ガイドライン

(旧版)急性膵炎診療ガイドライン2010

書誌情報
第VIII章  急性膵炎の治療

 


1.基本的治療方針


CQ39 : 急性膵炎に対する基本的治療方針は?
1) 急性膵炎を疑った場合には,診断基準に基づいて判定を行うとともに,血液検査や画像診断により成因を検索する。
2) 急性膵炎と診断した場合は入院治療を行うが,入室(搬送)前から呼吸・循環モニタリングと初期治療を速やかに開始する。
この場合のモニタリングとは意識状態・体温・脈拍数・血圧・尿量・呼吸数・酸素飽和度などのモニタリングである。
急性膵炎に対する初期治療は,絶食による膵の安静(膵外分泌刺激の回避),十分な初期輸液(第VIII章 2.輸液),十分な除痛が基本となる。
胆石性膵炎では(第VIII章 10.胆石性膵炎における胆道結石に対する治療)指針に従い,診療を進める。
3) 重症度判定を行い,重症度に応じたモニタリング,治療を行う。初診時に予後因子スコア2点以下であっても後に重症化することがあり,経時的に繰り返し重症度判定を行うことが重要である。
予後因子スコア2点以下では,上記モニタリングを行い慎重に経過観察する。臨床症状が軽度で臓器不全傾向もない場合には,一般病棟での管理が可能であり,末梢静脈路を確保し十分に輸液を行う必要がある。しかし,予後因子スコア2点以下であっても臨床症状が強く臓器不全傾向がある場合には,より厳密な呼吸・循環管理が可能な病棟で,十分な輸液を行いながら注意深く経過観察する必要がある。
重症例では,厳密な呼吸・循環管理が必要であり,重症急性膵炎患者に対応可能な施設への搬送を考慮しなければならない。末梢静脈路・中心静脈路を確保するとともに,意識状態・体温・脈拍数・血圧・尿量・呼吸数・酸素飽和度・CVP・酸塩基平衡・電解質などをモニタリングし,呼吸・循環の維持,酸塩基平衡・電解質バランスの補正に努める必要があり,抗菌薬の予防投与を考慮する。
4) 急性膵炎の病態は病期により異なる。重症例の発症後期には感染性合併症対策が重要なポイントとなる。
体温・白血球数・CRPの定期的モニタリングに加え。腹部超音波やCTなどの画像検査によるフォローアップが必要である。また。カテーテル感染。肺炎。尿路感染にも注意が必要である。




注1) 急性膵炎と診断された場合は入院加療が原則であり,直ちにモニタリング,基本的治療(十分な輸液など)を開始する。急性膵炎は急速に病状が変化することがあるため,初期に軽症であっても経時的に重症度判定を行い,重症度スコア3点以上(厚生労働省基準2008年)となった場合は重症急性膵炎に対応可能な施設に搬送を考慮する。
注2) CHDF:continuous hemodiafiltration


 

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