ガイドライン

(旧版)急性膵炎診療ガイドライン2010

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第VII章  急性膵炎の重症度診断

 
<参考画像>

図VII-3 白血病化学療法後急性浮腫性膵炎(CT Grade 1)
膵のサイズには個人差があるので,腫大が軽度の場合には異常と判断することは困難である。膵周囲の前腎傍腔の浸出液貯留による濃度上昇(*)と左前腎筋膜(Gerota筋膜)の肥厚(矢頭)の所見からCT Grade 1の急性膵炎と診断可能である。空腸(J)にも炎症が波及し,浮腫状を呈する。図に横行結腸間膜根部の拡がりを示す(点線)。
TC:横行結腸,DC:下行結腸


図VII-4 急性浮腫性膵炎(CT Grade 1)
造影CT(A〜C)では膵全体が軽度腫大しているが,明らかな造影不良域は認めない。左前腎傍腔と横行結腸間膜根部に浸出液貯留(*)を認めることから,急性膵炎CT Grade 1と診断できる。
AC:上行結腸,TC:横行結腸,DC:下行結腸,J:空腸


図VII-5 急性膵炎再燃(CT Grade 1)高脂血症(カイロミクロン血症)
造影CT(A〜C)では膵頭体部が腫大しているが,明らかな造影不良域は指摘できない。浸出液貯留(*)は膵周囲の後腹膜腔(左右前腎傍腔)ならびに横行結腸間膜,上行結腸間膜,小腸間膜の根部にも限局していることから,CT Grade 1の急性膵炎と診断できる。DU:十二指腸


図VII-6 急性浮腫性膵炎(CT Grade 1)

造影CT(A,B)ならびに冠状断再構成画像(C,D)では膵全体が軽度腫大しているが,明らかな造影不良域は認めない。膵周囲に脂肪壊死(A:*)を認める。横行結腸間膜にも広範な脂肪壊死(A〜D:*)を認め,横行結腸(TC)が炎症の波及のために浮腫状を呈している。肝周囲に腹水を認める。脂肪壊死は結腸間膜にとどまっているのでCT Grade 1と診断できる。
TC:横行結腸,DC:下行結腸




図VII-7 急性壊死性膵炎(CT Grade 2)胆石症

膵体部の壊死は単純CT(C)では評価できないが,造影CT(D)では造影不良域として診断可能である。
また単純CTでやや濃度が高く,造影CTで造影不良な脂肪壊死(*)を小網(A,B),左前腎傍腔(A〜D),横行結腸間膜(E,F)に認める。
膵濃染不良域の程度(膵体部から一部膵尾部に及ぶ)と,脂肪壊死が横行結腸間膜根部に認められることからCT Grade 2と診断できる。




図VII-8 急性膵炎(CT Grade 2)

造影CT(A〜E)では膵全体が腫大しているが,明らかな造影不良域は認めない。横行結腸間膜および左前腎傍腔に広範な脂肪壊死(*)を認める。前腎傍腔の脂肪壊死は腎下極を越えて骨盤腔内にまで達していることから,CT Grade 2と診断できる。




図VII-9 重症急性壊死性膵炎(CT Grade 3)

造影CT(A〜D)では膵全体が腫大し,膵体部と膵頸部に造影不良域(2つの区域にかかる)を認める。また,脂肪壊死(*)が上行結腸間膜〜横行結腸間膜のみならず,腎下極以遠の後腹膜腔(D:*)にまで及んでいることから,CT Grade 3の重症膵炎と診断できる。




図VII-10 重症急性壊死性膵炎(CT Grade 3)
造影CT(A,B)では膵頸部〜膵体尾部に広範な造影不良域(2つの区域全体)を認める。また,脂肪壊死(*)が左前腎傍腔および横行結腸間膜根部に拡がっていることから,CT Grade 3の重症膵炎と診断できる。



図VII-11 重症急性膵炎(CT Grade 3)

造影CT(A,B)ならびに造影後冠状断再構成画像(C)では膵頭部〜膵体尾部に広範な造影不良域(2つの区域以上)を認める。腹水を認める他に,脂肪壊死(*)が両側前腎傍腔および横行結腸間膜根部に認められる。前腎傍腔の脂肪壊死は腎下極を越えて骨盤腔内にまで達していることからCT Grade 3の重症膵炎と診断できる。




図VII-12 膵鉤部癌による急性膵炎

単純CT(A,B)では膵の腫大と左前腎傍腔に液体貯留(*)を認める。6日後に施行されたダイナミックCT(C,D)では炎症は改善しているが,膵鉤部に乏血性の膵癌(矢頭)が発見された。
単純CT のみでは原因となる膵腫瘍が見逃される危険性が高い。



図VII-13 急性壊死性膵炎(CT Grade 2),出血性脂肪壊死+脾動脈仮性動脈瘤,動脈塞栓術で止血

CT(A〜D)では膵〜膵周囲〜小網腔〜横行結腸間膜に広範な脂肪壊死を認める。単純CT(A,B)では一部高吸収域(*)を示し新鮮な血腫を伴っているのが分かる。ダイナミックCT(C,D)では膵体部に造影不良域(矢印)を認める。また,血腫内には造影剤の漏出(仮性動脈瘤)(矢頭)を認め,出血が持続していることが分かる。活動性出血の診断には造影ダイナミックCTが必要である。本例は緊急血管造影が行われた(E,F)。腹腔動脈造影にて脾動脈起始部に仮性動脈瘤(矢頭)を認め,金属コイル(矢印)による脾動脈塞栓術を施行し,止血に成功した。



図VII-14 急性膵炎+仮性嚢胞内仮性動脈瘤(矢頭)

単純CT(A)では膵体部に仮性嚢胞(矢印)を認める。ダイナミックCT(B)では,仮性嚢胞内に造影剤の漏出,いわゆる仮性動脈瘤(矢頭)を認める。腹腔動脈造影(C)では横行膵動脈に仮性動脈瘤(矢頭)を認める。マイクロコイル(D:矢印)で横行膵動脈の塞栓術を施行し,止血に成功した。



図VII-15 急性膵炎+上腸間膜静脈〜門脈血栓症

単純CT(A,B)では膵の腫大と膵周囲脂肪織への炎症波及を認め,急性膵炎と診断できる。しかし,門脈血栓の有無は単純CTでは評価困難である。造影ダイナミックCT(C,D)では門脈本幹から上腸間膜静脈の内腔に血栓を認め,静脈うっ血のために右結腸静脈が拡張しているのが分かる。膵尾部には仮性嚢胞(A,C:矢頭)を認める。早期に血栓溶解療法を施行し,門脈血栓は消失した。



図VII-16 急性膵炎+脾静脈〜門脈血栓 図VII-17 正常脾静脈〜門脈造影CT
造影CT(A,B)では脾静脈〜門脈本幹〜右門脈後枝が血栓により完全に閉塞している。代償性に固有肝動脈〜右肝動脈が拡張している。血栓溶解療法が行われたが,脾静脈〜門脈は再開通せず,門脈圧亢進症を発症した。
図VII-17(A,B)に正常脾静脈〜門脈の造影CT像を参考のため呈示する。



図VII-18 急性膵炎に伴う左胸水

A,B. 胸部造影CTをもとに合成された臥位の胸部単純写真様の画像とMPR画像:臥位の胸部単純写真を行った場合,胸水が肺尖部から肺底部にかけて貯留することが分かる(矢印)。
C. 胸部造影CT:左胸水並び左下葉の無気肺を認める。


 

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