘍の残存が推定される。腫瘍マーカーの測定が治療後の指標として有用であるかを検討した。

■サイエンティフィックステートメント
肝動脈塞栓術あるいは肝動注化学療法を施行されたAFP20ng/ml以上,PIVKA-II0.13AU/ml以上の35人の肝細胞癌患者を対象とした研究では,腫瘍の壊死範囲とPIVKA-IIの変動値は有意な相関を示したが,AFPとは有意な相関を示さなかった(LF028521) Level 4)。肝動脈塞栓術を施行されたAFP20ng/ml以上の肝細胞癌患者21人を対象とした研究では,AFPの低下率と治療効果の間には有意な相関があった(LF038622) Level 4)。
腫瘍マーカーは,肝細胞癌の治療後の指標として有用である可能性があるが,ランダム化,非ランダム化を含めて1本の比較対照試験もなく,エビデンスが不足している。

■解 説
肝腫瘍と腫瘍マーカーをキーワードに論文検索を行い,治療前後の腫瘍マーカーについて検討した2本の論文を採択した。いずれも肝動脈塞栓術を施行された患者を対象とした対照群をもたないLevel 4の論文であった。

■参考文献
1) LF02852 Kishi K, Sonomura T, Mitsuzane K, Nishida N, Kimura M, Satoh M, et al. Time courses of PIVKA-II and AFP levels after hepatic artery embolization and hepatic artery infusion against hepatocellular carcinoma:relation between the time course and tumor necrosis. Radiat Med 1992;10(5):189-95.
2) LF03862 Hsieh MY, Lu SN, Wang LY, Liu TY, Su WP, Lin ZY, et al. Alpha-fetoprotein in patients with hepatocellular carcinoma after transcatheter arterial embolization. J Gastroenterol Hepatol 1992;7(6):614-7.

 

書誌情報