EBMに基づく尿失禁診療ガイドライン

 
II 尿失禁の基礎知識
尿失禁の基礎知識

4. 診断
(4) QOL(生活の質)評価

従来、わが国では尿失禁患者の診断において、QOLが評価されることはほとんどなかったが、国際的には治療方針決定、治療効果判定などにおいてQOLが最も重要であるとの認識が広まりつつある。国際的に統一して用いられる尿失禁QOL評価質問票は今のところないが、妥当性の検証された尿失禁特異的な種々のQOL質問票がある。わが国独特のものはないが、世界的によく用いられる3つの質問票(Incontinence Impact Questionnaire ;  IIQ、Incontinence Quality of Life ;  IQOL、King's Health Questionnaire ; KHQ)の日本語版が作成されている7)。これらは、尿失禁の日常生活の複数の領域(domain)に対する尿失禁の影響をいくつかの質問により評価し、それらをスコア化してQOLへの影響を評価するものである。また、2001年パリで開催された、世界保健機構後援の第2回国際尿失禁会議において、国際共通の尿失禁症状・QOL評価質問票として、ICIQ-SF(International Consultation on Incontinence Questionnaire-Short Form)が作成され、日本語版も発表されている8)(図6)。

図6 スコア化ICIQ-SF日本語版
1.どれくらいの頻度で尿が漏れますか? (ひとつの□をチェック)
                                    
なし[0]
おおよそ1週間に1回あるいはそれ以下[1]
1週間に2〜3回[2]
おおよそ1日に1回[3]
1日に数回[4]
常に[5]
  
2.あなたはどれくらいの量の尿漏れがあると思いますか?
 (あてものを使う使わないにかかわらず、通常はどれくらいの尿漏れがありますか?)
  
なし[0]
少量[2]
中等量                             [4]
多量[6]
  
3.全体として、あなたの毎日の生活は尿漏れのためにどれくらいそこなわれていますか?S
 
    0    1    2    3    4    5    6    7    8    9    10    
まったくない非常に
4.どんな時に尿が漏れますか? (あなたにあてはまるものすべてをチェックして下さい)
                                    
なし  :  尿漏れはない
トイレにたどりつく前に漏れる
咳やくしゃみをした時に漏れる
眠っている間に漏れる
体を動かしている時や運動している時に漏れる
排尿を終えて服を着た時に漏れる
理由がわからずに漏れる
常に漏れている
1〜3の質問に対する回答の点数を加えて0〜21点で評価し、点数の高いほど重症となる。
 
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