急性胆管炎・胆嚢炎 Minds版ガイドライン解説

ビリルビン肝・胆道系酵素ALPγ-GTPASTALT]の血中濃度の測定は、急性胆嚢炎における、急性胆管炎総胆管結石などの合併病態の把握に有用である。[推奨度A

ガイドライン作成委員より患者さんへ
急性胆嚢炎は胆嚢の病気ですが、胆管炎や胆管結石が同時に発生している場合があります。これを判定するために、黄疸の程度と肝臓の機能を測定する血液検査が行われます。
 


医学用語解説
急性胆嚢炎
(きゅうせいたんのうえん)
多くの場合、胆嚢の出入り口に胆石が詰まるなどして、胆嚢が血行障害を起こしたり、胆汁の流れが滞ったりして膨れ、痛みが起こる病気のことです。胆石が自然に流れて胆汁の詰まりがなくなると、痛みが治まる場合もありますが、そのまま胆石が詰まっていると、腸内の細菌などが逆流して細菌感染を引き起こします。
ビリルビン 血液中の赤血球が役目を終えた後にできる色素成分のことです。ヘモグロビンから鉄分が切り離されたもので、肝臓に運ばれた後に胆汁となって体の外へ排出されます。胆石の種類の一つに、このビリルビンがカルシウムと結び付いてできるビリルビンカルシウム結石があります。
肝・胆道系酵素
(かん・たんどうけいこうそ)
肝臓や胆道に病気による変化があるときに、血液中に増加する酵素のことです。代表的なものにγ-GTPというガンマ・グルタミールトランスぺプチターゼ、ALPというアルカリホスファターゼ、LAPというロイシンアミノぺプチターゼなどがあります。
ALP
(エーエルピー)
アルカリホスファターゼという、肝臓や腸などでつくられる酵素のことです。血液検査によって調べることができ、ALPが高い場合は、慢性肝炎、肝硬変など、肝臓の病気が疑われます。
γ-GTP
(ガンマ-ジーティーピー)
ガンマ・グルタミールトランスペプチダーゼという、体内でグルタミン酸への変換を助ける役割を果たす酵素のことです。腎臓や膵臓、肝臓などに多いのですが、血液検査では、肝臓や胆道に異常があると数値が高くなります。
AST
(エーエスティー)
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの略語で、血清トランスアミナーゼという、体内でアミノ酸への変換を助ける酵素のことです。血液検査によって調べることができ、基準値は35IU/l以下です。肝細胞に異変があると、血液中に流出するため、値が高くなります。
ALT
(エーエルティー)
アラニンアミノトランスフェラーゼの略語で、血清トランスアミナーゼという、体内でアミノ酸への変換を助ける酵素のことです。血液検査によって調べることができ、基準値は35IU/l以下です。肝細胞に異変があると、血液中に流出するため、値が高くなります。
血中濃度
(けっちゅうのうど)
血液の中に含まれているある成分の濃さのことです。急性胆嚢炎では、胆汁の色素成分であるビリルビンの血液中の割合や、肝臓や胆道に関わる酵素の割合が高くなります。一定量の血液に、どのくらいの割合でビリルビンや酵素が含まれているかを調べることで、急性胆嚢炎の可能性を割り出すことができます。
急性胆管炎
(きゅうせいたんかんえん)
胆管の中に胆石が詰まるなどして、胆汁の流れが滞り、胆管内に胆汁があふれると、痛みが起こります。胆石が自然に流れて胆汁の詰まりがなくなることで痛みが治まることもありますが、そのまま胆汁の流れが滞っていると、腸内の細菌などが逆流し、細菌感染を引き起こします。これを急性胆管炎といいます。
総胆管結石
(そうたんかんけっせき)
胆汁の通り道である胆道のうち、胆嚢管の下から十二指腸までの間に発生する石のような塊のことをいいます。胆嚢内に発生した胆石が胆汁の流れに押されて胆嚢管より下まで落ちてくることが多いです。石のように固まった成分の多くは、コレステロールや胆汁の色素成分であるビリルビンです。
合併病態
(がっぺいびょうたい)
ある病気が原因となって引き起こされる、別の病気の状態のことを指します。急性胆嚢炎は、胆石が胆嚢に詰まり、胆汁の流れが滞ることで起こることが多くあります。そのため、同じ理由で総胆管結石や急性胆管炎が引き起こされることがあります。総胆管結石の多くは、胆嚢の入り口に詰まっていた胆石の一部が総胆管に落ちることで起こります。


関連する医療提供者向けガイドラインの表示はこちら
(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン  Q69 急性胆嚢炎の診療におけるビリルビン,肝・胆道系酵素の血中濃度測定の意義は?
 
 
 
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