妊娠出産 Minds版ガイドライン解説

産婦は分娩中の産痛が緩和されるようにケアを受けることができる。
医療従事者は、出産施設において産痛緩和法にどのようなものがあり、どれができるかについて、妊娠中から情報を提供し、状況が許す限り、産婦が選択できるようにするべきである。
医療従事者は、様々な産痛緩和法を助言して、それを実施する場合は安全面に配慮して観察を行う必要がある。さらに、必要に応じて家族に産痛緩和法を助言し、家族も主体的分娩に臨めるように援助する。

【推奨の強さ】
自由姿勢・歩行
B
温罨法
C
指圧
B
マッサージ
B
B
アロマセラピー
B
入浴
B
硬膜外麻酔
B

ガイドライン作成委員より皆様へ
産痛はお産の進行につれ強くなりますが、不安や恐怖感でも産痛が強まることがあります。産痛をコントロールして主体的に出産に臨むことは大切です。産痛を和らげる方法として、仰向け以外の自由な体位や歩行、腰など痛い部分への温湿布、入浴、指圧、産痛部分へのマッサージなどがあります。麻酔による無痛分娩は希望すれば実施できる病院があります。
 


医学用語解説
産痛
(さんつう)
赤ちゃんを産むときに生じる下腹部や腰の痛みのことです。一般的に赤ちゃんが子宮口に近づくにつれ痛みは強くなり、赤ちゃんが生まれる直前は強い痛みを感じるようになります。神経質な人や不安や緊張感の強い人は強い痛みを感じる傾向があります。
産痛緩和法
(さんつうかんわほう)
赤ちゃんを産むときのおなかや腰などの痛みを和らげる方法です。具体的には、おなかや腰のマッサージをしたり、温めたり、楽な姿勢を取ったり、緊張をほぐすための呼吸法を行ったりします。心と体をリラックスさせることが大切です。
主体的分娩
(しゅたいてきぶんべん)
主体的とは自分の意思や判断に基づいて行動すること、主体的分娩とは産婦が自分で産むという意思を持って赤ちゃんを産むことです。ここでは、出産に伴う痛みや不安を取り除くための行為を助産師や産科医の判断に任せるのではなく、産婦が主体的に前向きな気持ちで出産に臨むことを意味します。家族も出産に伴う痛みを和らげるようにマッサージを行うなど、産婦が主体的分娩を行えるようにサポートすることが重要です。
自由姿勢
(じゆうしせい)
赤ちゃんを産むときに、自分が最も楽だと思える自由な姿勢のことです。自由姿勢は産婦によってさまざまで、大きな枕を抱えてうつぶせになる姿勢、横向きの姿勢、ベッドの柵などにつかまってしゃがんだ姿勢などがあります。
温罨法
(おんあんぽう)
カイロや蒸しタオルなどで体を温めることです。産婦をリラックスさせ、痛みを和らげる効果が期待できます。お産に伴う痛みを和らげる方法の一つです。
指圧
(しあつ)
指や手のひらでつぼを押し、血行を良くして、疲労を回復させ、体をリラックスさせる方法です。お産に伴う痛みを和らげる方法の一つです。

(はり)
鍼をつぼに刺し、体の調子を整える方法です。鍼はステンレス製で、直径0.12〜0.18mm程度の極めて細いものを使用します。お産に伴う痛みを和らげる方法の一つです。
アロマセラピー 植物の花、葉、根などから抽出した香りのある天然成分をアロマと呼び、アロマを用いて心と体をリラックスさせ、疲労回復や健康回復をはかる自然療法をアロマセラピーと呼びます。お産に伴う痛みを和らげる方法の一つです。
硬膜外麻酔
(こうまくがいますい)
脊椎(せきつい)を包んでいる硬膜の外側に麻酔薬を注射して、下半身に麻酔を施す方法です。痛みを和らげ赤ちゃんを産む無痛分娩で用いられます。硬膜外麻酔を行っても産婦には意識があり、助産師や産科医の指示に従っていきむことも、生まれた直後の赤ちゃんを抱くこともできます。


関連する医療提供者向けガイドラインの表示はこちら
(旧版)科学的根拠に基づく「快適な妊娠出産のためのガイドライン」  RQ5
 
 
 
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