ガイドライン

(旧版)急性膵炎診療ガイドライン2010

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第X章  臨床指標(Clinical indicator:CI):Pancreatitis Bundle

 

ガイドラインに臨床指標(Clinical indicator)を設定すると,ガイドラインの遵守率が向上するとされている。また,ventilator bundleやsepsis bundleのようにbundleとして関連する望ましい診療内容をまとめて行った場合には,個々の介入のみを行った場合よりも患者の予後が改善すると考えられている。ガイドライン遵守率を向上させ,患者の予後を改善するため,今回のガイドラインでは下記の臨床指標(Pancreatitis bundle)を設定した。いずれも推奨度AまたはBの内容であり,個々の施設での実状にあったように多少の改変は可能であるがこれらの項目をすべて網羅することが必要である。特殊な状況以外では原則的にすべての項が実施されることが望ましく,診療録等に記録する。(「付録 Pancreatitis Bundle チェックシート」にPancreatitis Bundleのチェックシートを掲載)

1. 急性膵炎診断時,診断から24時間以内,および,24~48時間の各々の時間帯で,厚生労働省重症度判定基準を用いて重症度を繰り返し評価する。
2. 重症急性膵炎では,診断後3時間以内に,適切な施設への搬送を検討する。
3. 急性膵炎では,診断後3時間以内に,病歴,血液検査,画像検査などを用いて,膵炎の成因を鑑別する。
4. 胆石性膵炎のうち,胆管炎合併例,黄疸の出現または増悪などの胆道通過障害の遷延を疑う症例には,早期のERC+ESの施行を検討する。
5. 重症急性膵炎の治療を行う施設では,造影可能な重症膵炎症例では,初療後3時間以内に,造影CTを行い,膵不染域や病変の広がり等を検討し,造影CT Gradeによる重症度判定を行う。
6. 急性膵炎では,発症後48時間以内は,十分な輸液とモニタリングを行い,平均血圧:拡張期血圧+(収縮期血圧-拡張期血圧)/3:65mmHg以上,尿量0.5mL/kg/h以上を維持する。
7. 急性膵炎では疼痛のコントロールを行う。
8. 重症急性膵炎では24時間以内に広域スペクトラムの抗菌薬を予防的に投与する。
9. 重症急性膵炎では,重症膵炎と診断後可及的速やかに(2日以内に)公費負担の申請書類を患者の代諾者に渡す。
10. 胆石性膵炎で胆嚢結石を有する場合には,膵炎沈静化後,胆嚢摘出術を行う。

 

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