[最終更新日] 2023年12月26日
1. 診療ガイドライン総論
- Q
- 診療ガイドラインの定義とは? 診療ガイドラインの定義 (2023年3月27日掲載)
- A
- Mindsでは、診療ガイドラインを次のように定義しています。
「健康に関する重要な課題について、医療利用者と提供者の意思決定を支援するために、システマティックレビューによりエビデンス総体を評価し、益と害のバランスを勘案して、最適と考えられる推奨を提示する文書」
診療ガイドラインとは、科学的な情報に基づき意思決定を支援する文書であり、根拠となる情報の科学的妥当性だけでなく、益と害、必要な場合は費用や負担も勘案した推奨を提示する文書です。治療的介入に限らず、診断的介入、予防的介入等についても、意思決定を支援する推奨を提示できるのであれば、診療ガイドライン作成の意義があると考えます。
(注) 上記定義は、Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver.3.0において新たに示した定義です。それ以前の定義は、「診療上の重要度の高い医療行為について、エビデンスのシステマティックレビューとその総体評価、益と害のバランス等を考量して、患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書」でした。近年の診療ガイドラインが取り扱う内容と診療ガイドラインを取り巻く環境の多様化を鑑み、より実際にかなう新しい定義に変更しました。
(p.3 第1章 診療ガイドライン総論 「1.1 診療ガイドラインとは」参照)
- Q
- 診療ガイドラインに、疾患に関する臨床的・疫学的情報を含めることは問題ないですか? 診療ガイドラインの内容 (2023年3月27日掲載)
- A
- 診療ガイドラインに、推奨の根拠となった情報以外に、疾患に関する情報を推奨の理解に必要な背景知識として含めることは問題ありません。なお、疾患の罹患率、症状、発症経過等、疾患トピックの背景となるような情報に関する臨床上の疑問を「背景疑問」(background question)と言います。これらの臨床的・疫学的特徴に関する疑問は、診療ガイドラインで取り上げるべき臨床上の課題(重要臨床課題)とする必要はなく、疾患トピックの基本的特徴の中に記載するだけで構いません。
(p.58-59 第3章 スコープ 「3.3(1)重要臨床課題の設定」参照)
- Q
- 多くの診療ガイドラインは特定の疾患をテーマとされていますが、介入をテーマとした診療ガイドラインを作成しても良いですか? 診療ガイドラインのテーマ(2023年3月27日掲載)
- A
- 診療ガイドラインの作成では、疾患をテーマに作成しなければならないということはありません。特定の介入に注目して、エビデンスを評価、統合していく中で、患者にとって重要なアウトカムを考慮し、診療現場での患者と医療者の意思決定を支援することを目標とした推奨を作成するのであれば問題はありません。
「Q:診療ガイドラインの定義とは?」参照
- Q
- Minds診療ガイドライン作成マニュアルが改訂された際に、現在作成中の診療ガイドラインにおいて、新マニュアルに準拠するよう対応する必要がありますか?
また、作成・公表済の既存の診療ガイドラインについては、次回改訂時に新マニュアルに準拠すれば良いですか。
マニュアル改訂時の対応(2023年3月27日掲載)
- A
- 現在、「Minds診療ガイドライン作成マニュアル」は、2020 ver.3.0が最新版です。世界の動向を踏まえた内容になっていますので、診療ガイドラインの作成・改訂にあたっては、最新版を参照することを推奨します。
診療ガイドライン作成・改訂の作業工程や時間的問題等の都合により、最新版のマニュアルに準拠することが難しい場合は、次回の改訂において最新版のマニュアルに対応することが望まれます。
2. 準備
- Q
- 診療ガイドライン作成のための組織体制は、どのようにしたら良いですか? 診療ガイドライン作成の組織体制 (2023年3月27日掲載)
- A
- 診療ガイドラインの作成にあたっては、作成過程での判断の偏りを避けるために、また作成過程の透明性を確保するために、作業を分担し独立して進めることが望ましいです。そのため、Mindsでは「診療ガイドライン統括委員会」、「診療ガイドライン作成グループ」、「SRチーム」の三層構造とすることを提案しています。
診療ガイドラインの内容、特にスコープと推奨の作成については、診療ガイドライン作成グループが中心的役割を果たします。診療ガイドライン作成グループには、学会員に限らず、患者・市民の代表者も含め、すべてのステークホルダーを含むことが望まれます。SRチームは2名一組で、1~2個のCQを担当するのが一般的です。SRの作業は、SRの知識・スキルが必要で時間と労力を要しますので、それを前提とした複数人の担当者の選出が必要となります。
(p.3-5 第1章 診療ガイドライン総論 「1.2.1 三層構造の担当組織」参照)
- Q
- 診療ガイドライン統括委員会の役割について教えてください。 診療ガイドライン統括委員会の役割 (2023年3月27日掲載)
- A
- 統括委員会は、診療ガイドライン作成主体の下で、作成に関わる委員会の設置、予算の決定等の意思決定を担う委員会です。診療ガイドラインの作成過程のうち、①「作成目的の明確化と体制の決定」、②「公開」、公開後の③「普及・導入・評価」、④「改訂」の作業を担当します。統括委員会は、①として、診療ガイドライン作成グループの設置・編成、委員長の選任を行います。また、作成資金の準備、COI管理方針の決定も行うことが一般的です。最終的に個々の推奨と診療ガイドライン全体を承認し、公開に向けた作業を進めるのも重要な役割です。
(p.4 第1章 診療ガイドライン総論 「図1-1 診療ガイドライン作成過程と担当組織」参照)
- Q
- 診療ガイドライン作成グループの望ましいメンバー構成はどのようなものですか? 診療ガイドライン作成グループのメンバー構成(2023年3月27日掲載)
- A
- 診療ガイドライン作成グループには、その内容に関係し得る者(ステークホルダー)を幅広く含めることを推奨しています。診療ガイドラインが扱うトピックの専門医、プライマリケア医、看護師、薬剤師等の医療職の他、診療ガイドライン作成方法の専門家、文献検索の専門家、疫学・統計学の専門家、 医療経済学の専門家、法律家、患者・市民、政策担当者等により構成され、性別、地域、経済的および学術的な利害関係に配慮した多様なメンバーで編成することが望ましいです。可能であれば、関連学会、患者(家族)団体等からの参加の可能性を検討してください。
(p.25 第2章 準備 「2.5(2)診療ガイドライン作成グループ」参照))
- Q
- SR(システマティックレビュー)チームと診療ガイドライン作成グループの関係について教えてください。 SRチームと診療ガイドライン作成グループの関係(2023年3月27日掲載)
- A
- SRチームは、診療ガイドライン作成グループが作成したスコープに基づいてSRを実行します。
スコープに記載されたCQと設定された複数の益と害のアウトカム、「システマティックレビューに関する事項」に従ってSRを実施します。「システマティックレビューに関する事項」として、実施スケジュール、エビデンス検索の方法、エビデンス選択の方法(文献の選択基準、除外基準)、エビデンスの評価と統合の方法が含まれます。これらについて、診療ガイドライン作成グループの中で、そのCQを担当するメンバーとSRチームは十分な打ち合わせが必要で、CQの個別の条件によって、スケジュールや方法に変更が生じることもあります。また、SRチームがSR実施後に提出する報告書に含める項目や様式についても、あらかじめ決めておく必要があります。なお、作成過程の透明性を確保するために、原則としてそれぞれの作業は独立して進めることが望ましいですが、組織体制(規模が小さい等)によっては、SRチームと診療ガイドライン作成グループの構成員は、COI管理を厳密に行った上で、一部兼任するといった対応はあり得ます。
(p.25 第2章 準備 「2.5(3)システマティックレビューチーム」、p.72-73 第3章 スコープ 3.5節 参照、【SC-3 スコープ】【SC-4 CQの設定】)
- Q
- いくつかの学会が共同で診療ガイドライン作成にあたる場合、どのようにしたら良いですか? 複数の学会が共同で作成する場合(2023年3月27日掲載)
- A
- 複数の学会が共同で診療ガイドラインを作成する場合、作成に参加する学会間で協議し、学会間の関係、作成手順・スケジュール、COIの管理、作成費用の準備、組織の編成等の方針をあらかじめ決定します。偏りのない作成組織を編成するために、各学会の代表者で構成される協議会のような組織が、診療ガイドライン統括委員会となることもあり得ます。各学会の代表者の人選は各学会の理事会による、あるいは、最初に小規模の協議会を発足させ、各学会から統括委員の人選を進め、統括委員会へ移行するという手順が考えられます。次に、統括委員会が診療ガイドライン作成グループの人選を行います。取り扱う診療ガイドラインの内容に応じてメンバーの人数や構成を決定します。いずれのメンバーについても、COI申告は必要になります。なお、診療ガイドライン作成グループ、SRチームの活動は、単一主体の場合と同じです。
「Q:診療ガイドライン作成のための組織体制は、どのようにしたら良いですか?」参照
(p.12-13 第2章 準備 2.1節、2.2節 参照)
- Q
- 学会でガイドラインを作る際に、外部評価委員会を設置する必要がありますか?
また、設置する場合、作成に関与しない学会員を外部評価委員に入れても良いですか? 外部評価委員会の設置(2023年3月27日掲載)
- A
- 診療ガイドライン作成の過程で、作成に直接関与しない第三者による評価や助言を受けるために、外部評価委員会の設置が望ましいです。外部評価の目的を決め、その目的に相応しい人を外部評価委員として選定することを推奨しています。第三者の立場からの評価を目的とする場合は学会員以外であることが望ましいですが、内容に関する専門的な観点からの評価を目的とする場合は学会員を外部評価委員として選定しても良いと考えられます。外部評価委員は、統括委員会により任命され、COI申告も必要になります。
(p.26 第2章 準備 「2.5(4)外部評価委員会」参照)
- Q
- 診療ガイドライン作成への患者・市民参画にはどのような意義がありますか。 患者市民参画の意義 (2022年1月27日掲載)
- A
- 患者・市民参画を実践することで、患者と医療者の協働意思決定に寄与するより良い診療ガイドラインを作ることができます。 診療ガイドライン作成に患者・市民が参画することの意義は、大きく3点にまとめることができます。
出典:Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver.3.0 1)患者と医療者の協働意思決定の支援という診療ガイドラインの本質 科学的に妥当な治療法であっても、それ以外の選択肢や患者・市民にとって重大な害がある場合、また患者・市民の価値観・希望が多様な場合など、いずれの治療法を選択するか、患者・市民と医療者が協働して考えるための情報を提供するのが診療ガイドラインの役割です。そのためには、診療ガイドラインが患者・市民のニーズに応える必要があり、その作成過程に患者・市民が参画し、自身の経験や、患者・市民の価値観・希望、重要視する点などについて情報提供を行うこと、または作成グループが患者・市民の価値観・希望について情報収集を行い、吟味することが重要です。 2)診療ガイドラインの質を向上させる 診療ガイドライン作成に患者・市民が参画することで、以下のような点が改善されると考えられます。- 患者と医療者では、意思決定の際に重視することや価値観が異なる場合があるため、抱いた疑問などを伝えることで共有できる。
- 診療ガイドラインで対象になる治療法などが、実際に患者・市民に与える影響を知ることで、益と害の推定がより具体的になる。
- 推奨を作成する際、科学的なエビデンスを補完・補強する、または疑問を伝え、検討できる。
- 推奨文などが、わかりやすく、患者・市民を尊重した表現で作成されているか、検証できる。
- 診療ガイドラインの普及と活用(ガイドライン解説含む)について示唆が得られる。
- Q
- 診療ガイドライン作成に患者・市民が参画するために、どうしたらよいですか。 患者市民参画の方法 (2022年1月27日掲載)
- A
- 作成グループの状況に応じた参画の方法を検討した上で、患者・市民を募ります。いずれの参画方法でも、患者・市民が内容を理解し、意見を述べやすくなるような配慮が求められます。 診療ガイドライン作成への参画手段は、患者・市民委員だけではありません。患者・市民から情報収集を行い、診療ガイドラインに反映するためには、インタビューやアンケートの実施、パブリックコメントの募集の他、直接患者に調査することが難しい場合はすでにある文献の調査を行うこともあります。他にも、医療者や医療機関、患者団体などに寄せられた問い合わせ内容から、患者・市民が疑問に感じやすい点などを把握し、参考にすることもできます。
作成グループの状況に応じた参画方法によって、患者・市民が内容を理解しやすいよう、事前の資料説明や、わかりやすさを心掛けた表記の工夫が求められます。他にも、患者・市民が意見を述べやすくなるよう、インタビューやアンケートでは質問の要点を明確にしたり、会議の場では他の委員と同じように、発言を促したりといった配慮が求められます。
2021年時点で比較的みられる募集方法は、作成委員などが既知の患者団体や患者に依頼して、関係者からの推薦のような形です。Mindsでも今後、作成委員会が作成に参画する患者・市民を探す際に、関心のある患者・市民に対して募集内容を告知できる「患者・市民参画ネットワーク」が構築できないか、準備を進めています。
- Q
- 患者・市民の方を作成委員に迎えるにあたり、準備しておいた方がよいことはありますか。
また、患者・市民の方が会議で発言しやすくするためにはどのような点に気を付けるべきですか。 患者市民委員を迎えるにあたっての準備 (2022年1月27日掲載)
- A
- 患者・市民参画の意義を作成委員全員で共有するとともに、発言がしやすくなるような働きかけを行ってください 患者・市民は診療ガイドライン作成・活用における重要なステークホルダーです。作成プロセスの開始前に、作成グループの議長を含めたメンバー全員が、患者・市民参画の意義を共有し、診療ガイドライン作成に関わる患者・市民と医療者は対等な立場であることを確認しておくことが望ましいと考えられます。患者・市民の方が作成グループのメンバーとして尊重されていることを感じられるような環境を作ることに留意し、発言しやすい雰囲気作りや働きかけを常に行っていくことが重要です。但し、患者・市民の全ての意見を取り入れることは必須ではなく、患者・市民や、委員の価値観・希望などを推定する際の一つの検討材料として、共に吟味することが最も重要です。
<患者・市民委員への配慮の例>
出典:Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver.3.0
- 作業が開始される前あるいは初期の段階で、患者・市民にどのような意見が求められているか、不安や懸念がないかどうかなどについて議長などと話し合いの場を持つ。
- 当該疾患や治療法(薬剤)についてレクチャーを行ったり、資料を提供したりする。
- 会議の前には、会議で使用する資料(論文)や議事次第などを事前に共有し、必要に応じて準備することや事前質問がないかなどを確認する。
- 会議の中で、発言の機会を意識的に作るよう努める。随時論点を整理し、患者・市民委員がわからないことや知らない専門用語があれば説明する。
- 患者・市民委員の「沈黙」は必ずしも「意見がない」「賛成している」わけではないことに留意し、患者・市民委員に丁寧に問いかけるよう努める。
- 立場の違いを強調するような呼称をなるべく使わない。(例:患者に「様」をつけない、○○先生や○○教授ではなく○○さんという呼称に統一する)
- 患者・市民委員が孤立した席に座らず、委員長の近くや、全体の輪の中心など、安心して発言できる環境を整える工夫を行う。
- Q
- 患者・市民の方へは報酬をお支払いした方がよいですか。 患者市民の方への報酬について (2022年1月27日掲載)
- A
- 会議謝金や交通費の実費などについてお支払いをすることが望ましいですが、作成グループの財政状況などを鑑みて、柔軟に対応を検討してください。 患者・市民の方が作成委員会の会議などに参加する場合、持続可能かつ質の高い協働を図るためには、時間と労力に対して、きちんと報酬を支払うことが望ましいと考えられます。例えば英国では診療ガイドラインは国が主体となって作成しており、作成に参画する患者・市民に対しても、会議に参加する際の謝礼や交通費・宿泊費・ベビーシッター費用などの実費が国の予算から支払われます。
一方、日本における診療ガイドラインの作成主体は学術団体や研究班であり、その規模や財政状況も様々で、必ずしも潤沢な予算を確保している団体だけではありません。医療者や、患者・市民の作成委員に報酬を支払えず、ボランティアとして協力してくれる人を探して作成しているところも少なくありません。現実的には、作成委員会の財政状況や、他の作成委員への待遇との整合性をとって方針を決定し、患者・市民の方へ依頼内容と待遇について募集時に十分に説明し、お互いに納得することが重要です。
参考:患者・市民参加の関連資料内 “GIN Public Toolkit”
3. スコープ
- Q
- CQ以外に教科書的記述が必要となります(例:疾患の定義、疫学など)。その場合も、システマティックレビューに関しては2人が独立で行う必要があるでしょうか? 臨床的特徴、疫学的特徴のシステマティックレビュー(2016年3月15日掲載)
- A
- 臨床的特徴、疫学的特徴など、CQ以外の教科書的な内容をまとめる際にはSRをする必要はありませんが、SRを実施して推奨を提示する場合はCQとして取り上げることをお勧めします。
- Q
- 現在、臨床的課題についてはアンケート調査や患者の会なども情報源にしていると考えてよろしいでしょうか。 重要臨床課題作成における患者に関する情報源
- A
- CQを作成する前段階として、様々な資料を前提とした重要臨床課題を明確にします。重要臨床課題を作成するに当たって、予備的な文献検索(スコーピングサーチ)を実施して、課題の概略を把握する方法もあります。また、学会員の意見を広く求める方法をとることもあります。作成グループが重要と考える場合には、アンケート調査や患者会なども情報源にしてください。
- Q
- 重要臨床課題の作成方法についての詳細をお教えいただけないでしょうか。出典、Webでもマニュアルでも最新の基準資料をご教示いただければ幸いです。 重要臨床課題作成方法
- A
- 重要臨床課題を含むスコープは、診療ガイドラインの作成プロセスが開始される前に、作成委員会の協議によって作成されます。その際、原案を作成した段階で、診療ガイドラインの利用が想定される医療者、患者や、診療ガイドラインによって影響を受ける行政、団体など、すべての利害関係者の意見を聞くプロセスを経て最終決定する方法がとられることもあります。
重要臨床課題を作成する際には、次の内容を記載することを推奨します。
①取り上げるトピックの背景を記述します。
②a.介入に関して患者と医療者が行う意思決定の重要ポイントを取り上げます。
②b.患者アウトカムの改善が強く期待できる課題を取り上げます。
③課題ごとに現状を記載し、可能な限り裏づけとなる統計データ等を示します。
- Q
- 診療アルゴリズムを年齢によって分ける予定ですが、アルゴリズムごとに対応するCQを作る必要があるでしょうか? CQにおける対象 (2016年3月15日掲載)
- A
- 診療ガイドラインのCQとその推奨は、臨床現場における意思決定を支援する目的で作成されるものであり、明確に定式化される必要があります。対象とする集団が異なる場合には別のCQとされることをお勧めします。
- Q
- スコープで設定するPICOのアウトカムは、後のシステマティックレビュー(SR)によって答えが見いだせなければ意味がないことになると考えられますが、場合によっては、設定したアウトカムに対する答えが論文中に見いだせない場合も生じうると思います。SRを行った結果、あるいはその途中でアウトカムの設定に間違いがあったと判明した場合には、どのようにすればいいのでしょうか。 CQにおけるアウトカムの設定① システマティックレビュー中のアウトカムの変更 (2016年3月15日掲載)
- A
- スコープ作成を行なう際には、スコーピングサーチとして、診療ガイドライン、SR、RCTなどを対象とした文献検索による予備的な情報収集を実施することをお奨めしています。この情報収集を経て、推奨作成を行なうために必要な情報を含み、SRが実施可能であると考えられるCQを設定します。また、CQを確定する前に、ガイドライン作成グループとSRチームとが共同でCQの妥当性について検討するという方法もあります。
SRを実施する中で、当初設定した「患者にとって重要なアウトカム」に対する「代替アウトカム」を取り上げることが妥当であると判断し、そのことをSRチームがガイドライン作成グループに提案して、承認が得られた場合、アウトカムを入れ替えることも考えられます。その際は透明性の確保が求められます。ただし、原則として、CQで設定したアウトカムを検討した研究が見つけられなかった場合は、アウトカムを変更せず、見つけられなかったことを診療ガイドラインの中に明記してください。この情報は、将来的に研究が必要とされる内容をまとめる「Future Research Question」を作成する際の重要な情報になります。
- Q
- 検討しようとしている介入Aは、疾患の症状改善を意味する3つのアウトカムに、また、介入Bは、先のアウトカムと重複する2つのアウトカムに対して有効だと想定されます。この場合、介入を中心にすえて、それぞれのCQにするということでよろしいでしょうか。 CQにおけるアウトカムの設定② 同一の対象に対する介入ごとのCQの設定 (2016年3月15日掲載)
- A
- 複数の介入・要因曝露の設定
1つのCQとして、患者・状況を特定し、複数の介入・要因曝露を挙げ、それらを比較し、どれが有用か、推奨されるかを検討します。 - 益と害を含んだ複数のアウトカムの設定
どの介入・要因曝露が有用か、推奨されるかを検討するための観点として、介入・要因曝露の結果として生じる患者アウトカムについて、益だけではなく、害も含めて複数のアウトカムを設定します。
- 複数の介入・要因曝露の設定
4. システマティックレビュー
- Q
- 「二次スクリーニング後の一覧表」に挙げるのは二次スクリーニングで取捨選択され残った文献のみでしょうか?また、この一覧表は、二名のシステマティックレビュー担当者が独立してそれぞれ作成することになるでしょうか? 二次スクリーニング後の一覧表 (2016年3月15日掲載)
- A
- 二次スクリーニング後に残った文献を挙げます。二次スクリーニング後に「バイアスリスクの検討などで後に除外された論文」について、「除外」の列に印を、そして、「コメント」の列にその理由を記載します。独立した二名以上で一次スクリーニングを行い、その結果を照合させて、一次スクリーニングのまとめを作ります。次に、独立した二名以上で、二次スクリーニングを行い、その結果を照合させて、二次スクリーニングのまとめを一つ作ることになります。
- Q
- 今回のワークショップや意見交換会では、エビデンス総体という概念をご教示いただいたのですが、個々の文献にエビデンスレベルを明示しておくことは必要でしょうか? 個々の文献のエビデンスレベル
- A
- エビデンス総体の評価を参考に推奨が作成されることを推奨します。個々の文献については、研究デザインやバイアスリスク等の評価を行うことが奨められます。エビデンス総体の評価とは別に、個々の文献の研究デザインやバイアスリスク等の評価につきましては、作成グループが必要と判断する場合には明示してください。
- Q
- 観察研究のエビデンスの評価についてのやり方など、どこかにのっていませんでしょうか。インターネットなど、何か資料があれば幸いです。 観察研究のエビデンス評価① 評価方法
- A
- あるアウトカムに対する個々の観察研究のエビデンスの評価につきましては、ワークショップで配布した資料集にありますように、RCTと同様にエビデンスの強さを下げる項目としてバイアスリスク(選択バイアス/実行バイアス/検出バイアス/症例減少バイアス/その他)や非直接性とあわせて、エビデンスの強さを上げる項目として用量-反応勾配、効果減少交絡因子、効果の大きさを評価することを推奨します。次に、あるアウトカムに対する観察研究を含んだエビデンス総体の評価としては、エビデンスの強さを下げる項目としてバイアスリスク、非一貫性、不精確、非直接性、その他のバイアスといったドメインと、エビデンスの強さを上げる項目として用量-反応勾配、効果減少交絡因子、効果の大きさの3つをまとめたドメインを検討することを推奨します。
これらの項目は、位置付けに多少の違いがあるものの、現在の標準的な評価項目と考えられます。
- IOM(Institute of Medicine)は、観察研究を含んだエビデンス総体に対する複数の評価方法を比較しており、どの方法でもほぼ同じ項目で評価していることが分かります。
http://www.iom.edu/Reports/2011/Finding-What-Works-in-Health-Care-Standards-for-systematic-Reviews.aspx - IOMの中でも取り上げられているGRADE working groupのエビデンス評価の考え方・方法が示された論文リストがあります。
http://www.gradeworkinggroup.org/publications/JCE_series.htm
Guyatt GH, et al..GRADE guidelines: 9. Rating up the quality of evidence.J Clin Epidemiol. 2011 Aug 1 (http://www.jclinepi.com/article/S0895-4356(11)00184-3/fulltext)
観察研究の評価では特に、疫学専門家の助言を求めるのが望ましいと考えられます。 - IOM(Institute of Medicine)は、観察研究を含んだエビデンス総体に対する複数の評価方法を比較しており、どの方法でもほぼ同じ項目で評価していることが分かります。
- Q
- RCTでエビデンスの評価を下げる項目は(-2)(-1)(0)と評価されますが、観察研究で評価を上げる項目は同様に(+2)(+1)(0)と記載して良いでしょうか? 観察研究のエビデンス評価② エビデンスの強さを上げる尺度
- A
- エビデンスの強さを上げる項目として、0、+1、+2と記載することを推奨します。
- Q
- 評価を上げる項目で、RR >2または<0.5はlarge, RR>5または <0.2はvery largeと評価されますが、mean difference で示される連続データ(continuous data)の場合、largeとvery largeは何を基準に判断すれば良いでしょうか? 観察研究のエビデンス評価③ エビデンスの強さを上げる基準
- A
- 提示しているのはGRADE working groupが考えている1つの目安です。前グループは、効果の大きさを基本的にRRで測っており、mean differenceの基準は示していません。何がvery large、largeになるかについては、作成グループでご判断ください。
- Q
- 診療ガイドライン作成ワークショップ資料集に、「観察研究(2件以上)のエビデンスの強さの評価を中あるいは強にあげることもある」と記載されておりますが、観察研究が1件のみの場合は、弱と判定し、エビデンスの強さを中や強にあげないと考えてよいでしょうか。 観察研究のエビデンス評価④ エビデンスの強さを上げる基準
- A
- エビデンスの強さを上げる項目に該当すると考えられる場合、内容によっては件数にかかわらずエビデンスの強さを上げることは可能です。
- Q
- ガイドラインを作成する前に、コホート研究を行いました。これを、システマティックレビューの検索外の文献として、推奨文の作成に活用しようと考えております。その場合、この研究のエビデンスの強さはどのように考えればよろしいでしょうか。 観察研究のエビデンス評価⑤ コホート研究
- A
- コホートであれば、Cが初期評価であり、さらに内容の吟味が必要となります。ただし、文献の選定基準は文献の検索前に設定するのが望ましいと考えられます。また、推奨を出せるほどのエビデンスがないと判断される場合には、推奨を出さないということも検討されると良いでしょう。
- Q
- システマティックレビューを行ったところ、作成したい診療ガイドラインのテーマに特化したデータを分析した研究が非常に少ない状況でした。エビデンスがなかったために、専門家の意見や、他の学会等でテーマに特化していない、一般集団を対象として推奨している介入を用いて、推奨文を作成せざるを得ないものがあります。その場合、推奨の強さは、1または2とだけ表現するのか(つまり、エビデンスの強さは判定しない)、あるいは、1Dまたは2Dのように表現してよいのか、いかがでしょうか。 観察研究のエビデンス評価⑥ 症例報告
- A
- 「専門家の意見や、他の学会等でテーマに特化していない、一般集団を対象として推奨している介入」はエビデンスではありませんが、症例報告があれば1Dもしくは2Dにできます。
最終的には診療ガイドライン作成グループで協議して決定してください。
- Q
- いただいているCQの設定では、I/Cが治療あり(I)と治療なし(C)で予後を比較検討するように指示があるのですが、検索した文献には、治療なしとの比較はなく、治療後の再発群と非再発群の比較や、反応群と非反応群の比較などの文献しかありません。こういう場合どうしたらよいでしょうか? 観察研究のエビデンス評価⑦ 対照群のない研究のみの場合 (2016年3月15日掲載)
- A
- 治療群が検討される論文のみが収集された場合、治療群と治療なし群の比較はできません。ただし、定性的なシステマティックレビューにあわせて、CQで設定されたアウトカムが治療群でどのように観察されたかを検討し、推奨を作成することはできます。その際、治療効果に対する不確実性が大きいため、エビデンス総体の強さは「D」となります。
また、収集された研究の中で設定した介入の比較がなく、推奨作成における重要な情報が得られなかったなど、将来的な研究が必要と判断される場合は、Future Research Questionにその内容を記載します。
設定したCQに対して適切な論文が検索されなかった、検索されたすべての論文の質が高くなかったと判断される場合は、CQを取り下げることも可能です。
- Q
- システマティックレビューを行ったところ、研究によっては対象者の平均年齢だけが論文に記載されており、年齢の範囲が記載されていないので、診療ガイドライン適用の対象としたい群を含んだデータなのかがわからないものもありました。著者に問い合わせても、海外の研究者の場合、返答がなかったものもいくつかあります。対象が含まれているのかどうかが全くわからないという場合は、「非直接性」の①研究対象集団の違いという観点から-2、研究対象者には取り上げたい対象が1名以上含まれていることが確認されたが、取り上げたい対象を含んだ集団であるというだけで、対象に特化したエビデンスではない場合は、「非直接性」の①研究対象集団の違いという観点から-1、というように判断してよいでしょうか。 非直接性の評価 ガイドラインの対象と研究の対象との違い
- A
- 検討されている通りで良いと考えます。最終的には診療ガイドライン作成グループで協議して決定してください。
- Q
- 診療ガイドライン作成ワークショップで教わったRによる統計と別の統計パッケージで実行した統計の数字が微妙に異なっているのはどのような原因が考えられるのでしょうか? 統計パッケージと統合モデル (2016年3月15日掲載)
- A
- ワークショップで紹介したRの関数は、特段の指定をしない場合、ランダム効果モデルの「分散逆数法」で計算していますが、様々なモデルを用いることができます。数値の差異はこの差に起因していると考えられます。「分散逆数法」はアウトカムが二分変数・連続変数のどちらの効果指標の統合にも用いることができます。実行したいメタアナリシスとモデルの特性を考慮し、利用するモデルを選択してください。
- Q
- 与えられたCQに対する検索論文で、メタアナリシスできない論文(症例集積や症例報告のような論文、またはレビューなど)しかない場合、どういう扱いにしたらよいでしょうか? メタアナリシスができない論文しかない場合 (2016年3月15日掲載)
- A
- メタアナリシスが実施できない場合も、メタアナリシスが実施できる場合と同様に、個々の研究や、エビデンス総体を評価する定性的なシステマティックレビューを行います。システマティックレビューをした結果、将来的な研究が必要であると判断される場合は、Future research questionとしてまとめることもあります。
5. 推奨
- Q
- 「ガイドラインパネルが検討する推奨草案」では「重大なアウトカム全般に関する全体的なエビデンスの強さ(いずれかに○)」という項目がありますが、「重大なアウトカム」とは、「重大なアウトカム:7-9点」を指しているのでしょうか。もしそうなら重要なアウトカム(4-6点)は含まないと解釈されますが、それで良いのでしょうか?もしそうなら「重大なアウトカム全般に関する全体的なエビデンス・・・」の「全般」とか「全体的」という言葉が不要のように思います。 全体的なエビデンスの強さの評価
- A
- CQ決定の際のアウトカムの重要性の評価を原則的に変更しません。ただ、推奨作成の段階で、さらにどのアウトカムを重視するかを決定しても構いません*。この重大なアウトカム全般のうち、特に推奨決定において重視したアウトカムのエビデンスの強さを全体のエビデンスの強さとして評価する、もしくは、重大な複数のアウトカム全般を見回してそれら全体でエビデンスの強さを評価する、という方法がとられています。これらを参考にして、作成グループで方針をご検討ください。
*ここでは重大なアウトカムが複数あることを前提にしています。
- Q
- CQにエビデンスレベルは評価できますが推奨度のつけられないものがあります。推奨度無し/エビデンスレベルのみの表示はガイドラインの基本理念から逸脱するものでしょうか? 「推奨度」と診療ガイドライン
- A
- 逸脱しないと考えられます。ただし、ワークショップで紹介したエビデンスの強さ*は、検索・収集・評価・統合されたエビデンスが(CQに対する)推奨を支持する強さを示す指標です。どのような方法でエビデンスの強さをつけるかについては、作成グループで協議の上で決定し、診療ガイドラインに記載すると良いと考えられます。 *新しい作成の手引きでは「エビデンスの強さ」と表現しています。
- Q
- 推奨を決定する方法は委員会で独自に作成した疾患特異的な合意形成方法を用いる事も可能でしょうか。 もちろん評価が高い既存の方法に基本的に沿ったものを想定しております。 推奨度決定方法
- A
- 標準的・慣習的な合意形成法は、第三者から評価を受けた場合に方法の妥当性について比較的疑いを持たれにくい方法ですが、それらが唯一の方法ではないと考えられます。したがって、疾患特異的な方法を用いても良いと考えられます。どのような合意形成方法を採用する場合にも、作成グループで検討し、採用した方法を明示することが重要です。
- Q
- 先行版では、個々の文献にエビデンスレベルを表記し、それにもとづいて推奨の強さを表記していましたが、新しいCQを追加して作成する部分改訂版では、エビデンス総体の考え方にもとづいたエビデンスの強さ、推奨の強さをつけようと考えています。そのために、1つの診療ガイドラインの中に複数の基準が並存することになってしまいますが、そのような場合の適切な対応方法はありますか。 部分改訂における推奨の強さの基準の並存
- A
- 具体的な記載事例についてまだ把握しておりませんが、①診療ガイドラインの部分改訂としての位置づけを明記し、②エビデンスの強さと推奨の強さの基準が推奨ごとに区別されていることが明確に記載できていれば問題ないと考えます。また、利用者によるレビューで検証する方法もあります。最終的には作成グループで方針を決定してください。
6. 最終化
- Q
- 個々のエビデンス評価は当然必要と思いますが、構造化抄録の公表の要否についてご教示いただければ幸いに存じます。 構造化抄録の公表
- A
- 構造化抄録の作成・公表は必須ではありません。ただし、構造化抄録を作成しない場合でも、文献の特性をまとめる表があると有用と存じます。
- Q
- 外部評価は、どの段階で受ける必要がありますか? 外部評価を受けるタイミング (2023年3月27日掲載)
- A
- スコープ草案や診療ガイドライン草案が完成した時点で外部評価を受けることが考えられます。草案の確定にあたって、外部評価委員による外部評価を実施する方法や、ウェブサイト等で公開して広くパブリックコメントを募集する方法がとられることもあります。また、SRの結果が草案としてまとめられた時点で、外部評価を受ける場合もあります。
(p.341-342 第7章 公開に向けた最終調整 「7.5.2(2)外部評価を実施する段階」参照)
- Q
- 外部評価を行う評価者は、誰が適切ですか? 外部評価を行う評価者 (2023年3月27日掲載)
- A
- 外部評価を行う目的に照らして、誰から評価を受けるか明確にしておく必要があります。外部評価委員として、疾患専門家、(関連)学会員、診療ガイドライン作成の専門家、患者・市民等に依頼します。それぞれ、臨床的な妥当性、作成方法の適切さに関する評価、患者・市民の立場からの評価を得ることができます。診療ガイドラインの作成方法については、AGREE Ⅱによる評価を依頼することもあります。また、広く利用者全般から評価を受けることが望ましいと考えられる場合には、パブリックコメントを受ける機会を設ける場合もあります。
(p.342-343 第7章 公開に向けた最終調整 「7.5.2(3)外部評価を行う評価者」参照)
- Q
- 外部評価を受けた場合、どのように対応するのが良いですか? 外部評価を受けた場合の対応 (2023年3月27日掲載)
- A
- 外部評価の実施後は、評価内容から診療ガイドラインを修正する必要性について検討し、必要があれば草案の修正を行います。作成過程の透明性を確保するために、この一連の修正過程をまとめて診療ガイドライン内やウェブサイトで公表することが望ましいです。また、内容によっては評価者に返答を行います。
(p.344-345 第7章 公開に向けた最終調整 「7.5.3 外部評価の検討と評価者への返答」参照、【FN-5 外部評価返答リスト】【FN-6 外部評価まとめ】)
- Q
- ガイドラインの作成過程で外部評価委員にAGREE Ⅱで評価をいただいたのですが、この評価の合計点数等はガイドラインの本文に載せる必要はあるのでしょうか? 外部評価の結果の記載
- A
- 評価の合計点数等は、必要ではありませんが、記載しても良い内容です。
『Minds診療ガイドライン作成マニュアル』では、外部評価を行った場合は、「外部評価まとめ」として、その方法、評価者、ツール、経過、結果などを診療ガイドラインの中に記載することをお奨めしています。 最終的にどのような内容を診療ガイドラインに記載するか、作成グループでご検討ください。
- Q
- 診療ガイドラインの評価でAGREE(The Appraisal of Guidelines for REsearch & Evaluation)Ⅱは、どのように使うのですか? AGREE評価表 (2023年3月27日掲載)
- A
- AGREE評価表は、診療ガイドラインの質のばらつきに取り組むために開発され、ガイドライン作成過程における作成手法の厳密さと透明性を評価するツールです。診療ガイドラインの作成方法や記載内容の評価に使います。評価項目は、6つの領域(①対象と目的、②利害関係者の参加、③作成の厳密さ、④提示の明確さ、⑤適用可能性、⑥編集の独立性)23項目と全体評価から成り、作成方法に焦点を当てた評価が行われます。評価の信頼性を高めるために、少なくとも2名、できれば4名で評価を行うことが推奨されています。評価者は各項目について、全く当てはまらない(1点)から強く当てはまる(7点)まで7段階で点数を付けます。評点は、複数の評価者の点数を領域ごとに集計し、最高評点に対する得点率(%)で表します。 Mindsサイトで、AGREE Ⅱ、AGREE Reporting Checklistの日本語訳を公開していますので、詳細はこちらを確認ください。
7. 診療ガイドライン公開後の取り組み
- Q
- 先行版では、個々の文献にエビデンスレベルを表記し、それにもとづいて推奨の強さを表記していましたが、新しいCQを追加して作成する部分改訂版では、エビデンス総体の考え方にもとづいたエビデンスの強さ、推奨の強さをつけようと考えています。そのために、1つの診療ガイドラインの中に複数の基準が並存することになってしまいますが、そのような場合の適切な対応方法はありますか。 部分改訂における推奨の強さの基準の並存
- A
- 具体的な記載事例についてまだ把握しておりませんが、①診療ガイドラインの部分改訂としての位置づけを明記し、②エビデンスの強さと推奨の強さの基準が推奨ごとに区別されていることが明確に記載できていれば問題ないと考えます。また、利用者によるレビューで検証する方法もあります。最終的には作成グループで方針を決定してください。