ガイドライン

(旧版)急性膵炎診療ガイドライン2010

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第VIII章  急性膵炎の治療

 


7.腹腔洗浄・腹膜灌流(peritoneal lavage : PL)



CQ53  : 急性膵炎に対する腹腔洗浄(peritoneal lavage)は救命率を改善させるか?
急性膵炎の救命率および合併症発症率に対する腹腔洗浄(peritoneal lavage)の効果は明らかでなく,腹膜からの漏出蛋白量の増加など,有害事象の報告もある: 推奨度D



腹腔洗浄・腹膜灌流(peritoneal lavage : PL)は全身に移行すれば重要臓器障害を惹起するような毒性物質を多量に含有する血性腹水や壊死組織を生理食塩水など等張液を用いて直接洗い流すこと(洗浄;lavage)を目的に行われる。しかし,その有効性は証明されていない。
現在までに急性膵炎を対象として行われたRCTは8件 94),95),96),97),98),99),100),101) に及ぶが 個々の研究における膵炎の診断方法,重症度評価法,治療法はまちまちであり,対象群であるPL非施行例の治療法も不均一であった。いずれも合併症発生率および救命率に関してPLの有効性は証明されておらず,むしろ腹膜からの漏出蛋白量が増加し,血漿輸注量が増加したとの報告(レベル1b) 96) もある。
これら,8 RCT 333例につき,メタアナリシスが行われたが(レベル1a-) 102) ,前述のごとく患者層および治療法がそれぞれの施設で異なるがゆえに,その解析者自身,解析の困難性を述べている。この結果では,PL施行例において死亡率(OR=0.94;95%CI=0.84~1.03,NS),合併症発生率(OR=0.98;95%CI=0.90~1.07,NS),ともにその有用性は認められなかった。

 

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