(旧版)前立腺肥大症診療ガイドライン
6 治療
4 保存治療(表10-3)
3)健康食品
benign prostatic hyperplasia(前立腺肥大症),phytotherapy,植物療法をキーワードとして検索し,160論文を得た。うち3論文を引用した。ノコギリヤシに関しては,benign prostatic hyperplasia,Saw-palmettoもしくはSerenoa repens,ノコギリヤシをキーワードとして検索して得た96論文から,エビデンスの高い5編を引用した。また,男性下部尿路症状診療ガイドライン1)も参考とした。
推奨グレード:C2
ビタミン・ミネラル・サプリメントなどの摂取を50〜75歳の男性45,748名で調査した研究では,前立腺肥大症の男性は,前立腺肥大症のない男性に比して,ビタミンEを1.21倍,セレンを1.24倍,亜鉛を1.3倍多く摂取していた2)(V)。サプリメントとしての亜鉛80mgの摂取で尿閉などの合併症の発症リスクが高い3)(I),サプリメントとしてのイソフラボンの摂取が前立腺疾患の予防に有益4)(V)などとされるが,効果は不明確でRCTもない。
ノコギリヤシに関しては,有効とする根拠と無効とする根拠がともに同程度にある。タムスロシン0.4mg(n=354)とノコギリヤシ320mg(n=350)を1年間投与した比較試験では,IPSSと最大尿流量で両群に差はなかった5)(I)。サブ解析では重症な前立腺肥大症では差がなく,蓄尿症状はノコギリヤシ群で有意に改善した6)(II)。一方,プラセボとの比較試験では効果がなかったとの報告7,8)(I,II)や,アルフゾシン(本邦未承認のα1遮断薬)との比較試験では,症状の改善はアルフゾシンが有意に優れており,有意差はないものの最大尿流量もアルフゾシンのほうが改善した9)(II)。以上より,ノコギリヤシの有効性に関する結果は明確でない。
健康食品の多くはOTC(over the counter drug: 薬局の薬,大衆薬,一般用医薬品)として取り扱われている。多くは有効成分を複数含む配合剤として販売され,配合による有効性や安全性の影響も不明である。費用は保険適応とならず患者の負担となる。
参考文献
3)健康食品
benign prostatic hyperplasia(前立腺肥大症),phytotherapy,植物療法をキーワードとして検索し,160論文を得た。うち3論文を引用した。ノコギリヤシに関しては,benign prostatic hyperplasia,Saw-palmettoもしくはSerenoa repens,ノコギリヤシをキーワードとして検索して得た96論文から,エビデンスの高い5編を引用した。また,男性下部尿路症状診療ガイドライン1)も参考とした。
推奨グレード:C2
有効性を支持する根拠は乏しい(レベル5),または一貫しない(レベル1)。安全性の保証も不確実で,患者負担も高い。
ビタミン・ミネラル・サプリメントなどの摂取を50〜75歳の男性45,748名で調査した研究では,前立腺肥大症の男性は,前立腺肥大症のない男性に比して,ビタミンEを1.21倍,セレンを1.24倍,亜鉛を1.3倍多く摂取していた2)(V)。サプリメントとしての亜鉛80mgの摂取で尿閉などの合併症の発症リスクが高い3)(I),サプリメントとしてのイソフラボンの摂取が前立腺疾患の予防に有益4)(V)などとされるが,効果は不明確でRCTもない。
ノコギリヤシに関しては,有効とする根拠と無効とする根拠がともに同程度にある。タムスロシン0.4mg(n=354)とノコギリヤシ320mg(n=350)を1年間投与した比較試験では,IPSSと最大尿流量で両群に差はなかった5)(I)。サブ解析では重症な前立腺肥大症では差がなく,蓄尿症状はノコギリヤシ群で有意に改善した6)(II)。一方,プラセボとの比較試験では効果がなかったとの報告7,8)(I,II)や,アルフゾシン(本邦未承認のα1遮断薬)との比較試験では,症状の改善はアルフゾシンが有意に優れており,有意差はないものの最大尿流量もアルフゾシンのほうが改善した9)(II)。以上より,ノコギリヤシの有効性に関する結果は明確でない。
健康食品の多くはOTC(over the counter drug: 薬局の薬,大衆薬,一般用医薬品)として取り扱われている。多くは有効成分を複数含む配合剤として販売され,配合による有効性や安全性の影響も不明である。費用は保険適応とならず患者の負担となる。
参考文献