ガイドライン

(旧版)急性膵炎診療ガイドライン2010

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参考資料

 


【参考資料7】  CT検査における造影剤の使用に関する企業への質問および回答書


以下の質問事項に関して,国内の代表的造影剤メーカーの統一見解として回答をいただきました。
1.  添付文書において,造影剤が急性膵炎に原則禁忌とされた根拠および経緯について説明いただきたく存じます。
2.  いつから原則禁忌となったのかについてもご教示ください。

1980年代に販売開始された非イオン性X線造影剤については,イオン性造影剤を対照薬として臨床試験を実施し,開発時の安全性データも限定されていたことから,他のイオン性X線造影剤の添付文書に準拠して「次の患者には投与しないことを原則とするが,特に必要とする場合には慎重に投与すること」の項に「急性膵炎の患者」を承認時より記載しております。
さらに1994年の製薬協の自主基準ならびに規制当局の指導(薬案32号)に基づき,現行添付文書同様に「原則禁忌」の項に「急性膵炎のある患者[症状が悪化するおそれがある]」として記載を変更しております。
1990年代に販売開始した非イオン性X線造影剤については,承認時より,他の非イオン性X線造影剤の添付文書に準拠し,現行添付文書と同様の記載をいたしております。

1950年代に販売開始されたイオン性X線造影剤の添付文書において,急性膵炎を「原則禁忌」の項に設定した経緯については,詳細な根拠・経緯等は確認できませんでしたが,規制当局の指導(「医療用医薬品の使用上の注意記載要領について」(薬発第153号))に従い,1970年代に「次の患者には投与しないこと」の項に「急性膵炎および一般状態の極度に悪い患者」を追加記載しております。その後,X線造影剤の再評価申請に伴い,「次の患者には投与しないことを原則とするが,特に必要とする場合には慎重に投与すること」の項に「急性膵炎の患者」と記載する改訂をいたしました。
非イオン性X線造影剤と同じく,1994年の製薬協の自主基準ならびに規制当局の指導(薬案32号)に基づき,「原則禁忌」の項に「急性膵炎のある患者[症状が悪化するおそれがある]」として記載を変更いたしております。
  *:製薬協発第1445号「医療用医薬品添付文書『使用上の注意』記載内容の改訂について」


3.  我が国で,急性膵炎の患者に造影剤を使用したために有害事象が出現したとする症例報告はありますか。ありましたら症例報告の雑誌名,出版年などをご教示ください。また,因果関係は明らかでしょうか。

企業で収集した非イオン性X線造影剤,イオン性造影剤の国内副作用報告において,急性膵炎を合併症として有していた症例で,急性膵炎の症状が増悪したとの報告はありませんでした。


4.  海外では造影剤は急性膵炎に禁忌とはされておらず,我が国でのみ原則禁忌とされているようです。もし,日本以外で造影剤が急性膵炎に原則禁忌としている国がありましたらご教示ください。

米国及びEUの主要国においては,「急性膵炎のある患者」は,原則禁忌として設定されておりません。韓国において,一部の非イオン性X線造影剤が,日本での添付文書に準拠して,原則禁忌に設定しております。




(参  考)
「医療用医薬品添付文書の「使用上の注意」における「原則禁忌」の記載について」

医療用医薬品の添付文書の「使用上の注意」の「原則禁忌」の項については,「医療用医薬品の使用上の注意記載要領について(薬発第607号平成9年4月25日)」にて,その記載要領が定められております。
「原則禁忌」とは,薬剤を投与するリスクを上回る臨床上のメリットが期待される場合に,その使用が認められることになります(臨床画像2007;23(3):102-109.)。


「医療用医薬品の使用上の注意記載要領について」(一部抜粋)
第三  記載要領
二  [禁忌(次の患者には投与しないこと)]
(一)  患者の症状,原疾患,合併症,既往歴,家族歴,体質,併用薬剤等からみて投与すべきでない患者を記載すること。なお,投与してはならない理由が異なる場合は,項を分けて記載すること。
(二)  本項以外にも,禁忌に該当する内容のある場合は,重複して本項に記載すること。
(三)  原則として過敏症以外は設定理由を[  ]内に簡潔に記載すること。
(四)  本来,投与禁忌とすべきものであるが,診断あるいは治療上当該医薬品を特に必要とする場合には,[禁忌]とは別に「原則禁忌(次の患者には投与しないことを原則とするが,特に必要な場合には慎重に投与すること)」として記載すること。なお,「原則禁忌」の記載はむやみに行うべきではなく,「診断あるいは治療上特に必要とする場合」に限定するべきであること。**
(五)  使用に際しての特別な注意,応急対処法があれば簡潔に記載すること。
*   :  当該通知により,「医療用医薬品の使用上の注意記載要領について(薬発第153号昭和51年2月20日)」通知は廃止されております。
** :  下線は当委員会が追記。

 

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